ロシアの有名なことわざ30選|意味・使い方・文化的背景を解説

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ロシアの有名なことわざ 【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語

凍てつく大地、どこまでも続く森、そして波乱に満ちた歴史。
「ロシアのことわざ」には、厳しい自然環境を生き抜くための「忍耐強さ」と、運命を達観するような「哲学的な視点」、そして素朴で温かい生活の知恵が詰まっています。

「仕事は狼ではないから、森へ逃げたりしない(だから慌てるな)」というユーモラスな言葉から、「人生百年、学びも百年」という勤勉な教えまで。
今回は、ドストエフスキーやトルストイも愛したであろう、ロシアの魂(ドゥシャー)を感じる有名なことわざ30選を、意味・由来・カタカナ読み付きで解説します。

【人生・運命】アヴォーシ(なんとかなるさ)の精神

ロシア人の運命観を表すキーワード「アヴォーシ(運任せ・なんとかなる)」の精神と、現実的な教訓が同居しています。

人生百年、学びも百年

Век живи — век учись.
(ヴェク・ジヴィ・ヴェク・ウチース)

「一世紀生きよ、一世紀学べ」。
人間は一生涯学び続けるべきだという、生涯学習の精神を説く言葉です。
どれだけ長生きしても、世の中にはまだ知らないことがあるという謙虚さと、知的好奇心の重要性を表しています。

蒔かぬ種は生えぬ(蒔いた通りに刈り取る)

Что посеешь, то и пожнёшь.
(シトー・パセエシ・トー・イ・パジョーシ)

因果応報」、「自業自得」。
良い種を蒔けば良い実りが、悪い種を蒔けば悪い結果が待っている。
自分の行いは必ず自分に返ってくるという、農耕民族としての普遍的な真理です。

神頼みしても、自分もしくじるな

На Бога надейся, а сам не плошай.
(ナ・ボーガ・ナデイシャ・ア・サム・ニ・プロシャイ)

人事を尽くして天命を待つ
神様を信じて祈るのは良いが、それだけで助かると思ってはいけない。自分自身でできる努力や注意を怠るなという、自立を促す現実的な教えです。

恐怖は目を大きくする

У страха глаза велики.
(ウ・ストラハ・グラザ・ヴェリキ)

疑心暗鬼
怖がっている時は、小さな影でもお化けに見えるように、物事が実際以上に恐ろしく、大きく見えてしまうものだ。
「恐れすぎると正常な判断ができなくなる」という心理状態を鋭く指摘しています。

真実は目に突き刺さる

Правда глаза колет.
(プラヴダ・グラザ・コーリェト)

「耳が痛い」「図星」。
本当のこと(真実)というのは、往々にして受け入れがたく、直視すると目が痛くなるほど不快なものである。
嘘で塗り固められた心地よい言葉よりも、痛みを伴う真実の価値を説いています。

どこで生まれようと、そこで役に立て

Где родился, там и пригодился.
(グデ・ラジールシャ・タム・イ・プリガジールシャ)

人は自分が生まれた土地や環境でこそ、その能力を最大限に発揮し、役に立つことができる。
故郷への愛着や、置かれた場所で咲くことの大切さを説く言葉です。

狼を恐れるなら、森へ行くな

Волков бояться — в лес не ходить.
(ヴォルコフ・ボヤッツァ・ヴ・レス・ニ・ハジチ)

虎穴に入らずんば虎子を得ず
リスクを恐れていては、何も手に入れることはできない。
キノコやベリーを採りに森へ入るロシアの生活に根ざした、勇気を奮い立たせる言葉です。

100ルーブル持つより、100人の友を持て

Не имей сто рублей, а имей сто друзей.
(ニ・イメイ・スト・ルブレイ・ア・イメイ・スト・ドルゼイ)

お金(ルーブル)は使えばなくなるが、友人は一生の財産であり、困った時に助けてくれる。
過酷な環境や社会情勢の中で、相互扶助の精神(ミール)を大切にしてきたロシア人らしい価値観です。

