苦労やリスクは引き受けず、成果や利益の部分だけをちゃっかり手にする。
そんな態度を指すのが、「いいとこ取り」(いいとこどり)です。
意味
「いいとこ取り」とは、複数の物事の中から、都合のよい部分だけを選んで取り入れることです。
制度やアイデアの併用を指す前向きな文脈でも使われますが、義務や負担を避けて利益だけを享受する狡さを非難する文脈でも用いられます。
- いいとこ(いいとこ):良い部分、都合のよい部分。
- 取り(とり):選んで手に入れること。
語源・由来
「いいとこ取り」は、特定の書物や故事に由来する言葉ではなく、「良いところ」を「取る」という平易な言葉の組み合わせから生まれた口語表現です。
政治や経済の制度を比較したり、複数の選択肢を組み合わせたりする場面で使われるようになり、やがて日常会話にも広く定着しました。
使い方・例文
「いいとこ取り」は、複数の選択肢の良い部分だけを組み合わせる場面や、都合の悪い義務を避ける態度を指す場面で使われます。
例文
- 二つの案のいいとこ取りをした新しい企画を考える。
- 責任は負わず利益だけ得るのはいいとこ取りすぎる。
- 和食と洋食のいいとこ取りをしたメニューが人気だ。
- 都合のいい情報だけをいいとこ取りするのは危険だ。
類義語・関連語
「いいとこ取り」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 虫がいい(むしがいい):
自分に都合のよいことばかりを考える様子。 - つまみ食い(つまみぐい):
物事の一部分だけを都合よく利用すること。
英語表現
「いいとこ取り」を英語で表現する場合、以下の言い回しが適切です。
cherry-pick
意味:都合のよい部分だけを選び取る
否定的な文脈でよく使われる動詞です。
- 例文:You can’t just cherry-pick the parts you like.
(都合のいい部分だけをいいとこ取りすることはできない)
best of both worlds
意味:両方の良さを兼ね備えた状態
二つの物事の良い部分を同時に得られる、比較的前向きな文脈で使われる表現です。
- 例文:This plan gives us the best of both worlds.
(この案なら両方のいいとこ取りができる)
チェリーピッキングという名の誤り
都合のよい部分だけを選び取る「いいとこ取り」は、論理学や統計学で「チェリーピッキング」と呼ばれる推論の誤りに近い行為です。
都合のよいデータや事例だけを提示し、都合の悪い情報を意図的に無視することで、本来の全体像とは異なる結論を導いてしまう考え方を指します。
制度やアイデアの「いいとこ取り」自体は前向きな工夫になり得ますが、都合の悪い部分を検証せずに組み合わせると、両方の欠点を併せ持つ結果になることも少なくありません。
まとめ
「いいとこ取り」は、複数の選択肢から都合のよい部分だけを選ぶ態度を表す言葉です。
前向きな工夫として使われる場合もあれば、責任を避ける狡さとして非難される場合もあり、文脈によって評価が分かれる言葉です。









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