意味
「烏の頭が白くなる」とは、実際には起こり得ないこと、不可能なことをいいます。
全身が真っ黒なカラスの羽が白く変わることは自然の理に反することから、実現の可能性が全くないことを強調する際に用いられます。
強い否定の意志を示したり、いつまで待っても無駄であることを嘆いたりする際に使われる言葉です。
語源・由来
戦国時代の中国、燕(えん)の太子丹(たん)が秦(しん)からの帰国を願い出た際、秦王(しんおう)が不可能な条件を示した故事に基づきます。
中国の古書『燕丹子(えんたんし)』には、次の一節が記されています。
令烏白頭、馬生角、乃可許耳。
(カラスの頭が白くなり、馬に角が生えたなら、それで許そう)
この表現の前半が日本に伝わり、物事の不可能性を示す言い回しとして定着しました。
使い方・例文
「烏の頭が白くなる」は、強い否定の意志を示したり、絶対に訪れない機会を指摘したりする場面で使われます。
- 彼が自ら進んで謝罪するのは、烏の頭が白くなるのを待つようなものだ。
- たとえ烏の頭が白くなるようなことがあっても、私の決意は揺るがない。
- あの強情な人物が意見を曲げるのは、烏の頭が白くなるほうがまだ早い。
類義語・関連語
「烏の頭が白くなる」の類義語には、以下のような言葉が挙げられます。
- 馬に角が生える(うまにつのがはえる):
現実には起こり得ないことのたとえ。同じ故事に由来する表現。 - 太陽が西から昇る(たいようがにしからのぼる):
自然の摂理に反する、絶対にあり得ない物事や状況を指す言葉。 - 百年の河清を俟つ(ひゃくねんのかせいをまつ):
いくら待っても実現の可能性がないことのたとえ。黄河の水が澄むのを待つ意。
対義語
「烏の頭が白くなる」の対義語には、以下のような言葉が挙げられます。
- 火を見るよりも明らか(ひをみるよりもあきらか):
物事の道理が明快で、疑う余地が全くない様子。
英語表現
When pigs fly
直訳: 豚が空を飛ぶとき
意味: 絶対にあり得ないこと
He will pay you back when pigs fly.
(彼が借金を返すなんて、烏の頭が白くなるのを待つようなものです。)
When hell freezes over
直訳: 地獄が凍りついたとき
意味: 決して起こらないこと
I will agree with that plan when hell freezes over.
(私がその計画に同意するなど、烏の頭が白くなってもあり得ません。)
人質の王子を救った「あり得ない奇跡」の物語
烏の頭が白くなるということわざは、中国古代の説話「烏頭白くして馬角を生ず」に由来します。
戦国時代、燕の太子丹は人質として秦に捕らえられていました。
秦王は丹の帰国を許す条件として、「烏の頭が白くなり、馬に角が生えたら帰してやろう」という、実現するはずのない条件を突きつけたといいます。
ところがこの説話では、絶望した丹の前に、白い頭の烏と角の生えた馬が現れ、丹は本当に国へ帰ることができたと語られています。
あり得ない条件が現実になるという結末を持つ点が、このことわざの特徴です。
出典は作者不詳の『燕丹子』とされるが、同様の逸話は司馬遷の『史記』にも見え、どちらが先に成立したかははっきりしません。
いずれにせよ、「あり得ないことの代名詞」として烏の頭の白さが選ばれた点は共通しています。










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