意味
「虫の知らせ(むしのしらせ)」とは、これといった理由はないのに、なぜか胸騒ぎがして、悪いことが起こりそうな気がするという意味です。
科学的な裏付けのない、あくまで感覚的な予感を指す表現で、後になって実際に何かが起きた時、あの胸騒ぎは虫の知らせだったのかと振り返る形で使われることが多い言葉です。
- 虫(むし):ここでは、潜在意識や第六感のたとえ
- 知らせ(しらせ):何かを伝える予兆
語源・由来
「虫の知らせ」は、体内に棲むとされた虫が、危険や異変を持ち主に知らせてくれるという古くからの発想に由来します。
「虫の居所が悪い」や「腹の虫がおさまらない」と同じく、体の中には感情や体調を左右する虫が棲んでいると考えられていました。
この虫が、まだ言葉にできない不安や危険を敏感に察知し、それが胸騒ぎという形で本人に伝わる、という発想から「虫の知らせ」という表現が生まれたとされています。
使い方・例文
「虫の知らせ」は、根拠のない胸騒ぎや予感を表す場面で使われます。
- 今日はどうも虫の知らせがして、出かける気になれない。
- 電話が鳴る前から胸騒ぎがしていたのは、虫の知らせだったのだろうか。
- 祖母は最期の日、家族が集まってくることを虫の知らせで悟っていたようだ。
類義語・関連語
「虫の知らせ」と同じく、根拠のない予感を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 胸騒ぎがする(むなさわぎがする):
理由もなく、不安で落ち着かない気持ちになること。 - 虫が知らせる(むしがしらせる):
「虫の知らせ」と同じ意味を持つ動詞形の言い回し。
体内の虫が予感を伝えるという、江戸時代までの身体観
虫の知らせは、はっきりした理由もないのに胸騒ぎがしたり、悪い予感がしたりすることを指す言葉です。
ここでいう「虫」は、古く人間の体の中に棲んでいて、意識や感情に影響を与えると考えられていた存在です。
中国の道教には、体内に「三尸」と呼ばれる虫が棲み、決まった夜に体から抜け出して天の神に人の行いを報告するという信仰があり、この考え方が日本にも伝わりました。
江戸時代には、人の体には複数の虫が棲んでいて、それぞれが感情や体調をつかさどるという考え方がさらに広まりました。
理由が言葉にならない予感を、自分の内側にいる虫が先に察知して知らせてくれるものだと説明したのが、虫の知らせという言葉です。











コメント