【保存版】ドイツの有名なことわざ30選|意味・使い方・文化的背景を解説

ドイツの有名なことわざ 【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語
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ドイツのことわざは実用的で論理的、深い洞察に満ちています。
勤勉さや秩序を重んじる心、マイスター制度に代表される職人気質、豊かな思索の伝統がことわざに表れています。

この記事では、ドイツで広く知られ、人々の暮らしや考え方に根付いている有名なことわざ30選を紹介します。
それぞれの意味や使い方、類似する日本のことわざ、そしてドイツの文化や歴史に基づいた背景を解説します。

仕事・勤勉・効率についてのことわざ

「勤勉さ(Fleiß)」や「効率性(Effizienz)」を重んじるドイツらしい、仕事や努力に関する教訓。

練習が名人を作る

Übung macht den Meister.

  • 日本語訳:
    練習がマイスター(名人)を作る。
  • 日本のことわざ:
    習うより慣れろ / 継続は力なり / 好きこそ物の上手なれ
  • 意味:
    繰り返し練習し、経験を積むことによってのみ、熟練した技術や能力が身につく。
  • 使い方:
    技術習得には地道な努力が不可欠であることを説く時や、練習中の人を励ます時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    ドイツの「マイスター制度」(職人の技能認定制度)の精神を象徴する言葉。
    専門技術を尊重し、長年の修練によって高いレベルを目指す文化が根底にあります。

労なくして益なし

Ohne Fleiß kein Preis.

  • 日本語訳:
    勤勉さなしに賞(対価)なし。
  • 日本のことわざ:
    労なくして益なし / 蒔かぬ種は生えぬ
  • 意味:
    努力しなければ、それに見合った報酬や成果は得られない。
  • 使い方:
    目標達成のためには努力が必要であることを強調する時や、楽して何かを得ようとする考えを戒める時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    勤勉さを美徳とするプロテスタント倫理の影響も指摘される、ドイツ人の労働観を代表することわざの一つです。

早起きは三文の徳

Morgenstund hat Gold im Mund.

  • 日本語訳:
    朝の時間は口の中に金を持っている。
  • 日本のことわざ:
    早起きは三文の徳
  • 意味:
    早朝の時間は非常に貴重であり、その時間を有効活用すれば大きな利益や成果を得られる。
  • 使い方:
    早起きの奨励や、午前中の時間を効率的に使うことの重要性を説く時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    ラテン語に由来するとも言われ、ヨーロッパ各地で見られることわざですが、勤勉さを重んじるドイツでも特に好まれます。

まず仕事、しかる後に娯楽

Erst die Arbeit, dann das Vergnügen.

  • 日本語訳:
    まず仕事、それから楽しみ。
  • 日本のことわざ:
    (近いニュアンスで)遊ぶためには働け
  • 意味:
    やるべきこと(特に仕事や義務)を先に済ませてから、楽しみや休息を取るべきだ。
  • 使い方:
    仕事とプライベートのけじめ、やるべきことの優先順位を示す時によく使われます。
  • 由来/文化的背景:
    義務感や規律を重んじるドイツの国民性を反映した言葉とされます。
    計画的に物事を進めることを好む傾向も表れています。

今日できることは明日に延ばすな

Was du heute kannst besorgen, das verschiebe nicht auf morgen.

  • 日本語訳:
    今日できることを、明日に延ばすな。
  • 日本のことわざ:
    今日の一針、明日の十針 / 思い立ったが吉日
  • 意味:
    やるべきことは先延ばしにせず、すぐに取り掛かるべきだ。
  • 使い方:
    先延ばしにしがちな人への戒めや、効率的な仕事の進め方を説く時に使われます。
  • 由来/文化的背景:
    効率性や時間管理を重視する考え方を示しています。上記「Erst die Arbeit…」とも通じる、計画性と実行力を尊ぶ文化が背景にあります。

休む者は錆びる

Wer rastet, der rostet.

  • 日本語訳:
    休む者は錆びる。
  • 日本のことわざ:
    (近い意味で)流水腐らず
  • 意味:
    活動を停止したり、努力を怠ったりすると、能力や活力が衰えてしまう。
  • 使い方:
    常に活動的であること、学び続けることの重要性を説く時や怠惰を戒める時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    常に動き続けること、自己研鑽を怠らないことの価値を強調します。
    勤勉さを美徳とする考え方と結びついています。

自ら行うのが一番

Selbst ist der Mann / die Frau.

