意味
「鬼面仏心(きめんぶっしん)」とは、顔つきや外見は鬼のように恐ろしいが、心の中は仏のように慈悲深く優しいこと、という意味です。
生まれつきの強面(こわもて)で誤解されやすい人や、第一印象は怖いが実は部下思いの上司などを褒める(または弁護する)際によく使われます。
- 鬼面(きめん):鬼のような恐ろしい顔つき。
- 仏心(ぶっしん):仏のような慈悲深い心。
語源・由来
「鬼面仏心」は、日本の文化において恐怖の象徴である「鬼(の面)」と、慈愛の象徴である「仏(の心)」という、対極にある言葉を組み合わせることで、強烈なコントラストを表現した四字熟語です。
使い方・例文
基本的には「見た目との良いギャップ」を伝える褒め言葉として使われます。
ただし、「鬼面(顔が怖い)」という言葉が含まれるため、本人に向かって直接言うと「顔が怖い」と指摘することになり、失礼にあたる場合があります。本人のいないところで人柄を紹介する際などに使うのが無難です。
例文
- 彼は一見近寄りがたいが実は鬼面仏心で、誰よりも涙もろく世話好きだ。
- あの課長は怒ると怖いが、裏では部下を守るために頭を下げている鬼面仏心の人だ。
- まさに鬼面仏心。厳つい風貌からは想像もつかないほど料理は繊細で優しい。
類義語・関連語
「鬼面仏心」のように、外見や言動の厳しさと内面の優しさを併せ持つ言葉です。
- 豪放磊落(ごうほうらいらく):
太っ腹で小事にこだわらないこと。見た目の怖さよりも「器の大きさ」を強調する場合に使われます。 - 気は優しくて力持ち(きはやさしくてちからもち):
金太郎のように、力は強くて見た目は勇ましいが、心は穏やかで優しいこと。(慣用句)
「鬼面仏心」と「鬼手仏心」の違い
一字違いで混同されますが、「何が鬼なのか」を見れば分かれます。
| 語句 | 何が鬼なのか | 使う場面 |
|---|---|---|
| 鬼面仏心 (きめんぶっしん) | 顔つき・見た目 | 怖そうに見えて実は優しい人柄を言うとき |
| 鬼手仏心 (きしゅぶっしん) | 手段・やり方 | 厳しく当たるが根に思いやりがある指導や治療を言うとき |
※「強面(こわもて)」という言葉自体には「実は優しい」という意味は含まれませんが、文脈でセットで使われることが多い言葉です。
対義語
「鬼面仏心」とは対照的に、外見は良いが中身が悪意に満ちている言葉は以下の通りです。
- 人面獣心(じんめんじゅうしん):
顔は人間だが、心は猛獣のように冷酷で、恩義や道徳を知らないこと。 - 口蜜腹剣(こうみつふくけん):
口では蜜のように甘いことを言いながら、腹の中には剣(害意)を隠し持っていること。 - 笑裏蔵刀(しょうりぞうとう):
笑顔の裏に、人を陥れるための刀(悪意)を隠していること。「笑中に刀あり」とも言います。
英語表現
「鬼面仏心」の「見た目は怖いが心は優しい」というニュアンスを伝える英語表現です。
have a heart of gold
直訳は「黄金の心を持っている」で、とても優しく誠実で思いやりがあるという意味を表す表現。
外見について言及するフレーズ(He looks scary, but…)と組み合わせて使うことで、「鬼面仏心」のニュアンスを伝えられる。
He looks scary, but he has a heart of gold.
(彼は怖そうに見えるが、実は仏のような心の持ち主だ。)
His bark is worse than his bite
直訳は「吠え声のほうが噛みつきよりひどい」で、激しく吠える犬ほど噛まないことからきた言い回し。
顔つきではなく口調や態度が怖い相手に向けて使う形。
Don’t worry about the boss. His bark is worse than his bite.
(部長のことは気にするな。鬼面仏心という人だ。)
「鬼面仏心」と一字違いの「鬼手仏心」は外科医の言葉
「鬼面仏心」と一字違いの「鬼手仏心」は、外科医が残酷に見えるほど大胆に手術するのは、患者を治したいという慈悲の心からだ、という意味の言葉です。
そこから広く、容赦なく見えて実は相手のためを思っている行いにも使われます。
「仏心鬼手」とも言います。











コメント