箸にも棒にもかからない

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慣用句
箸にも棒にもかからない
(はしにもぼうにもかからない)
異形:箸にも棒にも掛からぬ

13文字の言葉は・ば・ぱ」から始まる言葉
箸にも棒にもかからない 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

「何をしても手応えがない」「どう頑張っても解決策が見つからない」といった、八方塞がりの状況を表す際に使われる言葉です。
また、人物の能力や性質を酷評する際にも用いられる、かなり強い否定のニュアンスを持つ表現でもあります。

「箸にも棒にもかからない」の意味

どんな手段を用いても、手の施しようがないこと。また、何の取り柄もなくて役に立たないことのたとえ。

  • (はし):物を挟むための、細くて繊細な道具。
  • (ぼう):物を叩いたり担いだりするための、太くて頑丈な道具。
  • かからない:引っかからない、取り上げられない。

つまり、「繊細な手段(箸)を使っても、乱暴な手段(棒)を使っても、まったく引っかからない(=どうしようもない)」 という状態を表しています。

具体的には以下の2つのニュアンスで使われます。

  1. ひどすぎて処置なし:何をやってもうまくいかず、解決の糸口が見えない状態。
  2. 何の役にも立たない:才能や魅力が全くなく、評価に値しない人物や物。

「箸にも棒にもかからない」の語源・由来

この言葉は、日常的な道具である「箸」と「棒」の対比を用いた比喩表現として定着しました。

古くから、小さいものを扱う「箸」と、大きいものを扱う「棒」は、対照的な手段の象徴とされてきました。「箸にかかる」「棒にかかる」という言葉には、本来「引っかかる」つまり「何らかの手応えがある」「扱うことができる」という意味があります。

しかし、この慣用句では「かからない」と否定しています。
「太い棒で引っ掛けようとしてもダメ、細かい箸でつまもうとしてもダメ」という、軟硬(なんこう)どちらの手段も通用しない様子を描写することで、「手の施しようがないひどい状態」を強調しています。

(※一説には「井戸に落ちたものを拾う際の様子」と言われることもありますが、定かではありません。一般的には手段の比喩として理解されています。)

「箸にも棒にもかからない」の使い方・例文

基本的には「悪い状態」や「能力の低さ」を指摘するネガティブな言葉です。
他人に使う場合は「見込みがない」「救いようがない」という痛烈な批判になるため、使用には細心の注意が必要です。一方で、自分の失敗や未熟さを謙遜・自虐して表現する際にも使われます。

例文

  • 新人賞に応募したが、結果は「箸にも棒にもかからない」作品だと酷評されてしまった。
  • いくら説得しても彼は聞く耳を持たず、まさに「箸にも棒にもかからない」頑固者だ。
  • 「今回の試験は難しすぎて、僕の実力では『箸にも棒にもかからない』よ」と彼は笑った。

文学作品での使用例

それから見ると、あの男は、箸にも棒にもかからない奴だ。

(岸田國士『沢氏の二人娘』)

この一節のように、人物の評価として「どうしようもない奴だ」「価値がない」と断ずる場面で古くから使われています。

「箸にも棒にもかからない」の類義語

意味が似ている言葉を紹介します。いずれも「どうしようもない」「対処できない」というニュアンスを含みます。

  • 手の施しようがない(てのほどこしようがない):
    病気や事態が悪化して、回復や解決のための手段が全くないこと。「箸にも〜」とほぼ同義。
  • 煮ても焼いても食えぬ(にてもやいてもくえぬ):
    一筋縄ではいかず、手に負えないこと。経験豊富で悪賢く、こちらの思い通りにならない人物を指す。
    「箸にも〜」が「無能・役立たず」を指すのに対し、こちらは「したたかさ」を強調する違いがある。
  • 取り付く島がない(とりつくしまがない):
    相手の態度が冷淡で、話しかけるきっかけや頼る手がかりが全くないこと。コミュニケーションの拒絶に近いニュアンス。
  • 百害あって一利なし(ひゃくがいあっていちりなし):
    弊害ばかりで、利益になることが一つもないこと。「役に立たない」という意味を最も強く表す言葉の一つ。

「箸にも棒にもかからない」の対義語

「役に立たない」「手段がない」の反対の意味を持つ言葉です。

  • 一騎当千(いっきとうせん):
    一人で千人の敵を相手にできるほど、並外れて能力が高いこと。
  • 粒選り(つぶより):
    多くの中から優れたものだけを選び抜くこと。また、その選ばれたもの。
  • 万能(ばんのう):
    あらゆることに優れていること。何にでも役に立つこと。

「箸にも棒にもかからない」の英語表現

英語でも「役に立たない」「救いようがない」といった表現が相当します。

Good for nothing

  • 意味:「何の役にも立たない」「ろくでなし」
  • 解説:人や物に対して、価値がないことを示す最も一般的な表現です。
  • 例文:
    He is a good for nothing fellow.
    (彼は箸にも棒にもかからない奴だ。)

Hopeless

  • 意味:「絶望的な」「見込みのない」「救いようのない」
  • 解説:改善の余地がない状況や、能力が著しく欠けている人物に対して使われます。
  • 例文:
    As a cook, I’m completely hopeless.
    (料理に関しては、私は箸にも棒にもかからない。

まとめ – 批判よりも「次の手」を探すために

「箸にも棒にもかからない」は、あらゆる手段が尽きた状態や、全く評価できない対象を表す、非常に厳しい言葉です。

日常会話で他人に向けて使うにはリスクが高い表現ですが、そこには「繊細な箸も、頑丈な棒も通用しない」という、徹底した拒絶や徒労感が込められています。
単に「ダメだ」と切り捨てるよりも、その「どうしようもなさ」を強調したい場面で、この言葉の持つ強いニュアンスが生きるのかもしれません。

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