意味
「猫の額(ねこのひたい)」とは、土地や場所などが非常に狭いことのたとえです。
家の敷地や庭、部屋などの狭さを言うときによく使います。
語源・由来
「猫の額」の由来は、文字通り猫の顔のつくりにあります。
猫の顔を正面からよく見てみると、目と耳の間のスペースが非常に狭く、人間のような広い「おでこ」と呼べる部分がほとんどありません。
この狭さから、土地や場所がごく狭いことを「猫の額」とたとえるようになりました。

(写真:Matt Buck、Wikimedia Commons/CC BY-SA 2.0)
使い方・例文
「猫の額」は、主に自分の所有する土地や家について謙遜して話す場合に使われます。
ほかに、場所の狭さをそのまま言う場合にも使います。
- 猫の額ほどの庭だが、季節の花を植えて楽しんでいる。
- 父が残した遺産といっても、猫の額ほどの土地があるだけだ。
- 猫の額のような狭い空き地でも、子供たちにとっては格好の遊び場だ。
誤用・注意点
他人の家には使わない
「とても狭い」という意味の言葉なので、相手の家や土地に使うと、けなしているように聞こえます。
- OK:「うちは猫の額ほどの狭い庭でして……」(謙遜)
- NG:「お宅の庭は猫の額ほどですね」(相手の家をけなす言い方になる)
心の狭さには使わない
「猫の額」が言うのは目に見える広さで、心の狭さや度量の小ささには使いません。
「猫の額ほどの了見」のような言い方は誤りです。
類義語・関連語
「猫の額」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 鰻の寝床(うなぎのねどこ):
間口が狭く、奥行きが細長い場所のこと。京都の町家などの形状を指してよく使われる。
「狭い」という点は共通しているが、こちらは「形状(細長い)」に焦点が当たっている。 - 掌大(しょうだい):
手のひらほどの大きさ。土地や物が極めて小さいことのたとえ。
英語表現
「猫の額」を英語で表現する場合、直訳の “cat’s forehead” では意味が通じません。
英語圏には、同じく「猫」を使った非常にユニークな慣用句が存在します。
no room to swing a cat
直訳は「猫を振り回す場所もない」で、非常に狭いという意味を表す表現。
船で罰に使った鞭「キャット・オ・ナイン・テイルズ」に由来するという説があるが、この言い回しは1665年の書物に既に見え、鞭の名が記録に現れる1695年より古いため、この説は疑わしい。
It’s a tiny apartment. There’s no room to swing a cat.
(とても狭いアパートで、猫の額ほどのスペースしかない。)
町ひとつもちゃぶ台も「猫の額」
今は庭や土地の狭さを言うことの多い「猫の額」ですが、古い用例を見ると、町全体から食卓まで、大きさの違うものに使われています。
1700年(元禄13年)刊行の浮世草子『御前義経記』には「下の関は猫の額ほどある所なれども、諸方の入込む湊にて」とあり、各地から人が集まる港町の下関を、町ごと「猫の額ほど」と言っています。
夏目漱石の『坊っちゃん』(1906年)では、四国の町に着いた主人公が、中学校の場所を子どもに聞いて「知らんがの」と返され、「猫の額ほどな町内の癖に、中学校のありかも知らぬ奴があるものか」と毒づきます。
反対に、作家の林芙美子は『放浪記』で「猫の額程の茶ブ台」と書き、久しぶりに囲んだ食卓の小ささをこの言葉で表しています。














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