「百害あって一利なし」の意味 – デメリットばかりで良い点がない
「百害あって一利なし」とは、害になることばかりで、少しの利益や良い点も全くない、という意味の言葉です。
ある行為や物事について、デメリットや悪い影響ばかりが数多く(百害)存在し、メリットや良い点が一つ(一利)もないことを、強い調子で断定的に表現する際に使われます。
「百害あって一利なし」の語源・由来 – 害と利の対比
この言葉の明確な出典や起源は特定されていません。
比較的新しい時代に使われ始めた表現とも言われますが、「害が多くて利益が少ない」あるいは「全くない」という考え方自体は、古くから存在します。
言葉の構成としては、
「百」は非常に数が多いことの象徴、
「一」は極めて少ないこと、あるいは皆無であることを象徴しています。
この「百」と「一」を対比させ、「害」と「利」を結びつけることで、「害ばかりで、利は全くない」という意味を強調しています。
経験則や一般的な認識に基づいて、「これは全く良いことがない」と断じたい時に用いられるようになった慣用句的な表現と言えるでしょう。
「百害あって一利なし」の使用場面と例文 – 全く利益がないことの強調
特定の行為や習慣、物事などが、全く良いところがなく、悪い影響やデメリットしかもたらさない、と強く主張したい場面で使われます。
喫煙、過度の飲酒、ギャンブル、夜更かしといった悪習慣や、無計画な行動、非効率な方法などに対して使われることが多いです。
例文
- 「喫煙は健康を害するだけで、まさに百害あって一利なしだ。」
- 「徹夜で勉強するのは、翌日の集中力を欠くだけでなく体調も崩す。百害あって一利なしだよ。」
- 「あの人の根拠のない噂話を広めるなんて、百害あって一利なしだからやめた方がいい。」
- 「感情的に反論しても、相手を意固地にさせるだけだ。百害あって一利なしの結果になる。」
- 「衝動買いは、後で後悔することが多く、結局百害あって一利なしだと気づいた。」
「百害あって一利なし」の類義語 – 有害無益なこと
害ばかりで利益がない、という意味を持つ言葉があります。
- 害こそあれ利なし:害があるばかりで、利益になることは何もない。
- 有害無益:害があって、何の利益もないこと。
- 得るものなし:何かをしても、何の利益も得られないこと。
- 毒こそあれ薬にはならぬ:害になるだけで、少しも益にはならないことのたとえ。
「百害あって一利なし」の対義語 – 利益やメリットがあること
害がなく利益ばかりである、あるいは一つの行動で複数の利益がある、という意味の言葉が対照的です。
- 一石二鳥(いっせきにちょう):一つの行為で、同時に二つの利益を得ること。
- 一挙両得(いっきょりょうとく):一つの事柄で、二つの利益を得ること。
- 良いこと尽くめ(いいことずくめ):良いことばかりが重なっているさま。
- メリットしかない:利益や長所ばかりで、欠点がないこと。
「百害あって一利なし」の英語での類似表現
英語で、「害ばかりで利益がない」というニュアンスを表す表現です。
- do more harm than good
意味:良いことよりも害の方が多い。(「一利なし」とは断定しないが近い) - have no redeeming features / qualities
意味:取り柄が全くない、救いようのない。 - (It’s) all bad. / (There’s) nothing good about it.
意味:(それは)すべて悪い。/それについて良いことは何もない。 - (be) nothing but harmful
意味:有害でしかない、害になるだけである。
まとめ – 断定的な表現とその注意点
「百害あって一利なし」は、害になることばかりで、少しの利益もない、と強く断定するインパクトのある言葉です。
悪習慣や非生産的な行為を批判したり、戒めたりする際に効果的ですが、その断定的な強さには注意が必要です。
本当に「一利」もないかは、立場や価値観によって見方が異なる場合もあります。
客観的な根拠なく使うと、一方的な決めつけと受け取られかねません。
強い言葉であることを理解した上で、相手や状況を考慮し、慎重に用いることが望ましいでしょう。
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