天空を舞う鳥たちの姿に、人生の教訓や戒めを重ね合わせた先人たちの知恵。
鳥に関係する有名なことわざや慣用句、故事成語、四字熟語を、意味やテーマ別に分類して紹介します。
才能と実力を表す言葉
- 能ある鷹は爪を隠す(のうあるたかはつめをかくす):
獲物に迫るまで鋭い爪を隠す鷹の狩りの姿にちなみ、真の実力者ほど普段は力を誇示せず謙虚に構えるという戦国武将由来の教え。 - 鳶が鷹を生む(とびがたかをうむ):
同じタカ科でも凡庸とされる鳶から、気高く強い鷹が生まれるという意外な対比になぞらえた、平凡な親から優れた子が育つたとえ。 - 烏の白糞(からすのしろくそ):
漆黒の烏の糞が実は白いという意外な事実になぞらえた表現で、平凡な親から思いがけず優秀な子供が生まれる様子を指す言い回し。 - 掃き溜めに鶴(はきだめにつる):
ごみを積んだ汚い掃き溜めに、ひときわ美しい鶴が舞い降りる情景から生まれた、不釣り合いなほど優れた人や物が現れる様子。 - 鶏群の一鶴(けいぐんのいっかく):
多くのニワトリの中に紛れ込んだ一羽の鶴を、晋の高名な人物にたとえた『晋書』嵆紹伝の故事に由来し、群衆の中で際立つ人材を表す言葉。 - 鳥なき里の蝙蝠(とりなきさとのこうもり):
昼を支配する鳥がいない隙に蝙蝠が飛び交う情景になぞらえ、実力者が不在の場所でつまらない者が幅を利かせる様子を皮肉る言い回し。 - 燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや):
小さな燕や雀には大きな鴻鵠の志は分からないとした、秦末に反乱を起こした陳勝が若き日に嘆いた『史記』に残る故事の一節。 - 鶏口となるも牛後となるなかれ(けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ):
鶏の口となっても牛の尻にはなるなという意で、強国に従う大集団の末端より小さくとも独立した組織の長になれと説いた蘇秦の教え。
成功と好機を表す言葉
- 一石二鳥(いっせきにちょう):
一つの石を投げて二羽の鳥を同時に仕留めるという情景を語源とし、一つの行動から二つの利益を同時に得られる効率のよさを表す故事成語。 - 鴨が葱を背負って来る(かもがねぎをしょってくる):
鴨鍋に欠かせない葱まで鴨自身が背負って現れるという都合のよすぎる想像から、好都合な出来事が重なりますます有利になる様子を伝える表現。 - 飛ぶ鳥を落とす勢い(とぶとりをおとすいきおい):
空高く飛ぶ鳥さえ撃ち落としてしまうほどの威力になぞらえ、権勢や人気が誰にも止められないほど盛んな状態を表す言い回し。 - 鶴の一声(つるのひとこえ):
発声器官が発達し遠くまで響く鶴の甲高い鳴き声にちなみ、議論が紛糾していても権威者の一言で一気に決着する様子のたとえ。 - 鶴は千年、亀は万年(つるはせんねん、かめはまんねん):
中国の古典『淮南子』に鶴の寿命は千年とあることに由来し、長寿でめでたい鶴と亀を並べて祝いの席や年越しの挨拶で好まれてきた言葉。 - 鵬程万里(ほうていばんり):
『荘子』の説話で魚が姿を変えた想像上の巨鳥・鵬が九万里もの高みへ飛び立つ様を描き、前途が果てしなく開けている様子を表す四字熟語。 - 鳳凰来儀(ほうおうらいぎ):
聖天子が世を治める太平の世にだけ舞い降りるとされた瑞鳥・鳳凰の飛来を描き、この上なくめでたい兆しを示す『書経』由来の言葉。
失敗と油断の戒め
- 立つ鳥跡を濁さず(たつとりあとをにごさず):
水辺の鷺が飛び立ったあと水面が澄んだままである情景にちなみ、その場を去る者は後始末をきちんとすべきだという戒め。 - 鳶に油揚げをさらわれる(とびにあぶらあげをさらわれる):
空から急降下して神社の供え物などをかすめ取る鳶の習性にちなみ、油断していた隙に大切な物を横合いから不意に奪われてしまう様子。 - 鵜のまねをする烏(うのまねをするからす):
姿の似た鵜をまねて水に潜った烏がおぼれてしまう情景から生まれた、身の程を知らぬ物まねの失敗を戒める例え話。 - 雉も鳴かずば撃たれまい(きじもなかずばうたれまい):
橋の人柱をめぐる悲しい伝説にちなみ、雉が鳴いて居場所を知らせなければ撃たれずに済んだという教訓から生まれた戒め。 - 卵を見て時夜を求む(たまごをみてじやをもとむ):
『荘子』にある、卵の段階からすでに鶏が時を告げる様子を期待するという寓話にちなみ、順序を無視した性急な態度を戒める言葉。 - 欲の熊鷹股を裂く(よくのくまたかまたをさく):
