意味
「大鳥の尾より小鳥の頭」とは、大きな集団の末端にいるより、小さな集団でも長になるほうがよいという教えです。
規模の大小そのものではなく、自分の裁量で動ける立場を重んじる考え方を示します。
- 大鳥(おおとり):体の大きな鳥。大きな組織のたとえ。
- 尾(お):しっぽ。集団の末端のたとえ。
- 頭(あたま):先頭に立つ者。長のたとえ。
語源・由来
「大鳥の尾より小鳥の頭」は、特定の書物から生まれた言葉ではなく、同じ発想を持つことわざの一つとして日本で使われてきました。
この考え方をさかのぼると、中国の歴史書『史記』の蘇秦伝に行き当たります。
戦国時代、遊説家の蘇秦は、大国の秦に従おうとする韓の王を思いとどまらせようとしました。
そのとき王に示したのが、当時から巷で言われていたという次のことわざです。
寧ろ鶏口と為るとも、牛後と為る勿かれ。
(にわとりのくちばしになっても、牛の尻にはなるな。)
これが日本に伝わって鶏口となるも牛後となるなかれとして定着し、身近な生き物に置き換えた言い方も生まれました。
「大鳥の尾より小鳥の頭」もその一つで、鯛と鰯に置き換えた鯛の尾より鰯の頭と並んで使われます。
使い方・例文
「大鳥の尾より小鳥の頭」は、進路や職場を選ぶ場面で、自分の裁量を優先する立場を示すときに使われます。
- 大手の内定を断って町工場へ。大鳥の尾より小鳥の頭だ。
- 新設の小さな部署だが任せたい。大鳥の尾より小鳥の頭と言うだろう。
- 名門楽団の一員より、地元の楽団で首席を選んだ。大鳥の尾より小鳥の頭である。
類義語・関連語
「大鳥の尾より小鳥の頭」と同じく、小さくとも長になる立場を選ぶ考えを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 鶏口となるも牛後となるなかれ(けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ):『史記』に出る、この考えの元となった言葉。
- 鯛の尾より鰯の頭(たいのおよりいわしのかしら):魚に置き換えた同じ趣旨の言い方。
対義語
反対に、大きなものに従うことで安定を得る生き方を説く言葉です。
- 寄らば大樹の陰(よらばたいじゅのかげ):頼るなら勢力のある大きなものがよいということ。
- 長いものには巻かれろ(ながいものにはまかれろ):力のある者には逆らわず従うのが得策だということ。
英語表現
better be the head of a dog than the tail of a lion
直訳は「ライオンの尾になるより犬の頭になれ」。動物を入れ替えただけで組み立てが同じ、英語圏のことわざ。
He started his own shop, believing it is better to be the head of a dog than the tail of a lion.
(大鳥の尾より小鳥の頭だと考えて、彼は自分の店を開きました。)
better be first in a village than second in Rome
直訳は「ローマで二番になるより村で一番になれ」。都と村を対比させた言い回し。
She turned down the city orchestra: better be first in a village than second in Rome.
(彼女は都会の楽団を断りました。大鳥の尾より小鳥の頭です。)
鶏と牛が、いつしか鳥や魚に化けた話
この教えは、日本に入ってから何度も生き物を取り替えられてきた。
元になった『史記』蘇秦列伝の「鶏口牛後(鶏口となるも牛後となるなかれ)」は鶏と牛の対比だったが、日本では「鯛の尾より鰯の頭」のように鯛と鰯に、あるいはこの「大鳥の尾より小鳥の頭」のように大きな鳥と小さな鳥に、それぞれ置き換えられて広まった。
共通しているのは、体の大きい生き物の「尾」と、小さい生き物の「頭」を向かい合わせる形である。
もとの中国語では鶏の「口」だったが、日本語の各バリエーションでは頭やかしらに変わっている。
身近な生き物に差し替えても骨組みが崩れないため、時代や地域ごとに言い換えが増えていったとみられる。










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