意味
「嘘つきは泥棒の始まり(うそつきはどろぼうのはじまり)」とは、小さな嘘を重ねるうちに悪いことへのためらいが薄れ、盗みのような悪事にまで進んでしまうという意味です。
語源・由来
江戸時代の末のことわざ集に「嘘は盗賊の始まり」の形が見え、明治24年(1891年)のことわざ集『金諺一万集』にも「虚言は盗賊の始まり」とあります。
「泥棒」を使った形は、明治の終わりの本に、「嘘は泥棒の始まり」「嘘つきは泥棒の始め」などの形で見えます。
英語にもドイツ語にもほぼ同じ形のことわざがあり、西洋のことわざが訳されて入った可能性も指摘されています。
使い方・例文
「嘘つきは泥棒の始まり」は、主に子供へのしつけや、大人が自分の不誠実な行動を戒める場面で使われます。
ビジネスにおいては、不正の芽を摘むための厳しい警告として響くこともあります。
- 「嘘つきは泥棒の始まりだよ」と、母親は花瓶を割ったことを隠した息子をたしなめた。
- 都合の良い嘘をつきそうになり、嘘つきは泥棒の始まりと自らを律した。
誤用・注意点
この言葉を大人に向けると、相手を泥棒の予備軍と見ているように聞こえます。
そのため、たとえ相手に非があったとしても、同僚や取引先など大人に向かって使うのは失礼にあたるので注意が必要です。
あくまで「習慣化することの恐ろしさ」を諭す言葉であり、一度の失言や間違いを過剰に攻撃するために使うと、かえって人間関係を損なう恐れがあります。
類義語・関連語
「嘘つきは泥棒の始まり」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 嘘つきは盗人の苗代(うそつきはぬすっとのなわしろ):
嘘をつく癖は、泥棒になるための「苗」を育てているような状態であるということ。 - 小事は大事(しょうじはだいじ):
小さな事でも放っておくと、後に取り返しのつかない大きな事件になるということ。 - 蟻の穴から堤も崩れる(ありのあなからつつみもくずれる):
ほんの少しの不注意や油断が、大きな災難を招く原因になることのたとえ。 - 正直は一生の宝(しょうじきはいっしょうのたから):
正直であることは、一生を通して自分を助け、信頼を得るための何よりの宝物であるということ。
対義語
「嘘つきは泥棒の始まり」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 嘘も方便(うそもほうべん):
物事を円滑に進めるためには、時には嘘をつくことも手段として必要であるということ。
英語表現
「嘘つきは泥棒の始まり」を英語で表現する場合、次のことわざが使われます。
Show me a liar, and I’ll show you a thief
「嘘つきを見せなさい、そうすれば私はあなたに泥棒を見せましょう」という意味で、嘘と盗みが表裏一体であることを強調しています。
ドイツにも同じことわざ
明治36年(1903年)に出たドイツ語の独習書『独逸語速成』には、ドイツのことわざ18句を訳す練習の章があります。
そこでは「Wer lügt, der stiehlt.」を「虚言する者は亦盗むなり」(嘘をつく者は盗みもする、の意)と直訳したうえで、かっこ書きで日本のことわざ「嘘は盗賊の始」を添えています。
18句のうち日本のことわざが添えてあるのは、この句と、「Eile mit Weile.」に当てた「急がば廻れ」、それに「ひもじい時にまずいものなし」の3句だけです。










コメント