【労働・仕事】焦らず、着実に

厳しい自然と向き合ってきたロシアの人々は、焦ることの無意味さと、着実な歩みの強さを知っています。

仕事は狼ではない、森へ逃げたりしない

Работа не волк, в лес не убежит.
(ラボータ・ニ・ヴォルク・ヴ・レス・ニ・ウベジット)

「仕事は逃げないから、そんなに焦らなくてもいいよ(後でやればいいさ)」。
勤勉さを説くことわざが多い中で、ロシア特有ののんびりした気質(あるいは仕事への諦め?)を表すユニークな言葉。
忙しすぎる人への「まあ、落ち着けよ」というアドバイスとしても使われます。

労なくして、池の魚も取れぬ

Без труда не вытащишь и рыбку из пруда.
(ベス・トルダ・ニ・ヴィタシシ・イ・リプク・イズ・プルダ)

「労なくして益なし」。
凍った池に穴を開けて釣りをするような、小さな成果でさえも、それ相応の努力なしには手に入らない。
地道な労働の重要性を説く、最も基本的な教訓です。

ゆっくり行けば、遠くまで行ける

Тише едешь, дальше будешь.
(ティーシェ・イェーデシ・ダリシェ・ブーデシ)

急がば回れ
静かに(ゆっくり)進む方が、馬も疲れず、事故も起こさず、結果としてより遠くまで到達できる。
着実な歩みが最大の成果を生むという、広大なロシアの大地を旅する知恵です。

急げば、人を笑わせる(ことになる)

Поспешишь — людей насмешишь.
(パスペシーシ・リュデイ・ナスメシーシ)

急いては事を仕損じる
慌ててやると失敗し、周りの人から笑われるような無様な結果になるぞ。
「Тише едешь…(ゆっくり行けば…)」とセットで、慎重さを促す際によく使われます。

繰り返しは学習の母

Повторение — мать учения.
(パフトレーニエ・マチ・ウチェーニヤ)

習うより慣れろ
一度や二度で覚えられるものではない。何度も繰り返すこと(反復)こそが、知識や技術を身につけるための母体である。
教育現場やスポーツの練習などで頻繁に使われる言葉です。

七度測って、一度切れ

Семь раз отмерь, один раз отрежь.
(セム・ラス・アトメリ・アジン・ラス・アトレシ)

念には念を入れよ
布や木材は一度切ってしまったら元には戻らない。だから、実行に移す前に慎重に何度も確認しなさい。
取り返しのつかない決断をする前の、慎重さを説く教えです。

忍耐と労働が、すべてをすり砕く(克服する)

Терпение и труд всё перетрут.
(テルペーニエ・イ・トルド・フショ・ペレトルト)

石の上にも三年
どんなに困難な壁や障害も、忍耐強く働き続ければ、いつかは粉々に砕いて乗り越えることができる。
ロシア人の国民性である「粘り強さ」を象徴する言葉です。

【人間関係・社会】信頼と沈黙

言葉よりも行動、そして長く続く関係を重視する姿勢が見えます。

古い友は、新しい友二人より良い

Старый друг лучше новых двух.
(スタリ・ドルク・ルッチェ・ノヴィフ・ドゥフ)

長い時間をかけて信頼関係を築いてきた古い友人は、新しくできた友人二人分(あるいはそれ以上)の価値がある。
流行や新しいものに飛びつくよりも、古くからの絆を大切にせよという教えです。

言葉はスズメではない、飛び立てば捕まえられない

Слово — не воробей, вылетит — не поймаешь.
(スローヴァ・ニ・ヴァラベイ・ヴィリチト・ニ・パイマエシ)

覆水盆に返らず」、「口は災いの元
うっかり口を滑らせた言葉は、飛び去った鳥のように二度と取り戻せない。
発言する前によく考えろという、言葉の不可逆性に対する戒めです。

沈黙は同意のしるし

Молчание — знак согласия.
(モルチャーニエ・ズナク・サグラシヤ)