  • 日本語訳:
    自分自身がその男/その女である。(自分でやるのが一番)
  • 日本のことわざ:
    (近い意味で)人に頼るな、自分の力で
  • 意味:
    人に頼るよりも、自分でやった方が確実で、うまくいく。
  • 使い方:
    DIY(日曜大工)精神を称賛する時や、他人に任せず自分でやることを決意した時などに使います。
  • 由来/文化的背景:
    自立心や実践力を重んじるドイツ文化を反映しています。近年、性別による固定を避けるため「Selbst ist die Person」などと言い換えられることもあります。

秩序・ルールについてのことわざ

「秩序(Ordnung)」を愛すると言われるドイツ人。ルールや整理整頓に関する言葉です。

整理整頓は生活の半分

Ordnung ist das halbe Leben.

  • 日本語訳:
    秩序(整理整頓)は人生の半分である。
  • 意味:
    身の回りを整理整頓し、物事を秩序立てて行うことは、生活を円滑に進める上で非常に重要である。
  • 使い方:
    整理整頓の重要性を説く時や、整然とした状態を好む価値観を示す時に使われます。
    時にユーモラスに、あるいは皮肉を込めて使われることも。
  • 由来/文化的背景:
    ドイツ人の国民性を表す代表的なことわざの一つ。
    効率性や規律を重んじ、混乱や無秩序を嫌う傾向が背景にあると言われます。

Aと言ったらBと言え

Wer A sagt, muss auch B sagen.

  • 日本語訳:
    Aと言う者は、Bとも言わねばならない。
  • 日本のことわざ:
    (近い意味で)一度始めたことは最後までやれ / 乗りかかった船
  • 意味:
    何かを始めたからには、途中で投げ出さず、最後まで責任を持ってやり遂げなければならない。
    また、ある行動を取ったなら、それに伴う結果や次の段階も受け入れなければならない。
  • 使い方:
    始めたことに対する責任感や、一貫性のある行動を求める際に使われます。
  • 由来/文化的背景:
    論理的な一貫性や、始めたことに対する責任感を重んじる考え方を示しています。
    約束や義務を果たすことを重視する文化が背景にあります。

人生・知恵・経験についてのことわざ

経験から学ぶことの重要性や、人生の真理についての洞察が込められたことわざです。

始めは皆難しい

Aller Anfang ist schwer.

  • 日本語訳:
    すべての始まりは難しい。
  • 日本のことわざ:
    習うより慣れろ(始めることの難しさと、慣れの重要性)
  • 意味:
    何事を始めるにも、最初は困難が伴うものだ。
  • 使い方:
    新しいことを始める人を励ます時や初期の困難は当然であると説明する時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    新しい挑戦に伴う普遍的な困難についての共感を示すことわざです。

失敗から賢くなる

Aus Schaden wird man klug.

  • 日本語訳:
    損害(失敗)から人は賢くなる。
  • 日本のことわざ:
    失敗は成功のもと / 怪我の功名
  • 意味:
    失敗や苦い経験を通して人は教訓を学び、より賢明になる。
  • 使い方:
    失敗から学ぶことの重要性を説く時や、失敗した人を慰め、前向きな視点を与える時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    経験、特に失敗経験から学ぶことの価値を強調する実用的な知恵です。

蛙の子は蛙

Der Apfel fällt nicht weit vom Stamm.

  • 日本語訳:
    リンゴは幹から遠くには落ちない。
  • 日本のことわざ:
    蛙の子は蛙 / 瓜の蔓に茄子はならぬ
  • 意味:
    子供は親の性質や特徴を色濃く受け継ぐものだ。
  • 使い方:
    親子間の類似性を指摘する時に使われます。良い意味でも悪い意味でも使われます。
  • 由来/文化的背景:
    家族や血縁の結びつき、遺伝の影響についての古くからの観察に基づいています。

正直は長続きする

Ehrlich währt am längsten.

