来年の事を言えば鬼が笑う

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ことわざ
来年の事を言えば鬼が笑う
(らいねんのことをいえばおにがわらう)
短縮形:鬼が笑う
異形:明日の事を言えば鬼が笑う/来年の事を言うと鬼が笑う

17文字の言葉」から始まる言葉
来年の事を言えば鬼が笑う 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

「将来はこうなりたい」「来年はあそこへ行こう」と、未来に思いを馳せて計画を立てるのは楽しいものです。
しかし、あまりにも先のことを自信満々に話していると、どこか現実味のない、浮足立った様子に見えてしまうことがあります。

来年の事を言えば鬼が笑うとは、そんな人間の姿をユーモラスにたしなめる言葉です。
未来のことは誰にも分からないという「真理」を含みつつ、日常会話では会話のクッション言葉としても親しまれています。

意味

人間には予測できない未来のことを、あたかも確定しているかのように話すのは愚かしいことである、というたとえ。
転じて、将来のことは何が起こるか分からないのだから、あれこれ言っても始まらないという意味で使われます。

  • 来年の事:まだ来ていない、不確定な未来の象徴。
  • 鬼が笑う:人知を超えた存在(鬼)から見れば、人間の浅はかな予測や計画は滑稽(こっけい)であり、あざ笑う対象であるということ。

単に「予測できない」と否定するだけでなく、「鬼が笑う」という少しおどけた表現を使うことで、相手の話を柔らかくたしなめたり、自分の夢物語を照れ隠しで話したりする際に重宝されます。

由来・語源

この言葉には、特定の人物による発言や、古典文学などの明確な出典(元ネタ)は見つかっていませんが、古くから庶民の間で使われてきた口承文芸の一つと考えられています。

上方いろはかるたの「ら」

最も確実な出典として挙げられるのは、江戸時代に京都・大阪(上方)で親しまれた「上方いろはかるた」です。
このかるたの「ら」の読み札として「来年の事を言えば鬼が笑う」が採用されており、これによって広く庶民に定着しました。
(※ちなみに、江戸のいろはかるたの「ら」は「楽あれば苦あり」です。)

なぜ「鬼」が笑うのか?

「なぜ神様や仏様ではなく、鬼なのか」については、昔からいくつかの説が唱えられています。

  1. 寿命を知っているから説
    地獄で閻魔大王(えんまだいおう)に仕える鬼たちは、人間の寿命が記された帳簿(閻魔帳)の内容を知っているとされます。
    「こいつは来年まで生きていないのに、能天気なことを言っている」という、「死」を司る存在ならではの冷ややかな嘲笑であるという解釈です。
  2. 人間の儚(はかな)さを知っているから説
    強靭な肉体と長い寿命を持つ鬼から見れば、いつ死ぬかも分からず、明日のことさえままならない人間が、得意げに未来を語る様子は「ちゃんちゃらおかしい」と映るため、という解釈です。

使い方・例文

日常会話では、他人を批判するよりも、自分自身の話をする時の「前置き」として使われる頻度が高い言葉です。

夢や長期的な目標を語る際、「非現実的な話だ」と笑われるのを防ぐために、「鬼が笑うかもしれませんが」と自ら断りを入れることで、謙虚さやユーモアを示すことができます。

例文

  • 来年の事を言えば鬼が笑うと言うけれど、いつか必ずこの目標を達成したいんだ。」
  • 「まだ合格もしていないのに卒業旅行の計画なんて、来年の事を言えば鬼が笑うよ。」
  • 来年の事を言えば鬼が笑うかもしれないが、老後は田舎でのんびり暮らすのが夢なんだ。」

「来年の事を言えば鬼が笑う」の類義語

未来の不確実性を説く言葉は数多く存在します。

  • 明日の事を言えば鬼が笑う(あしたのことをいえばおにがわらう):
    「来年」を「明日」に置き換えた同義語。
    「明日」とすることで、直近の未来さえ分からないという切迫感が強調されます。
  • 一寸先は闇(いっすんさきはやみ):
    ほんの少し先のことも、全く予測できないことのたとえ。
    この言葉は「予期せぬ災難や不幸」のニュアンスで使われることが多いです。
  • 捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう):
    まだ捕まえてもいない狸の皮を売ることを考えるように、不確実な利益を当てにして計画を立てること。
    「計画の不確かさ」を指摘する点は共通していますが、こちらは主に「金銭・利益」に焦点が当たります。

「来年の事を言えば鬼が笑う」の対義語

未来への準備や、予測の重要性を説く言葉が対義語となります。

  • 備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし):
    普段から準備を整えておけば、いざという時に心配しなくて済むということ。
  • 転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ):
    失敗しないように、前もって用心すること。

「来年の事を言えば鬼が笑う」の英語表現

英語圏にも、人間の計画がいかに不確かであるかを説く、よく似た名言があります。

God laughs when men make plans.

  • 直訳:人間が計画を立てると神が笑う
  • 意味:「来年の事を言えば鬼が笑う
  • 解説:イディッシュ(ユダヤ系)の格言に由来すると言われる表現です。
    日本の「鬼」に対して、西洋では「神(God)」が笑うという対比が文化の違いを表しています。
    「人間がどんなに完璧な計画を立てたつもりでも、運命(神の意志)の前では無力である」というニュアンスです。

Nobody knows what tomorrow will bring.

  • 意味:「明日のことは誰にも分からない
  • 解説:より一般的で、日常会話で使いやすい表現です。「一寸先は闇」のニュアンスに近いです。

まとめ

来年の事を言えば鬼が笑うとは、予測できない未来を語ることの滑稽さを、「鬼」という超越的な存在の視点を借りて表現した言葉です。

本来は「先のことは分からないのだから、不確実なことにうつつを抜かすな」という戒めですが、
現代では「夢を語る際の前置き」として、会話の雰囲気を和らげるために使われることも多くなりました。

未来への不安や期待で頭がいっぱいになってしまった時、この言葉を思い出せば、「どうなるか分からないことを今悩んでも仕方がない」と、肩の力を抜くきっかけになることでしょう。

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