つい自分の都合ばかり考えてしまったり、周りの状況が見えなくなってしまったり…。
誰にでもあるかもしれない「自分勝手」な心。
しかし、そうした振る舞いは、時として人間関係を損ねたり、周りに迷惑をかけたりしてしまいます。
古くから、ことわざや四字熟語には、そんな自分勝手な様子や、それを戒める言葉が数多く伝えられています。
そうした言葉を集めてご紹介します。
自分勝手な様子を表す【四字熟語】
他者をあまり顧みず、自分のことを中心に考えてしまうような態度や振る舞いを表す四字熟語です。
- 我田引水(がでんいんすい):
自分の田にだけ水を引くように、物事を自分に都合よく解釈し行動する様子。
江戸期のことわざ「我が田へ水を引く」を漢語読みにした、明治期の和製熟語と考えられる語。 - 唯我独尊(ゆいがどくそん):
この世で自分だけが尊いと考えうぬぼれる、独りよがりな態度。
もとは釈迦が生まれたときに唱えたと伝わる「天上天下唯我独尊」の略で、仏教ではこの世界に自分より尊いものはないという意。 - 傍若無人(ぼうじゃくぶじん):
まるで周囲に人がいないかのように振る舞う、自分勝手な態度。
『史記』が伝える刺客・荊軻の逸話に由来。 - 厚顔無恥(こうがんむち):
厚かましく恥を知らないこと。
「厚顔」は面の皮が厚い様子で、非難をものともしない図々しさを表す。 - 自己中心(じこちゅうしん):
物事を自分の立場や利益で考え、他者の気持ちや状況をあまり顧みない思考の傾向。 - 自分本位(じぶんほんい):
何事も自分の基準で判断し行動すること。
「自己中心」と同じ意味で使われる語。 - 得手勝手(えてかって):
他人や周囲のことは構わず、自分の都合ばかりを考えて振る舞うこと。 - 利己主義(りこしゅぎ):
自分の利益だけを中心に考える態度や思想。
「エゴイズム」とも言う。 - 私利私欲(しりしよく):
公共の利益や他者を考えず、自分の利益や欲望のみを追い求める姿勢。 - 独断専行(どくだんせんこう):
他人に相談せず、自分一人の判断だけで物事を決定し実行すること。
「専行」は、勝手に行うこと。
自分勝手な行動・考え方を表す【ことわざ】
自分勝手な行動や考え方を、教訓や皮肉を込めて言い表すことわざです。
- 亭主の好きな赤烏帽子(ていしゅのすきなあかえぼし):
主人の好みは、たとえ風変わりでも周囲が従うことになる状況のたとえ。
烏帽子は本来黒塗りで、赤は当時の奇抜な趣向。 - 後は野となれ山となれ(あとはのとなれやまとなれ):
当面のことさえ済めば、あとは野原になろうと山になろうと構わないという、投げやりな態度。 - 人の褌で相撲を取る(ひとのふんどしですもうをとる):
他人の褌を借りて相撲を取るように、他人の物や労力を利用して自分の利益を得る行為。 - 恩を仇で返す(おんをあだでかえす):
恩恵を受けた相手に、感謝するどころか逆に害を与える行為。
裏切りへの強い非難を込めた言い回し。
自分勝手な行動・考え方を表す【慣用句・言い回し】
身勝手な要求や無責任な態度、人の意見を聞かない様子などを言い表す、慣用的な表現(決まり文句)です。
- 自分さえ良ければ:
他人はどうなっても構わないという、自分の都合だけを優先する考え方。
集団の和を乱す姿勢として使われる。 - 身勝手(みがって):
相手の状況を思いやらず、自分の都合だけを考えること。
「身」は自分自身を指し、我が身中心の振る舞いを表す。 - 虫がいい(むしがいい):
自分の都合ばかり考えて、他人のことを顧みない様子。
「虫」はもと腹の中に棲むとされた、感情を司る想像上の生き物。 - いいとこ取り(いいとこどり):
物事の良い部分や都合の良い点だけを選び取り、苦労や責任は避けようとする身勝手さを指す言い回し。 - 好き勝手(すきかって):
他人の迷惑を考えず、自分の思うままに行動する振る舞い。 - 勝手気まま(かってきまま):
