意味
「引導を渡す(いんどうをわたす)」とは、最後の宣告をして、相手に望みを断ち切らせるという意味です。
もとは仏教の言葉で、葬儀のときに僧が死者に引導を授けることを指していました。
そこから、相手との縁を切ることや、相手の命がまもなく尽きると告げることにも使われます。
語源・由来
この言葉は、仏教の葬儀から生まれました。
「引導」は本来、迷っている人を教え導き、悟りの道に入らせることです。
葬儀では、導師(= 葬儀の中心になる僧)が棺の前で、この世のすべては移り変わるという道理と、仏の救いにあずかることを説き、死者にこの世との縁を切らせます。
これを「引導を渡す」と言いました。
死者にこの世との縁を切らせることから、相手との縁を切ることや、つながりをあきらめさせることも、こう言うようになりました。
使い方・例文
- 役員会は、三年続けてきた事業の担当者に、打ち切りの引導を渡した。
- 先方は条件の見直しに一切応じず、こちらに事実上の引導を渡してきた。
- 党の幹部が、支持率の低迷する代表に退陣の引導を渡したと報じられた。
類義語・関連語
相手に事情を告げてあきらめさせる、という点で近い語です。
- 因果を含める(いんがをふくめる):
道理をよく言い聞かせ、やむをえない事情を説いてあきらめさせること。
「引導を渡す」と「因果を含める」の違い
「因果を含める」は道理や事情をよく言い聞かせて納得させることに重きがあり、「引導を渡す」は最終的な宣告をすることに重きがあります。
禅宗の引導は黄檗が母を送った故事から
葬儀で行う引導の仕方は、仏教の宗派によってさまざまで、一定していません。
日本では、真宗(= 浄土真宗)を除く各宗派が、それぞれ異なる方法で引導を行います。
禅宗では、導師が棺の前で引導法語と呼ばれる言葉を唱え、「喝」と大声を発する独特の儀式があります。
この儀式は、中国・唐の時代の禅僧黄檗希運が、おぼれて亡くなった母のために法語を唱え、荼毘(= 火葬)の火を投じたことに始まるとされています。

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