ことわざ

鯛の尾より鰯の頭

(たいのおよりいわしのあたま)

大きな組織の末端にいるより、小さな組織で長になる方がよい。


13文字の言葉 / 「た・だ」から始まる言葉
鯛の尾より鰯の頭 ことば
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意味

「鯛の尾より鰯の頭(たいのおよりいわしのあたま)」とは、大きな組織の末端に従っているよりも、たとえ小さな組織であってもその長(リーダー)になるほうがよいという意味です。

  • 鯛の尾:格の高い立派な集団における、一番下の地位。
  • 鰯の頭:平凡で小さな集団における、一番上の地位。

語源・由来

日本では古くから、鯛は「めでたい」に通じる祝いの魚で最上級とされ、鰯は安くてどこでも獲れる下等な魚とされてきました。
その鯛の尾(いちばん下)と鰯の頭(いちばん上)を比べ、格の低い集団でも上に立つほうがましだとたとえています。

使い方・例文

進路の選択や、就職・転職、あるいはチーム内でのポジションについて語る際によく用いられます。

例文

  • 強豪校で補欠のまま終わるより、鯛の尾より鰯の頭と考えて、弱小校でキャプテンを任される道を選んだ。
  • 大企業の平社員のまま定年を迎えるより、鯛の尾より鰯の頭だと、社員十人の会社の社長を引き受けた。
  • 名門楽団の後ろの席に座り続けるより、地元の吹奏楽団で指揮を執りたい。鯛の尾より鰯の頭だ。

類義語・関連語

「鯛の尾より鰯の頭」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
いずれも「組織の規模よりも、そこでの自分の立ち位置」を重視する考え方を表しています。

  • 鶏口となるも牛後となるなかれ(けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ):
    大きな牛の尻(末端)についていくより、小さな鶏の口(頭)になるほうがよいという教え。
    「鶏口牛後」という四字熟語の形でも使われる。
  • 芋頭でも頭は頭(いもがしらでもかしらはかしら):
    里芋の親芋を「芋頭」と呼ぶのにかけて、どんなに小さな集団でも、長は長としての重みを持つということ。

「鯛の尾より鰯の頭」と「鶏口牛後」の違い

意味はほぼ同じで、違うのは由来と、たとえに使うものです。

語句由来たとえに使うもの
鯛の尾より鰯の頭日本のことわざ鯛の尾と鰯の頭
鶏口牛後
(けいこうぎゅうご)
中国の『史記』の故事牛の尻と鶏の口
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対義語

「鯛の尾より鰯の頭」とは反対に、大きな勢力に身を置くことを肯定する言葉には以下のようなものがあります。

  • 鰯の頭をせんより鯛の尾に付け(いわしのかしらをせんよりたいのおにつけ):
    小さな集団で頭になるより、大きな集団の末端に付いていくほうが安全で気楽だということ。
  • 寄らば大樹の陰(よらばたいじゅのかげ):
    頼りにするならば、勢力のある大きなもののほうが安全で利益も多いということ。
  • 長いものには巻かれろ(ながいものにはまかれろ):
    勢力の強い相手には、逆らわずに従っていたほうが得策であるということ。
  • 大所の犬となるとも小家の犬となるな(おおどこのいぬとなるともこいえのいぬとなるな):
    どうせ人に仕えるなら、勢力のある人を選べということ。

英語表現

「鯛の尾より鰯の頭」を英語で表現する場合、動物の部位を用いた同様の比喩が使われます。

Better be the head of a dog than the tail of a lion

「ライオンの尾になるより、犬の頭になるほうがよい」
強大なライオンの末端にいるよりも、平凡な犬の先頭に立つほうが意義があるという、日本語と全く同じ構造の表現です。

He started his own firm because he believes it is better to be the head of a dog than the tail of a lion.
(彼は自分の会社を設立した。ライオンの尾より犬の頭になるほうがよいと考えているからだ。)

Better be the head of a mouse than the tail of a lion

「ライオンの尾よりネズミの頭」
スペイン語のことわざ「Más vale ser cabeza de ratón que cola de león」を英語にした言い方で、「犬」が「ネズミ」になっています。

I would rather be the head of a mouse than the tail of a lion and have my own authority.
(ライオンの尾でいるより、ネズミの頭になって自分の権限を持ちたい。)

鯛と鰯、逆の句のほうが古い

対義語に挙げた「鰯の頭をせんより鯛の尾に付け」は、同じ鯛と鰯を使って正反対のことを言います。

記録の上では、この逆の句のほうが古くからあります。
江戸時代前期の1645年に出た俳諧の本『毛吹草けふきぐさ』に、ことわざの一つとして収められています。
一方の「鯛の尾より鰯の頭」は江戸時代の用例が知られておらず、ことわざ辞典に載るのも明治に入ってからとされます。

古いほうは江戸時代のうちもあまり使われなかったようで、今よく見かけるのは新しいほうの「鯛の尾より鰯の頭」です。

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