ことわざ 慣用句 故事成語

先見の明

(せんけんのめい)

物事が起こる前にその成り行きや結果を正しく見抜く優れた判断力。


7文字の言葉 / 「せ・ぜ」から始まる言葉
先見の明 ことば
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意味

「先見の明(せんけんのめい)」とは、先々の成り行きを前もって見通す賢さという意味で、多くは「先見の明がある」「先見の明があった」の形で使います。

語源・由来

この言葉は、中国の歴史書『後漢書ごかんじょ』にある逸話から生まれました。

後漢の末期、政治家の楊彪ようひょうは、息子の楊修ようしゅうを曹操に殺されました。
そのあと曹操に痩せた理由を問われた楊彪ようひょうは、金日磾きんじつていという人物を引き合いに出し、「私には彼のような先見の明がなかった」と自らを省みたといいます。
金日磾きんじつていは、宮中で女官とたわむれていた自分の息子を、その乱れを憎んで自ら殺した人物です。

この記述から、将来起こりうる危機や変化を鋭く見抜く能力を「先見の明」と呼ぶようになりました。

使い方・例文

誰かの判断がのちに正しかったと分かったときや、将来を見据えた行動をほめるときに使います。

  • SNSの流行を予測していた彼は、まさに先見の明がある。
  • 異常気象に備えて収穫を終えた農家には、先見の明があった。
  • 街の発展を見越して出店した店主の先見の明に驚く。

誤用・注意点

「先見の目」と書くのは誤りです。

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類義語・関連語

いずれも、物事を見抜く力やはたらきを表す言葉です。

  • 慧眼(けいがん):
    物事の本質を鋭く見抜く、優れた眼力。
    先見の明が事の起こる前を見抜くのに対し、時を問わず物事の本質を見抜く力を言う。
  • 洞察力(どうさつりょく):
    目に見えない部分まで深く観察し、本質を見極める力のこと。
  • 予見(よけん):
    これから起こる出来事を、前もって知ること。
    見通す力ではなく見通す行いを言い、「〜を予見する」と動詞としても使う。

対義語

反対に、先を見通せないことや、事が済んでから気づくことを表す言葉には、次のようなものがあります。

  • 後知恵(あとぢえ):
    事が終わったあとで思いつく知恵。必要なときには間に合わない。
  • 近視眼的(きんしがんてき):
    目先の状況にばかりとらわれ、長期的な展望がないこと。
  • 一寸先は闇(いっすんさきはやみ):
    ほんの少し先の未来であっても、何が起こるか全く予測できないというたとえ。

英語表現

英語では、次の語が近い意味を表します。

foresight

「先見の明」「予見」
将来必要になることを予測し、前もって備える賢さを表す語。

She had the foresight to bring an extra battery.
(彼女は予備のバッテリーを持ってくるという先見の明があった。)

vision

「洞察力」「未来像」
特に指導者などが、将来のあるべき姿を思い描く力。

He is a leader with vision.
(彼は先見の明がある指導者だ。)

「先見の明」の原文、後半は子牛をなめる老牛

曹操に痩せた理由を問われた楊彪ようひょうの答えは、原文では次の一文です。

愧無日磾先見之明,猶懷老牛舐犢之愛。
(金日磾きんじつていのような先見の明がなかったことを恥じ、それでも老いた牛が子牛をなめるような親の愛情を抱いています)

前半は自分の見通しの甘さを恥じる言葉、後半は亡き息子への情を語る言葉です。
この一文からは「先見の明」のほかに、親が子をいたわる情を表す「老牛舐犢しとくの愛」という言葉も生まれています。

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