何も言わないということは、反対していない(つまり同意している)とみなされる。
会議などで意見を言わずに後で文句を言うのは通用しない、という意味や、恋愛で拒絶しないのはOKのサインだ、という文脈でも使われます。

目から去れば、心からも去る

С глаз долой — из сердца вон.
(ス・グラス・ダロイ・イズ・セルツァ・ヴォン)

去る者は日々に疎し
会わなくなると、どんなに愛していた人でも、記憶や感情は薄れていくものだ。
人間の心理の儚(はかな)さを、少し寂しく表現した言葉です。

味や色に仲間はいない(十人十色)

На вкус и цвет товарищей нет.
(ナ・フクス・イ・ツヴェト・タヴァリシ・ニェト)

蓼食う虫も好き好き
味の好みや色の好みに関しては、「同志(仲間)」はいない。つまり、好みは人それぞれで、一致することはありえないのだから、議論しても無駄だという意味です。

愛は邪悪、山羊(ヤギ)をも愛してしまう

Любовь зла, полюбишь и козла.
(リュボフ・ズラ・パリュービシ・イ・コズラ)

あばたもえくぼ」、「恋は盲目」。
恋に落ちると、相手がたとえ「山羊(=嫌なやつ、ろくでなしの比喩)」であっても愛してしまう。
愛の不条理さと、どうしようもなさを、強烈な皮肉とユーモアで表現しています。

【日常・食】シチーとカーシャ

ロシアの食卓に欠かせないスープやお粥が登場する、生活感あふれる言葉です。

シチー(スープ)とカーシャ(粥)、それが我らの食

Щи да каша — пища наша.
(シチー・ダ・カーシャ・ピーシャ・ナーシャ)

キャベツのスープ「シチー」と、穀物のお粥「カーシャ」。これさえあればロシア人は生きていける。
質素だが栄養のある伝統的な食事への愛着と、贅沢をせずとも満足する心の豊かさを表しています。

空腹は叔母さんではない

Голод не тётка.
(ゴーラト・ニ・チョートカ)

背に腹はかえられぬ
優しい叔母さんなら、パイを焼いて待っていてくれるかもしれないが、空腹という現実はそんなに甘くない(待ってはくれない)。
空腹に迫られれば、人は何でもする(盗みさえ働くかもしれない)という、厳しい現実を示唆しています。

贈り物としてもらった馬の歯は見るな

Дарёному коню в зубы не смотрят.
(ダリョーナム・カニュ・ヴ・ズビ・ニ・スモートリャト)

もらい物の馬の口を開けて、歯を見て年齢(価値)を確認するのは失礼だ。
贈り物は品物そのものの価値ではなく、相手の好意に感謝して受け取るべきだというマナーです。

光るものすべてが金ではない

Не всё то золото, что блестит.
(ニ・フショ・ト・ゾラタ・シトー・ブリスチート)

見た目が華やかで立派でも、中身が伴っているとは限らない。
外見に惑わされず、本質を見抜くことの重要性を説いています。

遅い方が、決してないよりマシ

Лучше поздно, чем никогда.
(ルッチェ・ポズナ・チェム・ニカグダ)

やらないよりは、遅れてでもやった方がずっと良い。
タイミングを逃してしまったことを悔やむより、今からでも行動を起こすことを肯定する、前向きな言葉です。

用心する者を、神は護る

Бережёного Бог бережёт.
(ベレジョーナヴァ・ボーグ・ベレジョート)

備えあれば憂いなし
無茶をする者ではなく、慎重に行動し、自ら用心する者を神様は助けてくれる。
運命を信じつつも、自己防衛の意識を忘れないロシア人の知恵です。

二兎を追う者は一兎をも得ず

За двумя зайцами погонишься — ни одного не поймаешь.
(ザ・ドゥヴミャ・ザイサミ・パゴーニシシャ・ニ・アドナヴォ・ニ・パイマエシ)

欲張って二つの目標を同時に追いかけると、結局どちらも失敗する。
目標を一つに絞り、集中することの大切さを説いています。

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