  • 日本語訳:
    正直は最も長く続く(価値がある)。
  • 日本のことわざ:
    正直の頭に神宿る
  • 意味:
    嘘やごまかしは一時的には良くても長続きせず、正直であることが結局は最善である。
  • 使い方:
    誠実さや正直さの重要性を説く普遍的な教訓として使われます。
  • 由来/文化的背景:
    英語の「Honesty is the best policy.」と同様の考え方。
    倫理観や信頼関係の基礎として正直さを重視する文化がうかがえます。

明日の百より今日の五十

Ein Spatz in der Hand ist besser als eine Taube auf dem Dach.

  • 日本語訳:
    手の中の一羽のスズメは、屋根の上の鳩よりも良い。
  • 日本のことわざ:
    明日の百より今日の五十
  • 意味:
    不確実で大きな利益を期待するよりも、小さくても確実に手に入るものの方が価値がある。
  • 使い方:
    現実的な選択を促す時や、確実性を重視する考え方を示す時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    リスクを避け、堅実さを好む傾向を示すことわざ。地に足のついた考え方を良しとする価値観が表れています。

終わり良ければすべて良し

Ende gut, alles gut.

  • 日本語訳:
    終わりが良ければ、すべて良し。
  • 日本のことわざ:
    終わり良ければすべて良し
  • 意味:
    途中でどんな困難や問題があっても、最終的に良い結果になれば、それで全て良しとされる。
  • 使い方:
    物事の結果を重視する考え方を示す時や、最終的な成功を祝う時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    シェイクスピアの戯曲のタイトルとしても知られていますが、考え方自体は古くからあります。
    結果を重視する実用的な側面を示しています。

辛抱はバラをもたらす

Geduld bringt Rosen.

  • 日本語訳:
    忍耐はバラをもたらす。
  • 日本のことわざ:
    石の上にも三年 / 待てば海路の日和あり
  • 意味:
    辛抱強く努力を続ければ、やがては美しい成果(バラ)が得られる。
  • 使い方:
    忍耐力や持続的な努力の重要性を説き、焦らず待つことを奨励する時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    努力が報われることへの希望を示す、美しい比喩表現です。
    時間をかけて物事を成し遂げることの価値を伝えています。

驕れる者は久しからず

Hochmut kommt vor dem Fall.

  • 日本語訳:
    傲慢は転落の前に来る。
  • 日本のことわざ:
    驕れる者は久しからず / 実るほど頭を垂れる稲穂かな
  • 意味:
    傲慢な態度や過剰な自信は、失敗や破滅を招く原因となる。
  • 使い方:
    傲慢な人への警告や、謙虚さの重要性を説く時に使われます。
  • 由来/文化的背景:
    旧約聖書の「箴言」に由来する言葉。多くの文化で共通して見られる、傲慢さへの戒めです。

服が人を作る

Kleider machen Leute.

  • 日本語訳:
    服装が人を作る。
  • 日本のことわざ:
    馬子にも衣装
  • 意味:
    身なりや服装が、その人の社会的地位や印象を大きく左右する。
  • 使い方:
    外見、特に服装の重要性を指摘する時に使われます。TPOに合わせた服装を心がけるべきだ、という意味合いで使われることも。
  • 由来/文化的背景:
    スイスの作家ゴットフリート・ケラーの小説のタイトルとしても有名。
    外見が社会的な評価に影響を与えるという現実を捉えています。

嘘は短い脚を持つ

Lügen haben kurze Beine.

  • 日本語訳:
    嘘は短い脚を持っている。
  • 意味:
    嘘はすぐにばれてしまい、長続きしない。
  • 使い方:
    嘘をつくことへの戒めや、正直であることの重要性を説く時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    嘘が露見しやすいことを、短い脚(遠くまで逃げられない)に例えた分かりやすい比喩です。

沈黙は金

Reden ist Silber, Schweigen ist Gold.

  • 日本語訳:
    話すことは銀、黙ることは金。
  • 日本のことわざ:
    言わぬが花 / 口は災いの元
  • 意味:
    雄弁であることも価値があるが、時には沈黙を守ることの方がより賢明で価値がある。
  • 使い方:
    軽々しく話すことへの戒めや、沈黙の重要性、思慮深さを説く時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    古代オリエントに由来するとも言われる古いことわざ。
    状況に応じた適切なコミュニケーションのあり方を示唆しています。

時がすべての傷を癒す

Zeit heilt alle Wunden.

