「今週末は話題の映画が目白押しだ」「この商店街は美味しいお店が目白押しですよ」
日常会話やメディアで頻繁に耳にする「目白押し」という言葉。たくさんのものがずらりと並んでいる、活気のあるイメージが浮かびますね。
実はこの言葉、ある可愛らしい小鳥の習性に由来していることをご存知でしょうか。今回は、「目白押し」の正しい意味から、その微笑ましい語源、現代での使い方まで、例文を交えて詳しく解説していきます。
「目白押し」の意味・教訓
「目白押し(めじろおし)」とは、たくさんの人や物が、すき間なくぎっしりと並んでいる様子を指します。
また、そこから転じて、物事が次から次へと続くことのたとえとしても使われます。
物理的に物が密集している状態と、イベントや予定などが連続している状態の両方を表現できる、非常に便利な言葉です。
「目白押し」の語源

この言葉の由来は、ウグイス色をした小さな鳥、「メジロ(目白)」の習性にあります。
メジロは群れで行動することが多く、冬になると暖をとるためか、一本の枝に体を寄せ合い、押し合うようにぎっしりと並んでとまることがあります。この、メジロたちが押し合いながら並ぶ愛らしい姿そのものを「目白押し」と呼び、人や物が密集する様子のたとえとして使われるようになりました。
使用される場面と例文
イベントのラインナップ、商品の品揃え、観光地の見どころなど、魅力的なものがたくさん集まっている状況を表現する際によく使われます。
例文
- 「大型連休には、各地で面白そうなイベントが目白押しだ。」
- 「新しくオープンした書店は、専門書から児童書まで幅広いジャンルの本が目白押しで、一日中楽しめる。」
- 「年末は忘年会に大掃除、年賀状の準備と、やることが目白押しで目が回りそうだ。」
類義語・言い換え表現
「目白押し」と似た、物事がたくさんある状態を表す言葉です。
- 盛りだくさん(もりだくさん):内容が豊富で充実していること。
- ひしめき合う:大勢の人がすき間なく集まっている様子。
- 軒を連ねる(のきをつらねる):家や店などがずらりと並んでいる様子。
- 雨後の筍(うごのたけのこ):似たような物事が次々と現れることのたとえ。
対義語
物事が少なく、間隔が空いている様子を表す言葉が対義語になります。
- 閑古鳥が鳴く(かんこどりがなく):商売などがうまくいかず、客が来ず、静まり返っている様子。
- まばら:物や人の間隔が空いていて、密度が低い様子。
- 閑散(かんさん):人が少なく、静かで寂しい様子。
英語での類似表現
「目白押し」のニュアンスに近い英語表現は、状況によって使い分けることができます。
jam-packed
「ぎゅうぎゅう詰めの」「ぎっしり詰まった」という意味で、場所やスケジュールが物事で満たされている様子を表します。
- The schedule for the festival is jam-packed with fun events.
(そのお祭りのスケジュールは、楽しいイベントが目白押しだ。)
one after another
「次から次へと」「立て続けに」という意味で、物事が連続して起こる様子を表現します。
- Popular movies are coming out one after another this summer.
(この夏は、人気映画が次々と(目白押しで)公開される。)
「目白押し」に関する豆知識

語源となったメジロは、その名の通り目の周りに白い輪があるのが特徴の、体長12cmほどの小鳥です。東アジアに広く分布し、日本では身近な野鳥として親しまれています。
春には梅や桜の花の蜜を吸う姿がよく見られ、その愛らしい様子は昔から和歌や絵画の題材にもなってきました。「目白押し」という言葉は、そんな鳥たちの微笑ましい生態観察から生まれた、日本語ならではの美しい表現と言えるでしょう。
まとめ – 「目白押し」から学ぶ現代の知恵
「目白押し」は、たくさんの物がぎっしりと並ぶ様子や、物事が立て続けに起こる様子を、小鳥メジロの習性になぞらえた言葉です。その語源を知ると、普段何気なく使っている言葉にも、自然への温かい眼差しが込められていることに気づかされます。
選択肢が豊富にあることの楽しさや、活気のある様子を的確に表現できる「目白押し」。日常の様々な場面で、この言葉の持つポジティブな響きを活かしてみてはいかがでしょうか。





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