意味
「取り付く島がない(とりつくしまがない)」とは、相手の態度が冷たく、話しかけたり頼ったりするきっかけ(手がかり)が全くないことです。
こちらの働きかけに対して、相手が無視をしたり、そっけない態度をとったりして、話の糸口すら掴ませてくれない状態を指します。
- 取り付く(とりつく):すがりつく、手がかりにする。
- 島(しま):頼りとなるところ、安住の地。
語源・由来
「取り付く島」は、頼りとしてすがるところ、取り付き所を言う語です。
多くは「取り付く島もない」「取り付く島がない」のように、打ち消しの形で使われます。
頼りにしてすがる所が無いことから、相手の態度が冷たく、話しかけたり頼ったりする手がかりが無い様子を表します。
使い方・例文
ビジネスシーンでの交渉決裂や、機嫌の悪い上司への対応、あるいは喧嘩中のカップルなど、人間関係が断絶している場面でよく使われます。
「話は聞いたけれど断られた」というレベルではなく、「門前払い」や「完全拒絶」に近いニュアンスを含みます。
例文
- 企画の提案に行ってみたが、担当者は終始不機嫌で、取り付く島がなかった。
- 喧嘩をした妻に謝ろうとしたが、何を言っても無視され、取り付く島もない状態だ。
- 彼は仕事の虫で、雑談を振っても取り付く島がないほど素っ気ない。
誤用・注意点
「取り付く暇(ひま)がない」は間違い
この言葉における最大かつ頻出の誤用が、「取り付く暇がない」と言ってしまうことです。
- 誤:忙しくて取り付く暇がない。
- 正:つっけんどんで取り付く島がない。
「暇がない」と言うと、相手が忙しくて話しかける余裕がない、という別の意味になります。
本来はこちらの働きかけを相手が受けつけないことを言う語で、忙しさとは関係がありません。
類義語・関連語
「取り付く島がない」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
相手の冷淡さを表す表現が中心です。
- けんもほろろ:
人の頼み事や相談を、無愛想にきっぱりとはねつける様子。「けんもほろろに断られる」のように使う。 - 木で鼻をくくる(きではなをくくる):
無愛想で冷淡な態度のこと。誠意や温かみが全く感じられない、無骨な対応を指す。 - にべもない:
愛想がなく、あっさりしていること。「にべ」とは魚の浮袋から作られる粘着力の強い接着剤のこと。「粘り気(親密さ・未練)」がないという意味。 - 聞く耳を持たない(きくみみをもたない):
相手の意見や忠告を全く聞こうとしない頑なな態度。
英語表現
「取り付く島がない」を英語で表現する場合、相手の冷たい態度を示す慣用句がよく使われます。
give someone the cold shoulder
直訳は「人に冷たい肩を与える」で、「よそよそしい態度をとる」「冷たくあしらう」という意味を表す。
無視したり、背中(肩)を向けて拒絶したりする様子を表す非常に一般的な表現。
I tried to apologize, but she gave me the cold shoulder.
(謝ろうとしたが、彼女は取り付く島もなかった。)
turn a deaf ear
直訳は「聞こえない耳を向ける」で、「耳を貸さない」「無視する」という意味を表す。
話しかけても全く反応がない、というニュアンスで使われる。
取り付く島がない、「暇」と言う人は4割
文化庁の「国語に関する世論調査」では、平成15年度と平成24年度にこの言い回しが調べられています。
平成15年度は、本来の「取り付く島がない」を使う人が44.4パーセント、「取り付く暇がない」を使う人が42.0パーセントで、差は2.4ポイントでした。
平成24年度は「島」が47.8パーセント、「暇」が41.6パーセントで、差は6.2ポイントに開きましたが、「暇」を使う人はなお4割を超えています。










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