意味
「閑話休題(かんわきゅうだい)」とは、文章や会話の途中で寄り道した話をいったん区切り、脇道にそれていた話題を本筋へと戻すという意味です。
- 閑話(かんわ):本筋から外れた、とりとめのない無駄話。
- 休題(きゅうだい):それまでの話を止め、話題を切り替えること。
単に話題を変えるのではなく、「逸れたものを元の場所(本題)へ戻す」という点がこの言葉の核心です。
語源・由来
「閑話休題」の語源は、中国の明・清時代に流行した「白話小説」の記述にさかのぼります。
当時の小説は講釈師が語り聞かせるようなスタイルで書かれており、物語の本筋から離れて背景を説明したり、作者の主観を交えた余談を挟んだりすることが多々ありました。
そうした脇道に逸れた話を切り上げ、再び元のストーリーに戻る合図として、この語が置かれました。
『水滸伝』の第十回にも、この四字が出てきます。
日本では、江戸時代の読み本や滑稽本、明治以降の小説・随筆で、文章の余談を切り上げて本題へ戻す合図として使われました。
使い方・例文
文章の構成を整える際や、会議・スピーチなどで脱線した流れを修正する場面で、接続詞のように用いられます。
例文
- 余談が過ぎましたが、閑話休題、本案の採決に入ります。
- 補足は以上です。閑話休題、主人公の幼少期に話を戻しましょう。
- 昔話はこれくらいにして、閑話休題、今の暮らしについて話そう。
誤用・注意点
「閑話休題」自体に「話を戻す」という意味が含まれているため、「閑話休題して、本題に戻る」と続けると意味が重複します。
また、本題に戻るのではなく、まったく新しい話題を切り出す場面で使うのは、本来の使い方ではありません。
一度逸れた話を戻すときの言葉なので、「ところで(By the way)」の代わりには使いません。
類義語・関連語
「閑話休題」と似た役割を持つ、本題復帰のための表現を紹介します。
- それはさておき:
直前の話題を一旦脇に退け、本来の目的やより重要な事柄に焦点を移す表現。 - 話を戻すと:
「閑話休題」を最も平易な現代語で言い換えた、日常的に使える復帰の合図。
対義語
「閑話休題」とは逆に、話が本筋から離れていく状況を指す言葉です。
- 脱線(だっせん):
話の流れが本来の目的や筋道から外れて、別の方向へ進んでしまうこと。 - 横道にそれる(よこみちにそれる):
本筋とは関係のない、別の話題や瑣末な事柄に深入りしてしまうこと。
英語表現
「閑話休題」のように、話題を本筋へ引き戻すための英語定型句です。
Anyway
「とにかく」「それはさておき」
前後の文脈をリセットし、話を仕切り直して本題へ進む際に最も多用される表現です。
Anyway, let’s get back to the point.
(閑話休題、要点に戻りましょう。)
To return to the subject
「本題に戻りますと」
「閑話休題」の直訳に近い、フォーマルな場面でも使える復帰のフレーズです。
To return to the subject, we must decide the schedule.
(閑話休題、予定を決定しなければなりません。)
「閑話休題」を「それはさておき」と読ませた小説
近代の小説や随筆では、「閑話休題」の四字に和語の振り仮名を付け、訓読みのように読ませた例が多く見られます。
同じ四字でも、書き手によって振り仮名が違います。
| 作品 | 振り仮名 |
|---|---|
| 永井荷風『日和下駄』 | それはさておき |
| 岡本綺堂『青蛙堂鬼談』 | あだしごとはさておき |
| 泉鏡花『廓そだち』 | それはとにかく |
| 海野十三『大使館の始末機関』 | さて |
岡本綺堂『青蛙堂鬼談』では、曲亭馬琴の口まねだと断ったうえで、次のように余談を切り上げて本筋の話に入っています。
馬琴の口真似をすると、閑話休題、これからわたしが語ろうとするのは、その里見の家がほろびる前後のことである。









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