【特集】「鳥」に関係する有名なことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語一覧

【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語

空を自由に飛び交う「鳥」は、古くから様々な物語や言い伝えに登場し、私たちの文化や言葉に深く関わってきました。
日本語にも、鳥の種類や習性、鳴き声などから生まれた、ことわざ、慣用句、故事成語、四字熟語が数多く存在します。

今回は、そんな「鳥」に関係する有名な言葉を集め、その意味や背景とともに、種類別に分類してご紹介します。

鳥に関することわざ

「鳥」に関することわざ

(主に教訓や風刺、昔からの言い伝えを含む短い句)

  • 鵜のまねをする烏(うのまねをするからす):
    自分の能力や立場を考えずに、むやみに人の真似をして失敗することのたとえ。
  • 鳶が鷹を生む(とびがたかをうむ):
    平凡な親から、思いがけず優れた才能を持つ子供が生まれることのたとえ。
  • 立つ鳥跡を濁さず(たつとりあとをにごさず):
    その場を去る者は、見苦しくないよう後始末をきちんとすべきであるという教え。
  • 焼け野の雉子、夜の鶴(やけののきぎす、よるのつる):
    巣のある野が焼けても我が子を案じるキジ、寒い夜に我が子を羽で覆うツルのように、親が子を思う情愛が非常に深いことのたとえ。
  • 卵を見て時夜を求む(たまごをみてじやをもとむ):
    まだ鶏の卵であるうちから、時を告げる鶏になることを期待するように、結果を急ぎすぎること、時期尚早であることのたとえ。(故事由来)
  • 鴨が葱を背負って来る(かもがねぎをしょってくる):
    都合の良いことが重なって、ますます好都合になることのたとえ。利用しやすい相手が、さらに利用しやすい材料を持って現れること。
  • 雀百まで踊り忘れず(すずめひゃくまでおどりわすれず):
    幼い頃に身につけた習慣や道楽は、年をとってもなかなか抜けないことのたとえ。
  • 窮鳥懐に入れば猟師も殺さず(きゅうちょうふところにいればりょうしもころさず):
    追いつめられて助けを求めてきた者は、たとえ敵であっても情けをかけて助けるべきであるということ。
  • 鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん(にわとりをさくにいずくんぞぎゅうとうをもちいん):
    鶏を料理するのに牛を切る大きな刀を使う必要はないことから、小さな事を処理するのに大げさな手段を用いる必要はないことのたとえ。(故事由来)
  • 大鳥の尾より小鳥の頭(おおどりのおよりことりのあたま):
    大きな集団の中で末端にいるよりも、小さな集団でも長となる方が良いということ。「鯛の尾より鰯の頭」と類義。
  • 雉も鳴かずば撃たれまい(きじもなかずばうたれまい):
    鳴かなければキジも猟師に居場所を知られず撃たれることもないことから、余計なことを言わなければ災いを招かずに済むことのたとえ。
  • 欲の熊鷹股を裂く(よくのくまたかまたをさく):
    熊鷹が二羽の猪を同時に捕まえようとして股が裂けてしまうように、欲が深すぎるとかえって失敗し、身を滅ぼすことになるというたとえ。
  • 能ある鷹は爪を隠す(のうあるたかはつめをかくす):
    本当に実力のある者は、軽々しくその能力を見せびらかしたりはしないことのたとえ。
  • 鳥なき里の蝙蝠(とりなきさとのこうもり):
    優れた人物がいないところでは、つまらない人物が威勢を振るうことのたとえ。

「鳥」に関する慣用句

(二語以上の語が結びつき、特定の意味を持つ定型的な言い回し)

