人の振り見て我が振り直せ

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ことわざ
人の振り見て我が振り直せ
(ひとのふりみてわがふりなおせ)
異形:他人の振り見て我が振り直せ

14文字の言葉ひ・び・ぴ」から始まる言葉

電車の中でのマナー違反や、職場での心ない言動を見て、「なんて失礼な人だろう」と腹を立てたことはありませんか。
しかし、その怒りをただの不満で終わらせてしまってはもったいないかもしれません。

他人の行動を、自分を映す「鏡」として捉え直し、自己成長の糧にする。
そんな古人の深い知恵が込められたことわざが「人の振り見て我が振り直せ」(ひとのふりみてわがふりなおせ)です。

意味

「人の振り見て我が振り直せ」とは、他人の良くない行いを見たときは、それを批判するだけでなく、自分にも同じような欠点がないか反省し、改めるべきだという教訓です。

  • 人の振り:他人の振る舞い、動作、態度。
  • 我が振り直せ:自分の振る舞いを修正せよ。

他人の欠点は目につきやすいものですが、自分の欠点には案外気づかないものです。
この言葉は、他人の行動を客観的な見本として利用し、自分自身をチェックするきっかけにしなさいと説いています。

「良い行い」も含む?

基本的には「悪い行い」を見て「直す(改善する)」という意味で使われます。
他人の「良い行い」を見た場合は、「見習う」や「手本にする」という表現を使うのが一般的です。

語源・由来

このことわざに特定の出典(書物や作者)はなく、古くから日本の庶民の間で語り継がれてきた生活の知恵からです。

江戸時代、子供たちが文字を覚えるために使った「上方いろはかるた」(京都を中心としたかるた)において、「ひ」の読み札としてこの言葉が採用されています。
誰が言い始めたかは定かではありませんが、かるた遊びを通じて広く庶民の間に浸透し、現代まで残る代表的な処世術として定着しました。

使い方・例文

他人のミスやマナー違反を目撃した際、自分への戒めとして使うのが正しい用法です。
注意点として、他人に「お前も直しなさい」と説教するために使う言葉ではありません。
あくまで「自分自身の行動を省みる」ために使う言葉です。

例文

  • レストランで店員に横柄な態度をとる客を見た。不快に思ったが、「人の振り見て我が振り直せ」で、自分も部下に偉そうな態度をとっていないか反省した。
  • 後輩の言葉遣いが気になったが、「人の振り見て我が振り直せ」と言うし、まずは自分の言葉遣いから見直してみようと思う。
  • 友人の遅刻癖を批判する前に、「人の振り見て我が振り直せ」で、自分も時間を守れているか振り返るべきだ。

類義語・関連語

「人の振り見て我が振り直せ」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 他山の石(たざんのいし):
    よその山から出た粗悪な石でも、自分の宝石を磨く砥石(といし)として利用できること。
    転じて、他人の誤った言行も自分の修養の役に立つという意味。
  • 反面教師(はんめんきょうし):
    悪い見本として、そこから反省や戒めを学ぶべき人や事例のこと。
    違い:
    「人の振り見て~」が「行動」に着目して改善を促すのに対し、「反面教師」は「人そのもの」を指す名詞として使われます。
  • 殷鑑遠からず(いんかんとおからず):
    戒めとすべき失敗例は、遠い昔や他所にあるのではなく、すぐ目の前(身近な過去や他人)にあるということ。
  • 前車の覆るは後車の戒め(ぜんしゃのくつがえるはこうしゃのいましめ):
    前の車がひっくり返ったのを見て、後の車は同じ失敗をしないよう注意すること。

対義語

「他人のことはよく見えるが、自分のことは見えない」という意味で、対照的な言葉があります。

  • 猿の尻笑い(さるのしりわらい):
    猿が他の猿の尻が赤いのを笑うが、自分の尻も赤いことには気づかないこと。自分の欠点を知らずに他人の欠点をあざ笑うことのたとえ。
  • 灯台下暗し(とうだいもとくらし):
    身近なこと(自分のこと)は、案外分からないものだということ。

英語表現

「人の振り見て我が振り直せ」を英語で表現する場合、次のようなことわざが使われます。

One man’s fault is another’s lesson.

  • 意味:「ある人の過ちは、別の人の教訓となる」
  • 解説:日本語のことわざとほぼ同じ意味で使われる定番の表現です。

Learn wisdom by the follies of others.

  • 意味:「他人の愚行によって知恵を学べ」
  • 解説:他人の失敗を見て、賢くなりなさいという教訓です。

豆知識:「ふり」の正体

このことわざにある「振り」とは、もともと「風(ふり)」という字が当てられることもあり、風俗や姿形、身なりを意味していました。「なりふり(形振り)構わず」という言葉がありますが、あの「ふり」と同じ語源です。

江戸時代、人々はお互いの着こなしや立ち居振る舞いをよく観察していました。だらしない格好の人を見て「みっともないな」と笑う前に、自分の襟元が崩れていないか確認する。
そんな日常的な身だしなみのチェックから、やがて行動や品格といった内面的な「振り」へと意味が広がっていったと考えられています。

まとめ

「人の振り見て我が振り直せ」は、不快な出来事すらも自分の成長材料に変えてしまう、究極のプラス思考ツールです。

他人の欠点が目につくのは、自分の中にも似たような種があるからかもしれません。
誰かの行動にイラッとしたときは、文句を言う前に、一瞬だけ鏡を見るように自分を振り返ってみてください。そうすることで、あなたは昨日よりも少しだけ魅力的な人になれるはずです。

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