鬼は日本の文化や伝承に深く根付いてきた存在です。その強さや恐ろしさ、時には人間味を持つ側面から、多くのことわざや慣用句、四字熟語が生まれました。
これらの言葉は、現代でも私たちの感情や状況を表すのに使われています。
本記事では、そんな「鬼」に関連する有名な言葉を集め、その意味とともに種類別に分類してご紹介します。

「鬼」に関することわざ
(主に教訓や風刺、昔からの言い伝えを含む短い句)
- 鬼に金棒(おににかなぼう):
ただでさえ強い鬼に、さらに武器の金棒を持たせることから、強いものが何かを得てさらに強くなることのたとえ。 - 鬼の目にも涙(おにのめにもなみだ):
無慈悲で冷酷な鬼でさえ、時には心を動かされて涙を流すこともある。どんな冷たい人にも人情はあることのたとえ。 - 鬼の居ぬ間に洗濯(おにのいぬまにせんたく):
怖い人や気兼ねする人がいない間に、羽を伸ばしてくつろいだり、好きなことをしたりすることのたとえ。 - 鬼が出るか蛇が出るか(おにがでるかじゃがでるか):
どうなるか全く予測がつかず、何が起こるかわからない、不安な状況のたとえ。 - 鬼も十八、番茶も出花(おにもじゅうはち、ばんちゃもでばな):
鬼のような醜い娘でも十八の年頃には魅力的に見えるし、粗末な番茶でも淹れたては香りが良いことから、何事にも相応の魅力がある時期があることのたとえ。 - 来年のことを言えば鬼が笑う(らいねんのことをいえばおにがわらう):
将来のことは誰にも予測できないのだから、あれこれ言っても仕方がないということのたとえ。 - 渡る世間に鬼はなし(わたるせけんにおにはなし):
世の中は無情な人ばかりのように思えるかもしれないが、実際には親切で情け深い人もいるものだということ。
「鬼」に関する慣用句
(二語以上の語が結びつき、特定の意味を持つ定型的な言い回し)
- 鬼の首を取ったよう(おにのくびをとったよう):
まるで大変な手柄を立てたかのように、得意になって大喜びする様子のたとえ。 - 鬼の霍乱(おにのかくらん):
普段は非常に健康で丈夫な人が、珍しく病気になることのたとえ。(霍乱は日射病や急性の胃腸炎) - 心を鬼にする(こころをおににする):
相手のためを思い、愛情や同情心を抑えて、あえて厳しくつらい態度をとること。 - 来年のことを言えば鬼が笑う(らいねんのことをいえばおにがわらう):
確実でない未来のことを言っても仕方がない、あてにならないということ。 - 鬼の形相(おにのぎょうそう):
鬼のように、非常に恐ろしく、すさまじい顔つき。激しい怒りや憎しみに満ちた表情。 - 鬼籍に入る(きせきにはいる):
死ぬこと。亡くなった人の名を記録するという閻魔帳(鬼籍)に名前が載ることから。
「鬼」に関する四字熟語
(漢字四字で構成される熟語)
- 疑心暗鬼(ぎしんあんき):
疑いの心があると、何でもないことまで不安になったり、恐ろしく感じられたりすること。 - 神出鬼没(しんしゅつきぼつ):
まるで神や鬼のように、どこに現れるか予測できず、自由自在に出没すること。 - 百鬼夜行(ひゃっきやこう/ひゃっきやぎょう):
多くの妖怪たちが夜中に列をなして歩き回ること。転じて、悪人や怪しい者たちが我が物顔で横行闊歩すること。 - 鬼手仏心(きしゅぶっしん):
外科医などが、手術でメスを振るう手は鬼のように恐ろしく見えても、患者を救おうとする心は仏のように慈悲深いこと。 - 悪鬼羅刹(あっきらせつ):
仏教でいう、人に害をなす恐ろしい鬼。転じて、心がねじけていて残酷な人。 - 魑魅魍魎(ちみもうりょう):
山や水、木石などにすむ様々な化け物、妖怪の総称。 - 鬼面仏心(きめんぶっしん):
「鬼手仏心」と類義。顔は鬼のように恐ろしくても、心は仏のように優しいこと。
「鬼」に関するその他の関連語
- 天邪鬼(あまのじゃく):
わざと人に逆らったり、本心とは反対の言動をとったりする、ひねくれた性格の人。
まとめ
鬼にまつわることわざや慣用句、四字熟語は、鬼の強さや恐ろしさだけでなく、時には弱さや人間らしさも描き出し、人生の様々な教訓や機微を伝えています。
これらの言葉を知ることで、日本人が古来より鬼という存在をどのように捉え、表現してきたのかを垣間見ることができますね。
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