意味
「鳥なき里の蝙蝠(とりなきさとのこうもり)」とは、鳥のいない里では蝙蝠でさえ我が物顔に振る舞うことから、周りに優れた人材がいない場所で、大した実力もない者が幅を利かせて威張るという意味です。
競争相手がいないことで実力以上の評価を得ている人物に対する、皮肉や嘲笑のニュアンスを含んで使われます。
語源・由来
「鳥なき島の蝙蝠」という形でも使われます。
昼間に空を支配する鳥がいない夜間や薄暗い場所において、代わりに蝙蝠が飛び交うという自然界の観察に基づき、能力の劣る者が幅を利かせる人間社会の構図を重ね合わせた比喩表現です。
獣でも鳥でもない蝙蝠が一段低く見られ、偽物のように扱われる話は、世界の民話にも少なくありません。
使い方・例文
「鳥なき里の蝙蝠」は、競争相手や優秀な人材が不在の環境で、実力に見合わない地位に就いている人物を揶揄する場面で使われます。
- 専門知識を持つ者が彼しかいなかったため、鳥なき里の蝙蝠でリーダーに収まった。
- 競合店が撤退したことであの店が流行っているが、まさに鳥なき里の蝙蝠だ。
- 他に引き受ける人がいなかったという理由の、鳥なき里の蝙蝠のような役職就任である。
類義語・関連語
「鳥なき里の蝙蝠」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 鼬の無き間の貂誇り(いたちのなきまのてんほこり):
鼬のいない間に貂が威張ることから、すぐれた者や強い者のいない所で、つまらない者がいばること。
対義語
「鳥なき里の蝙蝠」と反対の意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 群鶏一鶴(ぐんけいいっかく):
多くの鶏の中に一羽の鶴がいるように、凡庸な人々の集まりの中で、一人だけ飛び抜けて優れた人物がいること。
英語表現
In the land of the blind, the one-eyed man is king
直訳:盲人の国では、片目の男が王様である
意味:他に優れた人物が全くいない状況で、少しでも能力がある者が優位に立つ状態
He is not an expert, but in the land of the blind, the one-eyed man is king.
(彼は専門家ではありませんが、盲人の国では片目の男が王様です。)
世界に共通する「弱者が王になる」比喩表現
優れた者が不在の環境において劣った者が優位に立つという相対的評価の構図は、世界中の言語で共通して見られます。
英語圏では「盲人の国では片目の男が王様である」ということわざが広く定着しています。
これは16世紀のオランダの思想家エラスムスの著書にも記録されている歴史ある表現です。
また、韓国では「トラのいない山ではウサギが王様になる」という動物を用いた比喩が存在します。
鳥とコウモリ、人と目の見え方、トラとウサギなど、比較に用いる対象は地域の生態系や文化によって異なりますが、いずれも同じ構造の比喩を持っています。













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