意味
「沈黙は金、雄弁は銀(ちんもくはきんゆうべんはぎん)」とは、雄弁(言葉巧みに話すこと)は銀のように立派で価値があるが、沈黙することは金のようにさらに価値があるという意味です。
- 沈黙(ちんもく):何も言わず、黙っていること。
- 雄弁(ゆうべん):説得力を持って力強く、見事に話すこと。
この言葉は、決して「話すこと」自体を否定しているわけではありません。
雄弁であることの価値(銀)を認めた上で、それ以上に「時と場合によっては、黙っていること(金)の方がより重要で大きな価値を持つ」という、コミュニケーションにおける深い教訓を表しています。
前半の「沈黙は金」だけで使われることも多いことわざです。
語源・由来
「沈黙は金、雄弁は銀」は、日本古来のことわざではなく、ヨーロッパから伝わった翻訳ことわざです。
英語では、19世紀イギリスの思想家・歴史家であるトーマス・カーライルの著作に見えます。
彼が1830年代に発表した著書『衣装哲学(Sartor Resartus)』の第3部第3章「象徴」に、スイスの碑文として次のようにあります。
Speech too is great, but not the greatest. As the Swiss Inscription says: Sprechen ist silbern, Schweigen ist golden (Speech is silvern, Silence is golden)
(言葉もまた偉大だが最も偉大なものではなく、スイスの碑文にいうとおり、雄弁は銀、沈黙は金である)
使い方・例文
「沈黙は金、雄弁は銀」は、他人の不用意な発言を戒める時や、自分の発言を抑えて事態を静観しようとする場面で使われます。
- 彼があえて反論しなかったのは、沈黙は金、雄弁は銀を理解しているからだろう。
- 会議で言い訳を並べるのをやめ、沈黙は金、雄弁は銀と心の中でつぶやいた。
- 沈黙は金、雄弁は銀と言うように、余計な一言が交渉を台無しにすることもある。
類義語・関連語
「沈黙は金、雄弁は銀」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 言わぬが花(いわぬがはな):
口に出してはっきり言わない方が、かえって趣があり、差し障りもないということ。 - 口は禍の門(くちはわざわいのかど):
不用意な発言は、自らを滅ぼす災いを引き起こす原因になるという戒め。 - 口は災いの元(くちはわざわいのもと):
「口は禍の門」とほぼ同じ意味で、口の利き方には気をつけるべきだということ。 - 沈黙は金(ちんもくはきん):
「沈黙は金、雄弁は銀」を短縮した表現。
対義語
「沈黙は金、雄弁は銀」とは対照的に、言いたいことを言わずにいることの苦しさを説く言葉です。
- 思う事言わねば腹ふくる(おもうこといわねばはらふくる):
言いたいことを言わずに我慢していると、不満がたまって気が重くなるということ。
英語表現
「沈黙は金、雄弁は銀」は、もともと英語圏などから入ってきた言葉であるため、英語表現がそのまま直訳の語源となっています。
Speech is silver, silence is golden
直訳は「雄弁は銀、沈黙は金」で、言葉を巧みに操ることは価値があるが、時には沈黙を守ることの方がさらに尊いという、そのままの意味で使う表現。
I didn’t say anything at the meeting. Speech is silver, silence is golden.
(会議では何も発言しなかった。沈黙は金、雄弁は銀だからね。)
Silence is golden
直訳は「沈黙は金」。
後半部分だけを切り取った形で、日常会話ではこちらの方がよく使われる表現。
You don’t have to explain everything. Silence is golden.
(すべてを説明する必要はない。沈黙は金だよ。)
「沈黙は金、雄弁は銀」は原語と順序が逆
原語は “Speech is silver, silence is golden” で、「雄弁は銀、沈黙は金」の順です。
日本語では原語どおりの「雄弁は銀、沈黙は金」のほか、金のほうを先に置く「沈黙は金、雄弁は銀」の形でも言われます。
原典の『衣装哲学』では、作中の教授がこの碑文を引いたすぐあとに、自分の言い換えを次のように続けています。
or as I might rather express it: Speech is of Time, Silence is of Eternity.
(あるいは私ならむしろ、言葉は時のもの、沈黙は永遠のもの、と言い表したい)














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