羊の皮を被った狼

スポンサーリンク
ことわざ 慣用句
羊の皮を被った狼
(ひつじのかわをかぶったおおかみ )

16文字の言葉ひ・び・ぴ」から始まる言葉
意味・使い方

温厚で無害に見えるが、内面には邪悪な本性や悪意を隠し持っている危険な人物。
このような人物を表すのが、「羊の皮を被った狼」(ひつじのかわをかぶったおおかみ)です。

意味

「羊の皮を被った狼」とは、外見は親切で善良そうに見えるが、内面は悪意や危険な本性を隠し持っている人という意味です。
無害な羊に成りすまして獲物を狙う狼の姿に例え、表面的な優しさに騙されないよう警戒を促す言葉として使われます。

  • (ひつじ):温厚で無害なものの例え
  • 皮を被る(かわをかぶる):本性を隠して偽ること
  • (おおかみ):残酷で危険なものの例え

語源・由来

この言葉は、新約聖書の『マタイによる福音書』に登場するイエス・キリストの教えに由来します。

当時の人々に対し、偽りの教えを広める者(偽預言者)への警戒を促すため、彼らを羊の群れに紛れ込む危険な狼に例えました。

偽預言者たちに気をつけなさい。彼らは羊のなりをしてやって来るが、うちは貪欲な狼です。

これは「偽の預言者には注意しなさい。彼らは大人しい羊のふりをして近づいてくるが、心の中は獲物を狙う恐ろしい狼だからです」という教えです。

使い方・例文

人の本性や裏切りが明らかになった場面などで使われます。

  • 彼は温厚そうに見えるが、実は計算高い羊の皮を被った狼だ。
  • 親切なふりで近づいてくるが、ああいうのは羊の皮を被った狼かもしれない。
  • 表向きは善人でも、裏では利益をむさぼる羊の皮を被った狼だった。

類義語・関連語

「羊の皮を被った狼」の類義語には、以下のような言葉が挙げられます。

  • 猫を被る(ねこをかぶる):
    本性や悪意を隠し、おとなしそうに見せかけること。
  • 面従腹背(めんじゅうふくはい):
    表面上は従うように見せかけ、心の中で反発していること。
  • 口蜜腹剣(こうみつふくけん):
    口では甘いことを言い、心の中で悪意を抱いていること。

「羊の皮を被った狼」と類義語の違い

「羊の皮を被った狼」と「猫を被る」はどちらも本性を隠す意味を持ちますが、内に秘めた悪意の深さや対象への危害の有無に決定的な違いがあります。

語句危険度内に秘めたもの使える状況
羊の皮を被った狼極めて高い悪意や害意詐欺や裏切りなど
深刻な被害を及ぼす相手
猫を被る低いおとなしさや
愛想の良さ
目上の人の前でいい子に
振る舞う程度の軽い偽り

対義語

対義語には、以下のような言葉が挙げられます。

  • 正直者(しょうじきもの):
    嘘や偽りがなく、心がまっすぐな人。
  • 誠実(せいじつ):
    真心があり、偽りがないこと。

英語表現

A wolf in sheep’s clothing

意味:外見は無害だが内心は危険な人物

  • 例文:
    Be careful of him. He is a wolf in sheep’s clothing.
    彼には気をつけなさい。羊の皮を被った狼です。

イソップ寓話に「羊の皮を被った狼」は、もともとなかった

「羊の皮を被った狼」という言葉は、イソップ寓話が起源だと紹介されることが多々あります。
しかし実際のところ、古代ギリシャのイソップ(アイソーポス)が語ったとされる本来の寓話集の中に、このお話は存在しませんでした。

羊の皮を被って獲物を狙う狼の物語が文献に登場するのは、12世紀のギリシャの学者ニケフォロス・バシラキスによる書物など、中世に入ってからです。
新約聖書におけるイエスの比喩表現が後世の人々に影響を与え、少しずつ物語として形を変えながら、いつしかイソップ寓話の一つとして組み込まれていきました。

スポンサーリンク

コメント