世の中をうまく渡っていくための知恵や対人関係のコツを意味する「処世術」。
古くから、人々は社会の中で賢く生き抜くための様々な教訓を言葉にして残してきました。
ここでは、「処世術」に関連することわざ、慣用句、四字熟語、故事成語などを一覧で紹介します。
「処世術」に関連する言葉
「処世術」というテーマに関連する、主なことわざや慣用句、四字熟語などを紹介します。
ことわざ
- 長い物には巻かれろ(ながいものにはまかれろ):
勢力や権力の強い者には、逆らわずに従っておくのが賢明であるというたとえ。 - 出る杭は打たれる(でるくいはうたれる):
才能や手腕があって目立つ人は、他人から憎まれたり妨害されたりしやすいというたとえ。 - 能ある鷹は爪を隠す(のうあるたかはつめをかくす):
実力のある人ほど、それをむやみに見せびらかしたりしないというたとえ。 - 沈黙は金(ちんもくはきん):
時には黙っていることが、雄弁に語るよりも価値があるということ。 - 人を見て法を説け(ひとをみてほうをとけ):
相手の性質や能力に応じて、ふさわしい教え方や対応をすべきだというたとえ。 - 触らぬ神に祟りなし(さわらぬかみにたたりなし):
余計なことに関わらなければ、災いを招くこともないというたとえ。 - 郷に入っては郷に従え(ごうにいってはごうにしたがえ):
新しい土地や環境に行ったら、そこの習慣ややり方に従うのが良いというたとえ。 - 水清ければ魚棲まず(みずきよければうおすまず):
あまりに清廉潔白すぎると、かえって人に親しまれず孤立してしまうというたとえ。 - 嘘も方便(うそもほうべん):
目的を達成するためには、時には嘘をつくこともやむを得ない手段であるということ。 - 雉も鳴かずば撃たれまい(きじもなかずばうたれまい):
無用な発言さえしなければ、災いを招かずに済んだというたとえ。 - 朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる):
人は付き合う友人や環境によって、良くも悪くも感化されるものだというたとえ。 - 泣く子と地頭には勝てぬ(なくことじとうにはかてぬ):
道理の通じない相手や、権力を振りかざす相手には、逆らっても無駄であるというたとえ。 - 寄らば大樹の陰(よらばたいじゅのかげ):
頼るなら力のある者を頼る方が、安全で利益も大きいということ。 - 君子危うきに近寄らず(くんしあやうきにちかよらず):
教養のある賢い人は、自ら危険に近づくような無謀なことはしないというたとえ。 - 口は災いの元(くちはわざわいのもと):
不用意な発言が思わぬ災難を招くことがあるので、言葉には十分気をつけるべきだという戒め。
慣用句
- 清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ):
心が広く、善も悪も区別なく受け入れること。 - 世渡り上手(よわたりじょうず):
世間とうまく付き合い、社会生活を要領よく送っていくこと。 - 空気を読む(くうきをよむ):
その場の雰囲気や状況、相手の気持ちを察して、適切な言動をすること。 - 顔が広い(かおがひろい):
知り合いが多く、交際範囲が広いこと。 - ごまをする:
他人の機嫌をとって、自分に都合が良くなるようにへつらうこと。 - (~の)覚えがめでたい:
目上の人から特別に可愛がられ、信用されること。 - 一目置く(いちもくおく):
相手が自分より優れていると認め、敬意を払って一歩譲ること。 - 貸しを作る(かしをつくる):
相手に恩恵を与えておき、将来的に自分に都合よく動いてもらうための布石とすること。 - 腹を探る(はらをさぐる):
相手の真意や本心を見抜こうとして、それとなく様子をうかがうこと。 - 寝た子を起こす(ねたこをおこす):
すでに収まっている問題をわざわざ蒸し返して、再び面倒な事態を引き起こすこと。 - 長い目で見る(ながいめでみる):
現在の状況だけでなく、将来のことまで考えて気長に様子を見ること。 - 太鼓を持つ(たいこをもつ):
他人にへつらい、お世辞を言って機嫌をとること。「ごまをする」。
四字熟語
- 八方美人(はっぽうびじん):
誰に対しても愛想よく振る舞い、悪く思われないようにすること。 - 付和雷同(ふわらいどう):
自分にしっかりとした考えがなく、他人の意見に安易に同調すること。 - 円転滑脱(えんてんかつだつ):
物事を角を立てずに、うまく処理していくこと。 - 臨機応変(りんきおうへん):
その時々の状況や変化に応じて、適切な対応をとること。 - 明哲保身(めいてつほしん):
賢く物事の道理に通じ、危険を避けて自分の身を安全に保つこと。 - 面従腹背(めんじゅうふくはい):
表面では従うふりをしているが、心の中では反発していること。 - 阿諛追従(あゆついしょう):
相手の機嫌を取るために、お世辞を言ったりこびへつらったりすること。 - 内柔外剛(ないじゅうがいごう):
心は弱いが、外面は強く見せかけること。(処世術の一つとして使われる場合がある) - 外柔内剛(がいじゅうないごう):
外面は穏やかで優しそうだが、心の中はしっかりしていて強いこと。 - 巧言令色(こうげんれいしょく):
言葉を飾り、表情を取り繕って、相手にこびへつらうこと。
故事成語
- (李下に)冠を正さず((りかに)かんむりをたださず):
人に疑われるような行いは、初めからすべきではないという戒め。 - (瓜田に)履を納れず((かでんに)くつをいれず):
「李下に冠を正さず」と同様に、疑われやすい行動を戒める言葉。 - 虎の威を借る狐(とらのいをかるきつね):
力のある者の権勢をかさに着て、いばることのたとえ。 - 大樹の陰(たいじゅのかげ):
力のある人の庇護(ひご)のもとにいれば、恩恵を受けられることのたとえ。 - 白眼視(はくがんし):
人を冷たく扱ったり、軽蔑したりする目つき。 - 青眼(せいがん):
人を好意的に迎え入れる目つき。(白眼視の対義)
まとめ – 処世術に関連する言葉を学ぶ
「処世術」に関連する言葉には、状況判断の重要性(臨機応変、空気を読む)、人間関係の機微(一目置く、清濁併せ呑む)、時には権力に従う現実的な判断(長い物には巻かれろ)、そして才能や本音を隠す知恵(能ある鷹は爪を隠す、沈黙は金)など、多岐にわたる視点が含まれています。
これらの言葉は、複雑な社会を生き抜くための先人たちの知恵であり、現代の私たちにとっても人間関係や社会生活を考える上で、多くのヒントを与えてくれますね。


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