客足が途絶え、本来あるべき活気が失われてひっそりと静まり返った様子。
このような状態を表すのが、「閑古鳥が鳴く」(かんこどりがなく)です。
意味
「閑古鳥が鳴く」は、客が来なくて商売がはやらないという意味です。
閑古鳥(カッコウ)の物寂しい鳴き声が響き渡る情景にたとえて、店や興行などで人が集まらず、活気を失ってひっそりとしている状態を指します。
語源・由来
閑古鳥とは、鳥のカッコウの別名です。
古くから、遠くまで響くカッコウの鳴き声は、人の気配がない山奥の静寂や物寂しさの象徴として和歌や俳諧などで詠まれていました。
「閑」や「古」の字も、静けさや寂しさを表すための当て字です。
その後、幕末の歌舞伎『花街模様薊色縫(十六夜清心)』(1859年)に「客足が薄うなって、其の後は閑古鳥が鳴くやうな始末」という台詞が見られるように、江戸時代後期頃から、客が来ず商売が不振な状態を指す慣用句として定着しました。

使い方・例文
「閑古鳥が鳴く」は、客商売や人が集まるべき場所において、客足が途絶えている場面で使われます。
- 閉店間際の商店街は閑古鳥が鳴くような寂しさだ。
- ブームが去り、あの店には今や閑古鳥が鳴いている。
- 悪天候のせいで、せっかくのイベント会場に閑古鳥が鳴いた。
誤用・注意点
「閑古鳥が鳴く」は不評や不景気による静けさを指すため、図書館や美術館、高級ホテルのラウンジなど、元から静寂が求められる場所に対して使うのは誤りです。
類義語・関連語
「閑古鳥が鳴く」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 門前雀羅を張る(もんぜんじゃくらをはる):
訪れる人がなく、門の前に雀を捕る網が張れるほど静かなこと。 - 閑散(かんさん):
人が少なく、ひっそりとして活気がない様子。 - 商売あがったり(しょうばいあがったり):
商売がうまくいかず、収入が途絶えてどうにもならない状態。
対義語
「閑古鳥が鳴く」と反対の意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 門前市を成す(もんぜんいちをなす):
門の前に市場ができるほど、多くの人がひっきりなしに訪れること。 - 千客万来(せんきゃくばんらい):
多くの客が次から次へと絶え間なくやってくること。 - 黒山の人だかり(くろやまのひとだかり):
大勢の人が集まり、遠くから見ると黒い山のように見える様子。
英語表現
Business is slow
意味:商売が暇であること、客足が鈍い状態。
- 例文:
Business has been slow at the local bakery lately.
地元のパン屋は最近、閑古鳥が鳴いている。
Like a ghost town
意味:ひとけがなく、まるで幽霊の街のように寂れている様子。
- 例文:
The shopping mall was like a ghost town on Monday.
月曜日のショッピングモールは、閑古鳥が鳴くような有様だった。
芭蕉が詠んだ鳥
閑古鳥(カッコウ)は、現代では商売不振というネガティブな状況の象徴ですが、江戸時代にはその物寂しい鳴き声が「侘び寂び」を感じさせるとして、俳諧の世界で愛されていました。
松尾芭蕉が元禄時代に詠んだ
「憂き我をさびしがらせよ閑古鳥(『嵯峨日記』)」
という句は、あえて孤独を深め、風雅な寂しさを味わおうとする心境を表しています。
静寂を愛でる美意識から生まれた言葉が、時代を下るにつれて「人が来なくて暇を持て余す」という実利的な嘆きの表現へと変わっていきました。









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