意味
「鬼が出るか蛇が出るか(おにがでるかじゃがでるか)」とは、この先いったい何が待ち受けているのか、まるで見当がつかないという意味です。
語源・由来
江戸時代、首から箱を提げて各地を回った傀儡師(かいらいし)が、箱の中の人形を見せる前に客へ向けて放った口上に由来します。
「鬼が出るか、蛇が出るか」と語りかけることで観客の好奇心を煽り、次に何が現れるかというドキドキ感を高めるための決まり文句でした。
鬼も蛇も、突然現れては困る不気味なものの代表として用いられており、この口上が転じて、この先何が起こるか見当もつかない状況を指す表現として定着しました。
使い方・例文
「鬼が出るか蛇が出るか」は、結果がどう転ぶか予測できず不安な場面で使われます。
- 新しい治療法の効果のほどは、鬼が出るか蛇が出るか分からない。
- 交渉の行方はまさに鬼が出るか蛇が出るかの状況だ。
- 初めての海外一人旅は鬼が出るか蛇が出るかの心境だった。
- 気難しい上司に企画書を見せるのは、鬼が出るか蛇が出るかで緊張する。
類義語・関連語
「鬼が出るか蛇が出るか」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 一寸先は闇(いっすんさきはやみ):
すぐ先の未来すら全く予測できないことです。 - 鬼が出るか仏が出るか(おにがでるかほとけがでるか):
吉と出るか凶と出るか、先の見通しが全く立たないことです。本語の異型としても知られます。 - 鬼が住むか蛇が住むか(おにがすむかじゃがすむか):
どんな恐ろしいものが潜んでいるか分からないことです。
人が心の底で何を考えているか分からないことにもいいます。
対義語
「鬼が出るか蛇が出るか」と反対の意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 火を見るよりも明らか(ひをみるよりもあきらか):
結果が明白で疑う余地が全くないことです。 - 掌を指す(たなごころをさす):
物事の道理や結果が極めて明白であることです。
英語表現
「鬼が出るか蛇が出るか」を英語で表現する場合、予測がつかない状況を表す言い回しが使われます。
God only knows
人間には全く予測がつかない状況を表す決まり文句。
Whether I’ll be accepted, God only knows.
(採用されるかどうかは誰にも分からない。)
There’s no telling what might happen
先行きが全く読めない状況を表す表現。
With negotiations this tense, there’s no telling what might happen next.
(これほど緊迫した交渉では、次に何が起きるか全く見通せない。)
菊池寛『真珠夫人』、ノートに「鬼が出るか蛇が出るか」
菊池寛が1920年に発表した小説『真珠夫人』に、この言い回しが出てきます。
事故で死んだ青年から、海へ捨てるようにとノートを託された信一郎は、そのノートを瑠璃子夫人の目の前に突き付けます。
夫人を責める言葉が書かれたノートです。
鋼鉄の如き心と云うのは、恐らく今の場合の夫人の心を云うのだろう。鬼が出るか蛇が出るか分らないそのノートを、受け取りながら、一糸紊れたところも、怯んだところも見せなかった。
(鋼のような心とは、このときの夫人の心をいうのだろう。何が出てくるか分からないそのノートを受け取りながら、少しも取り乱さず、ひるむ様子も見せなかった)
開いてみるまで中身の分からないノートを、菊池寛は「鬼が出るか蛇が出るか分らない」と書きました。
先の成り行きだけでなく、手にした物の中身が読めないときにも、「鬼が出るか蛇が出るか」は使えます。











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