二匹の獲物に同時に飛びかかった熊鷹が両方に引っ張られて股を裂くという俳諧由来の話で、欲張りすぎる危うさを表すたとえ。 - 鵜呑みにする(うのみにする):
獲物の魚をかまずに丸ごと飲み込む鵜の習性にちなみ、物事の真意を吟味せずそのまま受け入れてしまう様子を表す慣用句。 - 雀百まで踊り忘れず(すずめひゃくまでおどりわすれず):
地面をぴょんぴょん跳ねて歩く雀の様子を踊りに見立てたことわざで、幼い頃に身についた癖や道楽は年老いても決して抜けないと説く言葉。 - 百舌勘定(もずかんじょう):
鳩と鴫をうまく言いくるめて自分だけ支払いを逃れたという百舌の昔話にちなみ、他人にばかり負担を押し付ける狡猾なふるまい。 - 牛刀をもって鶏を割く(ぎゅうとうをもってにわとりをさく):
小さな町を大げさな礼楽で治めた弟子を孔子が半ば冗談で評した『論語』の一節に由来し、不釣り合いな大仰さを戒める言葉。
状態と情景を表す言葉
- 雀の涙(すずめのなみだ):
小さな雀が流す涙はごくわずかであろうという素朴な想像に由来し、金額や分量が驚くほど少ないことを大げさに強調する表現。 - 閑古鳥が鳴く(かんこどりがなく):
カッコウの寂しげな鳴き声が人気のない山あいに響く情景にちなみ、客足が途絶えて商売が寂れている様子をたとえた言葉。 - 目白押し(めじろおし):
秋から冬にかけてメジロが枝に押し合いへし合い並んで止まる習性にちなみ、多くの人や物が隙間なくぎっしり並ぶ様子を指す表現。 - 烏の行水(からすのぎょうずい):
人間の入浴に比べて烏の水浴びが極端に素早いことにちなみ、湯船にゆっくり浸からずさっと済ませてしまう様子を皮肉った言い回し。 - 千鳥足(ちどりあし):
後ろ指を持たない千鳥がジグザグに足を運ぶ独特の歩き方にちなみ、酒に酔って足元がおぼつかずよろめきながら歩く姿を指す表現。 - 烏合の衆(うごうのしゅう):
『後漢書』で寄せ集めの反乱軍を烏の群れにたとえた武将・耿弇の言葉に由来し、規律も統率もなくただ集まっただけの群衆を表す言葉。 - 鵜の目鷹の目(うのめたかのめ):
魚を狙う鵜と獲物を狙う鷹の鋭い眼光にちなみ、何かを見逃すまいと熱心に粗探しや目当ての物を探し出そうとする目つき。 - 鳩が豆鉄砲を食ったよう(はとがまめでっぽうをくったよう):
豆を弾に使うおもちゃの鉄砲で不意に撃たれ、目を丸くして驚く鳩の姿にちなみ、思いがけない出来事に呆然としてきょとんとする様子。 - 羽を伸ばす(はねをのばす):
鳥が大きく羽を広げてのびのびと空を飛ぶ姿にちなみ、日頃の束縛や重圧から解き放たれて自由に振る舞う様子を表す慣用句。 - 籠の中の鳥(かごのなかのとり):
室町時代の物語にも登場する古い表現で、鳥籠に閉じ込められた鳥のように自由を奪われ身動きが取れない不自由な境遇のたとえ。 - 鳥肌が立つ(とりはだがたつ):
寒さや恐怖で毛穴まわりの立毛筋が縮み、肌が鳥をむしった後のように粟立つ生理現象を指し、近年は強い感動を表す前向きな意味でも使われる言葉。 - 鴉鷺の争い(あろのあらそい):
烏の黒い羽と鷺の白い羽を碁盤上の黒石・白石に見立てた風雅な言い回しで、白黒を決する囲碁の対局そのものを指す表現。 - 烏の頭が白くなる(からすのかしらがしろくなる):
黒い烏の頭が白くなったら帰国を許すと秦王が人質の太子丹に告げた故事にちなみ、決して起こり得ない事態を表すたとえ。
信念と美意識を表す言葉
- 鷹は飢えても穂を摘まず(たかはうえてもほをつまず):
どれほど空腹でも人が丹精込めて育てた稲穂には決して手を出さない気高い鷹の姿にちなみ、困窮しても不正な利益を拒む矜持。 - 烏の濡れ羽色(からすのぬればいろ):
雨に濡れた烏の羽が乱反射せず青や紫を帯びて艶やかに見える様子にちなむ色名で、古くから黒髪の美しさを称える言葉として使われてきた(万葉集で黒髪を称えた「ぬばたまの黒髪」とは別の表現)。 - 花鳥風月(かちょうふうげつ):
能楽師・世阿弥の『風姿花伝』にも通じる言葉で、四季折々の自然美とそれを愛でて詩歌や絵画に詠む風流な楽しみ方を表す四字熟語。 - 精衛海を填む(せいえいうみうずむ):
東海で溺れた娘が精衛という鳥に姿を変え、小石を運んでは海を埋めようとし続けたという『山海経』の伝説に由来する言葉。









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