「骨折り損のくたびれ儲け」の意味
「骨折り損のくたびれ儲け」とは、一生懸命に苦労して努力したにもかかわらず、その努力が全く報われず、結果として得られたのは疲労だけだった、という意味のことわざです。
努力が水泡に帰したときの、がっかりした気持ちや、無駄な労力に終わった徒労感を強く表現する際に用いられます。
「骨折り損のくたびれ儲け」の語源・由来
このことわざは、文字通り「骨を折って(=苦労して)働いたことが損失となり(=骨折り損)、得られたのは疲れだけだった(=くたびれ儲け)」という状況から来ています。
- 骨折り損:骨を折るほどの苦労や努力が、報われずに損失となったこと。
- くたびれ儲け:儲け(利益)となったのが、ただ疲れだけだった、という皮肉が込められた表現です。
具体的な物語や出来事に由来するわけではなく、その表現の分かりやすさから、古くから人々の間で使われてきたと考えられています。
特に、江戸時代の庶民の日常や、農作業・商売といった労働の中で、努力が実を結ばない経験から自然に生まれた言葉ではないかと推測されています。
「骨折り損のくたびれ儲け」の使用される場面と例文
「骨折り損のくたびれ儲け」は、かけた労力や時間に見合う成果が得られなかったり、期待した結果と全く異なる残念な結果になったりした時に使います。
努力が無駄になったと感じる、がっかりした状況で用いられる表現です。
例文
- 「何時間も並んで買った限定グッズが、ネットで簡単に買えたなんて!骨折り損のくたびれ儲けにもほどがある。」
- 「遠足のために朝早く起きてお弁当を作ったのに、雨で中止だなんて。まさに骨折り損のくたびれ儲けだわ。」
- 「一日中探し回った本が、結局すぐ手の届く場所にあった。骨折り損のくたびれ儲けだった。」
- 「遅くまで残業して資料を完成させたのに『方向性が違う』と一言で却下された。骨折り損のくたびれ儲けだった…。」
文学作品等での使用例
夏目漱石の作品にも、このことわざ(あるいはその一部)を見ることができます。
「…この運動会も結局は骨折り損の草臥儲(くたびれもうけ)に終ったと云うより外はない。」
(夏目漱石「道草」より)
※ここでは「草臥(くたびれ)」という漢字が使われています。
「骨折り損のくたびれ儲け」の類義語
- 労して功なし(ろうしてこうなし):苦労したにもかかわらず、何の成果も上がらないこと。
- 徒労(とろう):無駄な骨折り、無駄な努力のこと。
- 画餅に帰す(がべいにきす):計画などが実現せず、無駄に終わること。「画餅」は絵に描いた餅の意。
- 無駄骨:何の役にも立たない無駄な努力のこと。「無駄骨を折る」という形でよく使われます。
- 元の木阿弥(もとのもくあみ):一度は良くなったものが、結局元の状態に戻ってしまうこと。努力が無駄になるニュアンスを含みます。
「骨折り損のくたびれ儲け」の対義語
- 一石二鳥:一つの行為で、同時に二つの利益を得ること。
- 一挙両得:一つの事柄から、二つの利益が得られること。「一石二鳥」とほぼ同じ意味です。
- 棚からぼた餅:思いがけない幸運が舞い込んでくること。努力なしに利益を得る状況。
- 労少なくして功多し(ろうすくなくしてこうおおし):少ない労力で、多くの成果や利益を得ること。
- 濡れ手で粟:苦労せずに大きな利益を得ること。
「骨折り損のくたびれ儲け」の英語での類似表現
英語にも、努力が無駄になった状況を表す似た表現があります。
- All pain, no gain.
直訳:痛みばかりで、得るものなし。
意味:「No pain, no gain.(苦労なくして得るものなし)」をもじった表現で、苦労したのに何も得られなかった、という状況を示します。 - A wild-goose chase.
直訳:野生のガチョウ(雁)を追いかけること。
意味:捕まえるのが難しい雁を追いかけることから転じて、見込みのないこと、無駄な骨折り、当てのない追求を意味します。
骨折り損のくたびれ儲け の使用上の注意点
このことわざは、自分の努力が報われなかった際の失望感を表す言葉です。
他人の努力に対して使うと、相手を軽んじる印象を与える可能性があるため注意しましょう。
また、十分な努力をしていない場合や、もともと成功を期待していなかった状況で使うのは適切ではありません。
「頑張ったのに報われなかった」という文脈で使うようにしましょう。
まとめ – 「骨折り損のくたびれ儲け」から学ぶこと
「骨折り損のくたびれ儲け」は、努力が報われず疲労だけが残る、残念な状況を表すことわざです。
この言葉は、努力の方向性を見極めることの大切さも教えてくれます。
たとえ結果が出なくても、その経験から学びを得て次に活かせば、単なる「くたびれ儲け」にはなりません。
前向きな姿勢が、次の成功につながるかもしれません。
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