  • 日本語訳:
    時はすべての傷を癒す。
  • 日本のことわざ:
    時薬(ときぐすり) / 日にち薬
  • 意味:
    どんなに辛い悲しみや苦しみも、時間が経てばやがて和らいでいく。
  • 使い方:
    悲しみや失意の中にある人を慰める時に使われます。時間の持つ治癒力への信頼を示す言葉です。
  • 由来/文化的背景:
    古代ギリシャ・ローマ時代から見られる考え方。時間の経過がもたらす心理的な変化についての普遍的な真理を捉えています。

食・飲み物(ビール)についてのことわざ

食文化や飲み物についてのことわざ。ビールのことわざがあるのはドイツらしいです。

空腹は最高のコック

Hunger ist der beste Koch.

  • 日本語訳:
    空腹は最高の料理人である。
  • 日本のことわざ:
    空腹にまずいものなし
  • 意味:
    お腹が空いていれば、どんな食べ物でも美味しく感じられる。
  • 使い方:
    食事の美味しさは空腹具合にも左右されるという事実をユーモラスに表現する時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    ラテン語に由来する古いことわざ。人間の生理的な感覚に基づいた普遍的な真理。

必要に迫られれば悪魔もハエを食う

In der Not frisst der Teufel Fliegen.

  • 日本語訳:
    困窮の中では、悪魔もハエを食べる。
  • 日本のことわざ:
    背に腹はかえられぬ
  • 意味:
    非常に困った状況や、他に選択肢がない場合には、普段なら絶対にしないようなことでも受け入れざるを得なくなる。
  • 使い方:
    切羽詰まった状況での妥協や、不本意な選択を説明する時に使われます。
  • 由来/文化的背景:
    悪魔でさえもプライドを捨てざるを得ないほどの「必要性」の力を示す、少し皮肉の効いた表現。

それは私のビールではない

Das ist nicht mein Bier.

  • 日本語訳:
    それは私のビールではない。
  • 意味:
    それは私の関知することではない、私の責任ではない、私には関係ない。
  • 使い方:
    自分には関係のない問題や、関与したくない事柄に対して、距離を置く意思を示す口語的な表現です。
  • 由来/文化的背景:
    ビールが国民的な飲み物であるドイツならではの言い回し。
    「自分のビール」=「自分の関心事・責任範囲」という比喩。

ホップと麦芽に神のご加護を

Hopfen und Malz, Gott erhalt’s.

  • 日本語訳:
    ホップと麦芽よ、神よそれを護りたまえ。
  • 意味:
    (ビールの主原料である)ホップと麦芽が無事に育ち、良いビールができますように、という願い。
    転じて、物事がうまくいくようにという祈りや、諦めの表現にもなる。
  • 使い方:
    元々は醸造家の祈りの言葉。現代では、「(努力はしたが)あとは神頼みだ」「もう手遅れだ、仕方ない」といったニュアンスで使われることもあります。
  • 由来/文化的背景:
    ドイツのビール純粋令(ホップ、麦芽、水、酵母のみを原料とする)にも通じる、ビール醸造の伝統と文化を反映した言葉。

人間関係・真実についてのことわざ

日が暮れるまで誉めるな

Man soll den Tag nicht vor dem Abend loben.

  • 日本語訳:
    一日を夕方になる前に褒めてはならない。
  • 日本のことわざ:
    (近い意味で)油断大敵 / 勝って兜の緒を締めよ
  • 意味:
    物事が完全に終わる前に、成功したと判断したり、早まって喜んだりしてはいけない。最後まで何が起こるかわからない。
  • 使い方:
    途中経過が良い状況でも、最後まで油断しないように戒める時に使います。
  • 由来/文化的背景:
    早計な判断や楽観主義への警告。慎重さと、物事の結末を見届けることの重要性を示しています。

その他のドイツのことわざ

三つ子の魂百まで

Was Hänschen nicht lernt, lernt Hans nimmermehr.

  • 日本語訳:
    ヘンシェン(ハンスの愛称、幼い子)が学ばないことを、ハンス(大人)は決して学べない。
  • 日本のことわざ:
    三つ子の魂百まで / 鉄は熱いうちに打て
  • 意味:
    幼い頃に身につけなかった習慣や知識は大人になってから習得するのは非常に難しい。
  • 使い方:
    早期教育の重要性や、若い頃の学習習慣の大切さを説く時に使われます。
  • 由来/文化的背景:
    幼少期の経験や学習が、その後の人生に与える影響の大きさを示唆しています。

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