場の空気を読まない発言をしてしまった時や、周囲の期待を裏切るような振る舞いをした時、周りの人たちからスッと温度が引いたような視線を浴びて、いたたまれない気持ちになることがあります。
そんなふうに、相手に対して冷淡で非難めいた視線を向けることを、
「白い目で見る」(しろいめでみる)と言います。
意味・教訓
「白い目で見る」とは、相手に対して冷淡な態度をとったり、軽蔑や非難の意を込めた視線を向けたりすることを意味する慣用句です。
相手の言動に対して不快感や呆れの感情を抱いており、好意的ではない状態を表します。
単に視線を向けるだけでなく、そこに「非難」や「冷遇」といった心理的な拒絶が含まれているのが特徴です。
語源・由来
「白い目で見る」の語源は、中国の歴史書『晋書(しんじょ)』に記された、魏晋時代の思想家・阮籍(げんせき)の故事に由来します。
世俗のしがらみや礼儀作法を嫌った阮籍は、母の喪中に弔問に訪れた嵇喜(けいき)に対し、眼球を斜め上に転じて眼白をむき出しにする「白眼」で応対しました。
嵇喜は不快感を抱いてその場を去り、後にこの話を聞いた弟の嵇康(けいこう)が酒と琴を持って訪ねると、阮籍は大いに喜んで黒目を正面に向ける「青眼」で出迎えたといいます。
このエピソードから、相手を冷遇し非難の目を向けることを「白眼視(はくがんし)」と呼ぶようになり、それが和語として広く定着したのが「白い目で見る」です。
使い方・例文
「白い目で見る」は、非常識な振る舞いや、ルールを破るような言動をした人に対して、周囲が冷ややかな視線を向ける場面で使われます。
- 電車内で大声で騒ぐ若者を、乗客たちは白い目で見ていた。
- 約束を何度も破り続けた結果、彼は友人たちから白い目で見られた。
- 会議中に無関係な雑談を始めたため、周囲から一斉に白い目で見られた。
類義語・関連語
「白い目で見る」と似た意味を持つ言葉には、冷ややかな視線や態度を表す表現があります。
- 白眼視(はくがんし):
冷たい目で見るのこと。「白い目で見る」と語源を同じくする漢語表現。 - 冷眼視(れいがんし):
冷ややかな態度で相手を見ること。冷淡に観察すること。 - 冷遇(れいぐう):
冷たくあしらうこと。思いやりを持たずに接すること。
対義語
「白い目で見る」とは対照的な意味を持つ言葉は、相手に好意を向けたり、寛容な態度で接したりする様子を表します。
- 青眼(せいがん):
好意を持って人を見ること。後述する「白眼」の対となる言葉。 - 温かい目で見る(あたたかいめでみる):
愛情や好意、寛容な心を持って相手を見守ること。 - 大目に見る(おおめにみる):
小さな過ちなどを厳しく咎めず、寛大に扱って見逃すこと。
英語表現
「白い目で見る」を英語で表現する場合、冷淡な態度や不信感を表す以下のフレーズが一般的に使われます。
look coldly at
意味:〜を冷たく見る
- 例文:
Everyone looked coldly at him when he yelled.
大声で叫んだ彼を、皆が白い目で見た。
give someone the cold shoulder
意味:〜を冷たくあしらう、よそよそしい態度をとる
- 例文:
My friends gave me the cold shoulder after that.
あの後、友人たちは私を白い目で見た(冷たくあしらった)。
嫌いな客には白眼、好きな客には青眼
「白い目で見る」の由来となった阮籍には、対になるエピソードがあります。
母の喪中に弔問へ訪れた嵇喜(けいき)には白眼で応対し、後日その弟・嵇康(けいこう)が酒と琴を携えて訪ねてくると、一転して黒目を正面に向ける「青眼」で出迎えたといいます。
好き嫌いを目つきでそのまま表すという、極端すぎる人物です。
なお昔の中国語では黒色を「青」と表現したため、正視の目が「青眼」と呼ばれていました。
相手によってあからさまに目つきを変えるこの人間臭いエピソードが、1700年以上の時を超えて日常語として残っているのは、言葉の歴史の面白さと言えるでしょう。









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