意味
「虫がいい」とは、他人の都合はそっちのけで、自分に有利なことばかりを望む様子です。
咎めるような口調で使われることが多く、相手の要求のずうずうしさに呆れる気持ちが込められています。
- 虫(むし):ここでは、人の心を動かすとされた体内の存在。
- いい(いい):都合がよい、好都合な。
語源・由来
「虫がいい」の「虫」は、実際の昆虫ではなく、古くから人の感情や欲望を操ると信じられてきた体内の存在を指しています。
中国の道教には、人の頭・腹・足にそれぞれ棲み、欲望や行動に影響を与えるとされる「三尸(さんし)」という三匹の虫の思想があり、これが日本にも伝わりました。
「虫の居所が悪い」「虫が好かない」なども同じ発想から生まれた言葉で、「虫がいい」は、この体内の虫が満足するままに、周囲を顧みず自分の欲だけを押し通す様子を表すようになりました。
使い方・例文
「虫がいい」は、相手の要求や言い分が身勝手であることに呆れる場面で使われます。
例文
- 今さら仲直りしたいなんて虫がいい話だ。
- 手伝いもせず利益だけ欲しいとは虫がいい。
- 失敗を人のせいにするのは虫がいい言い分だ。
- 都合の悪い時だけ黙るのは虫がいい態度だ。
類義語・関連語
「虫がいい」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 我田引水(がでんいんすい):
自分に都合よく物事を進めること。 - 調子がいい(ちょうしがいい):
その場に応じて都合よく態度を変える様子。 - 図々しい(ずうずうしい):
遠慮なく厚かましい態度をとる様子。
英語表現
have some nerve
図々しい
虫がいい要求をする相手にあきれて使う口語表現。
You’ve got some nerve asking for a raise now.
(今このタイミングで昇給を求めるとは虫がいい話だ。)
too convenient
都合がよすぎる
虫がいい状況や言い分を指す際に使われる表現。
That excuse sounds too convenient.
(その言い訳はいかにも虫がいい。)
体の中の「虫」が機嫌よくしている状態
「虫がいい」の「虫」は、実在の昆虫ではなく、人間の体の中にいて感情や欲望、体調に影響を与えると考えられていた、目に見えない何かを指す言葉である。
「腹の虫が治まらない」「虫の知らせ」「虫の居所が悪い」など、同じ発想に基づく表現が日本語には数多く残っている。
「虫がいい」は、この体内の「虫」の機嫌がよい状態、つまり自分の中の何かが満足している状態を指す言葉として生まれた。
自分の内側にいる虫さえ満足すればそれでよいという発想が、他人への配慮を欠いた自分勝手さを表す意味につながっている。
体調や感情の変化を、自分の外にある何かのせいにするのではなく、自分の体の中に棲む「虫」のせいにするところに、この表現の発想の特徴がある。











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