  • 鶴の一声(つるのひとこえ):
    大勢での議論や対立が、権力者や有力者の一言によって決着すること。
  • 雀の涙(すずめのなみだ):
    ほんのわずかしかないことのたとえ。量が非常に少ないさま。
  • 閑古鳥が鳴く(かんこどりがなく):
    訪れる人もなく、寂れて静まり返っている様子。特に商売が繁盛しないさま。
  • 鵜の目鷹の目(うのめたかのめ):
    鵜や鷹が獲物を探すときのような鋭い目つきで、熱心に何かを探し出そうとする様子。
  • 鳩が豆鉄砲を食ったよう(はとがまめでっぽうをくったよう):
    突然の出来事に驚き、あっけにとられてきょとんとしている様子のたとえ。
  • 目白押し(めじろおし):
    多くの人や物が、込み合ってぎっしりと並んでいる様子。
    (メジロが枝に押し合うように並ぶ習性から)
  • 飛ぶ鳥を落とす勢い(とぶとりをおとすいきおい):
    飛んでいる鳥さえ落ちてくるほど、権力や勢力が非常に盛んな様子。
  • 羽を伸ばす(はねをのばす):
    束縛や制約から解放されて、のびのびと自由に、気ままに行動すること。
  • 烏の行水(からすのぎょうずい):
    入浴時間が非常に短いことのたとえ。カラスが水浴びを短時間で済ませることから。
  • 鴛鴦の契り(えんおうのちぎり):
    オシドリの夫婦のように、仲睦まじい夫婦の約束や縁のこと。
    (オシドリは常に雌雄が一緒にいるとされることから)
  • 籠の中の鳥(かごのなかのとり):
    自由を束縛され、思うように行動できない状態にあることのたとえ。
  • 百舌勘定(もずかんじょう):
    自分が多く支払ったように見せかけて、実際には相手に多く負担させるような、ずる賢い勘定の方法。
    (モズのはやにえの習性に由来するとも)

「鳥」に関する故事成語

(中国の古典や歴史的な出来事に由来する言葉)

  • 燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや):
    ツバメやスズメのような小さな鳥には、オオハクチョウのような大きな鳥の持つ遠大な志は理解できない。小人物には大人物の考えや志は分からないことのたとえ。(『史記』陳渉世家より)
  • 鴉鷺の争い(あろのあらそい):
    カラスとサギがハマグリを争っているうちに、漁夫に両方とも捕らえられてしまったという故事から、当事者同士が争っているうちに、第三者に利益を横取りされてしまうことのたとえ。「漁夫の利」「鷸蚌(いつぼう)の争い」とも。

「鳥」に関する四字熟語

(漢字四字で構成される熟語)

  • 烏合の衆(うごうのしゅう):
    規律も統制もなく、ただ寄り集まっただけの群衆や軍勢のこと。(故事由来)
  • 群鶏の一鶴(ぐんけいのいっかく):
    多くの平凡な人々の中に、一人だけ際立って優れた人物がいることのたとえ。
  • 掃き溜めに鶴(はきだめにつる):
    ゴミ捨て場のような汚い場所に、不似合いなほど美しく気高いものや、優れた人物が現れることのたとえ。
  • 一石二鳥(いっせきにちょう):
    一つの石を投げて、二羽の鳥を同時に捕らえることから、一つの行為で二つの利益を得ること。
  • 鳳凰来儀(ほうおうらいぎ):
    聖人が世に出て天下泰平になると現れるとされる伝説の鳥、鳳凰が飛来すること。転じて、非常におめでたいことのしるし。
  • 鵬程万里(ほうていばんり):
    伝説の巨大な鳥「鵬」が一度に万里を飛ぶことから、非常に遠い道のりや、将来の道のりが雄大で希望に満ちていることのたとえ。

まとめ

鳥たちは、その姿や声、習性などから、様々な意味やイメージをまとって言葉の中に生きていますね。
「鶴の一声」のような力強さ、「雀の涙」のようなはかなさ、「能ある鷹は爪を隠す」のような知恵など、表現の幅広さに驚かされます。
これらの言葉を使いこなして、日本語の表現をさらに豊かにしてみてはいかがでしょうか。

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