意味
「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」とは、虎が死んだ後に美しい毛皮を残すように、人間も死んだ後に立派な名前や功績を後世に残すべきであるという教訓です。
単に有名になることではなく、人として正しく生き、優れた足跡を刻むことの大切さを説いています。
- 虎は死して皮を留め:虎は死んでもその見事な皮が宝として残ること。
- 人は死して名を残す:人間も死後、その名声や徳が語り継がれるべきであること。
語源・由来
「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」の語源は、中国の歴史書『新五代史』の「王彦章伝」にあります。
五代十国時代の武将、王彦章が「豹(ひょう)は死して皮を留め、人は死して名を残す」という言葉を座右の銘とし、忠義を尽くした逸話が元になっています。
日本に伝わった際、より強大で尊い象徴であった「虎」に置き換わり、現在の形として広まりました。
使い方・例文
自分の利益だけを追求するのではなく、社会や家族、後世のために何ができるかを考える場面で用いられます。
志の高さや、故人の立派な生涯を称える際にも適した表現です。
例文
- 祖父は地域の発展に尽くし、虎は死して皮を留め、人は死して名を残すを体現した。
- 虎は死して皮を留め、人は死して名を残すを胸に、誇れる仕事をしたい。
- 彼の教えは虎は死して皮を留め、人は死して名を残すのごとく生き続けている。
類義語・関連語
「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 雁は死して声を残す(がんせいはししてこえをのこす):
雁が去った後に声が残るように、人も死後に名声を残すべきだという教訓。 - 名を竹帛に垂らす(なをちくはくにたらす):
歴史に名を永く残すこと。「竹帛」とは、紙が発明される前に文字を書いた竹や絹のこと。 - 死して不朽(ししてふきゅう):
肉体は滅びても、その功績や名声が永遠に失われないこと。
対義語
「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 遺臭万載(いしゅうまんざい):
悪名がいつまでも後世に残ること。「芳名(良い名)」の反対。 - 死して屍拾う者なし(ししてしかばねひろうものなし):
誰にも顧みられず、功績もなく寂しく死んでいくことの例え。
英語表現
「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」を英語で表現する場合、以下の表現があります。
A tiger leaves his skin, as a man leaves his name
「虎はその皮を残し、人はその名を残す」
日本語のことわざと全く同じ構造を持つ、教訓的な表現です。
Remember that a tiger leaves his skin, as a man leaves his name. Live with honor.
(虎は皮を残し人は名を残すという。誇りを持って生きなさい。)
A good name is better than riches
「良き名は富に勝る」
財産を築くことよりも、立派な人格や評判を保つことの方が価値があるという意味です。
字を知らない武将が口にした言い回し
『新五代史』の王彦章伝は、この言葉を王彦章自身が作ったとは書いていません。
「彦章は武人で書を知らず、常に俚語もて人に謂いて曰く」と前置きしたうえで、「豹死して皮を留め、人死して名を留む」と引いています。
俚語とは、その土地で日常的に使われる言い回しのことです。
書物を読まない将軍が、当時すでに人々の間にあったことわざを口にした場面として記録されました。
王彦章は後梁の武将で、敗れて後唐に捕らえられたのち、降伏を拒んで処刑されています。













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