他人の都合を考慮せず、自分の思い通りに振る舞う様子。 - お手盛り(おてもり):
自分や身内に都合良く物事を決めること。
自分で好きなように食事を盛りつける意から。 - 御都合主義(ごつごうしゅぎ):
その場の都合に合わせて、主義や主張を簡単に変えること。
一貫性を欠く変わり身の早さを批判する語。 - 我が物顔(わがものがお):
あたかも自分の持ち物であるかのように、遠慮なく好き勝手に振る舞う態度や顔つき。
周囲を意に介さない様子。 - お山の大将(おやまのたいしょう):
狭い仲間内だけで威張っている人のたとえ。
丘の頂上を取り合い「俺一人」と競う子どもの遊びに由来。 - 偉そうにする(えらそうにする):
実力や立場に見合わないほど威張った態度をとること。
傲慢さや優越感がにじみ出る振る舞い。 - 図に乗る(ずにのる):
いい気になってつけあがり、調子に乗ること。
「ず」には「頭」の字を当てることも多い。 - 自分のことは棚に上げる(じぶんのことはたなにあげる):
自分の欠点や過ちには触れず、他人ばかりを非難・忠告する態度。 - 手前味噌(てまえみそ):
自分で自分のことを褒める自画自賛。
自家製の味噌を独特の味があると自慢する意から。 - 独りよがり(ひとりよがり):
自分だけで良いと思い込み、他人の意見をあまり顧みない自己満足の状態。
独善的な判断への戒めを含む語。 - 聞く耳を持たない(きくみみをもたない):
他人の意見や忠告に耳を貸そうとしない、頑固な態度。
対話や助言を一方的に拒む姿勢を指す。 - 後足で砂をかける(あとあしですなをかける):
世話になった人に対し、去り際に恩を仇で返す裏切りの仕打ち。 - 足元を見る(あしもとをみる):
相手の弱みや困った状況につけ込む駆け引き。 - 風見鶏(かざみどり):
状況を見て有利な方へすぐに立場を変える人のたとえ。
屋根の上で風向きに合わせ回る鶏形の風向計から。 - 他力本願(たりきほんがん):
本来は浄土教で阿弥陀仏の本願にすがる意。そこから転じた誤用で、自分で努力せず他人任せにする姿勢を指す。 - 俺が俺が(おれがおれが):
自分ばかりが手柄を立てようとしたり、目立とうとしたりする様子。
「俺が」を重ねて自己顕示欲の強さを表す。
自分勝手を戒める【ことわざ・故事成語・教訓】
自分勝手な行いを戒めたり、他者への思いやりを促したりする、ことわざ・故事成語・教訓です。
- 人の振り見て我が振り直せ(ひとのふりみてわがふりなおせ):
他人の良くない言動を鏡として、自身の行動を反省し改善すべきという教訓。
「他山の石」にも通じる自己反省の勧め。 - 己の欲せざるところは人に施すこと勿れ(おのれのほっせざるところはひとにほどこすことなかれ):
自分がされたくない行いは、他人に対しても行うべきではないという、『論語』に基づく思いやりの基本原則。 - 鹿を逐う者は山を見ず(しかをおうものはやまをみず):
目先の利益(鹿)に夢中になり、周囲の状況や全体(山)が見えなくなることへの警告。
中国の思想書『淮南子』に由来。 - 木を見て森を見ず(きをみてもりをみず):
細かい部分(木)にこだわり過ぎて、物事全体の本質や大局(森)を見失うことへの戒め。 - 井の中の蛙(いのなかのかわず):
広い世界を知らず、狭い知識や経験だけで得意になっている、視野の狭さのたとえ。
中国の思想書『荘子』に由来。 - 無理が通れば道理引っ込む(むりがとおればどうりひっこむ):
正しくないことや横暴な振る舞いが通ってしまうと、正しい道理は行われなくなるという警句。 - 李下に冠を正さず(りかにかんむりをたださず):
李(すもも)の木の下で冠を直す仕草は疑いを招くことから、疑念を招く行動は慎むべきという教え。
中国の古詩『君子行』に由来。









コメント