不在の人の話題を出した途端、偶然にもその本人が姿を現すことがあります。
このような予測不能なタイミングの良さや、驚きの状況を表すのが、
「噂をすれば影が差す」(うわさをすればかげがさす)です。
意味
「噂をすれば影が差す」は、他人の噂話をしていると、ちょうどその本人が現れることを意味します。
ここでいう「影」は人の姿を、「差す」はその姿がふっと現れる様子を表しており、まるで噂が本人を呼び寄せたかのような状況を言い表しています。
語源・由来
特定の故事に由来する言葉ではなく、人々のあいだで交わされる噂話という日常的な場面から自然に生まれた表現とされています。
文献上では、江戸時代のことわざ集『譬喩尽』(1789年)に見られるほか、式亭三馬の滑稽本『浮世床』(文化年間)にも「噂をすれば蔭がさすだ」という用例が確認されています。
使い方・例文
「噂をすれば影が差す」は、話題にしていた人物が予期せずその場に現れたという場面で使われます。
- 友人の話をした途端に店のドアが開き、まさに噂をすれば影が差すだ。
- 先生の噂話をしていたら背後から声が聞こえ、噂をすれば影が差すを実感する。
- 両親について妻と案じていたところへ電話が鳴り、噂をすれば影が差すと驚く。
類義語・関連語
「噂をすれば影が差す」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 呼ぶより謗れ(よぶよりそしれ):
わざわざ人を呼ぶよりも、その人の悪口を言っている方が早く本人が現れるという状況。 - 噂を言えば影が差す(うわさをいえばかげがさす):
噂話をしていると本人が現れるという、動詞のみが変化した同義の表現。
英語表現
Speak of the devil.
直訳:悪魔の話をすると。
意味:噂をしていた当人が現れた状況
- 例文:
We were just talking about you. Speak of the devil.
ちょうど君の話をしていたところです。噂をすれば影が差すですね。
なぜ国によって「引き寄せられる存在」が異なるのか?
「噂をすると本人が現れる」という表現は世界各地に見られますが、登場する存在にはその国の文化や価値観が反映されています。
英語の Speak of the devil は、不吉なものの名を口にすると現れるという迷信に由来する表現です。
一方、中国では「説曹操,曹操就到(曹操の話をすると曹操が来る)」と言われます。
これは、歴史物語の中で曹操が絶妙なタイミングで現れた逸話にちなむものとされています。









コメント