意味
「蟻の這い出る隙もない」は、蟻一匹さえ通り抜けられないほど、警備や包囲が厳重であることを表す言葉で、少しの隙間もないほど密集し、完全に塞がれている様子を指すこともあります。
警備の厳重さだけでなく、議論や説明などで反論の余地が全くない状況を表す際にも使われます。
- 蟻(あり):体が非常に小さい昆虫の代表
- 這い出る(はいでる):地面を這って外へ出ること
語源・由来
「蟻の這い出る隙もない」は、体が非常に小さい蟻を引き合いに出すことで、包囲の厳重さを極限まで強調した表現です。
蟻は体長数ミリしかなく、わずかな隙間さえあれば楽に通り抜けてしまいます。
その蟻でさえ通り抜けられないという言い方をすることで、包囲や警備に一切の抜け穴がないことを強調する表現として使われるようになりました。城の包囲網や犯人の逃走経路を塞ぐ場面など、逃げ道のなさを描写する際によく用いられます。
使い方・例文
「蟻の這い出る隙もない」は、包囲や警備の厳重さ、反論の余地のなさを表す場面で使われます。
- 会場周辺は警官で固められ、蟻の這い出る隙もない状態だった。
- 相手の主張は蟻の這い出る隙もないほど論理的だった。
- 犯人は蟻の這い出る隙もないほどの包囲網の中で逮捕された。
類義語・関連語
「蟻の這い出る隙もない」と同じく、隙のない厳重さを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 水も漏らさぬ(みずももらさぬ):
少しの隙もないほど、厳重で完璧なこと。 - 鉄壁の守り(てっぺきのまもり):
非常に堅固で崩れることのない守りのこと。
「隙もない」ではなく「所もない」だった、江戸時代の原形
蟻の這い出る隙もないは、蟻のような小さな生き物さえ通り抜けられないほど、隙間なく厳重であることのたとえである。
文献上の初出は1746年の人形浄瑠璃『菅原伝授手習鑑』で、当初は「隙もない」ではなく「蟻の這い出る所もない」という形で使われていた。
「隙」ではなく「所」という言葉が使われていた点に、この表現の古い形が残っている。
明治時代には、内田魯庵の小説『くれの廿八日』(1898年)に「蟻の這う隙もないほどに雑沓こみあう中」という用例があり、逃げ場のない厳重さだけでなく、人で激しく混み合った様子を表す用法も現れた。










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