頭の上の蠅を追え

ことわざ
頭の上の蠅を追え(あたまのうえのはえをおえ)

12文字の言葉」から始まる言葉
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自分の頭の上で、うるさくハエが飛び回っているのに、それを気にもせず他人の周りを飛ぶ蠅を追い払おうとしている人がいたら、少し滑稽に見えますよね。
「頭の上の蠅を追え」ということわざは、まさにそのような状況を指して、大切な教えを伝えています。

今回は、この少し風変わりなことわざが持つ意味や使い方、関連する言葉について見ていきましょう。

「頭の上の蠅を追え」の意味・教訓

「頭の上の蠅を追え」とは、他人のことに口出ししたり、世話を焼いたりする前に、まず自分自身の問題や欠点を処理(解決)すべきである、という意味のことわざです。

自分の身近にある問題(頭の上の蠅)を放っておいて、他人のことに干渉するのは筋違いであり、お節介であると戒めています。

この言葉は、他人を批判したり、世話を焼いたりする前に、まず自分自身を省(かえり)みることの大切さを教えてくれます。また、余計な口出しや干渉をすることへの戒めとしても使われます。

「頭の上の蠅を追え」が使われる場面と例文

このことわざは、主に以下のような状況で、戒めや忠告として使われます。

  • 自分の欠点や問題を棚に上げて、他人を批判したり、忠告したりする人に対して
  • 自分のやるべきことをせずに、他人の世話ばかり焼こうとする人に対して
  • 余計な口出しやお節介をしてくる人に対して(やや強い批判となる場合も)
  • 自分自身の行動を省みる際の、自戒(じかい)の言葉として

例文

  • 他人のミスを指摘する前に、自分の仕事の遅れをどうにかすべきだ。まさに頭の上の蠅を追えだよ。
  • 自分の子供のしつけもできていないのに、他人の家庭に口を出すなんて、頭の上の蠅を追えと言いたい。
  • 自分の部屋も片付けられないのに、弟に片付けろと言うのは、頭の上の蠅を追えってことだよね。

「頭の上の蠅を追え」の類義語・関連語

まず自分自身を省みるべき、という点で共通する言葉や関連する表現です。

  • 人の振り見て我が振り直せ:他人の行動の良い点や悪い点を見て、それを手本にしたり反面教師にしたりして、自分自身の行動を改めよ、という意味。自己反省を促す点で共通。
  • まず隗より始めよ(まずかいよりはじめよ):(大事を行うにはまず言い出した者から始めよ、の意から転じて)物事はまず自分から、身近なことから始めるべきであるということ。
  • 我が身をつねって人の痛さを知れ:自分の痛みを通して、他人の苦しみを理解せよ、という意味。他者への関与の前に自己を基準とする点で、構造が少し似ている。
  • お節介(おせっかい):でしゃばって他人のことに口出しや手出しをすること。このことわざが戒める対象。
  • 自戒(じかい):自分自身をいましめること。

「頭の上の蠅を追え」の対義語

「頭の上の蠅を追え」が「まず自分のことを」と戒めるのに対し、他者を優先する態度を示す言葉です。(直接的な対義語ではありません)

  • 利他(りた):自分の利益よりも、他者の利益を優先すること。
  • 献身的(けんしんてき):自分のことを顧みず、他者やある目的のために力を尽くすさま。
  • (自分のことはさておき)人を助ける:自分の問題を抱えながらも、他者を優先して援助する行為。

ただし、これらの行為も、時と場合によっては「頭の上の蠅を追う」べき状況と見なされる可能性もあります。

「頭の上の蠅を追え」の英語での類似表現

英語にも、「まず自分のことを始末せよ」という意味合いの表現があります。

  • Sweep before your own door.
    • 意味:「自分のドアの前を(まず)掃け」。他人の欠点を指摘したり批判したりする前に、まず自分自身の欠点や問題を解決すべきである、という意味で非常によく似ています。
  • Mind your own business.
    • 意味:「自分のことだけ気にしていなさい(他人のことに口出しするな)」。余計なお世話、干渉するな、という意味で使われる口語表現です。
  • People who live in glass houses shouldn’t throw stones.
    • 意味:「ガラスの家に住んでいる者は石を投げるべきではない」。自分にも弱点や欠点があるのなら、他人を攻撃したり批判したりすべきではない、という意味です。
  • Physician, heal thyself.
    • 意味:「医者よ、汝自身を癒せ」。聖書に由来する言葉で、他人を指導したり批判したりする前に、まず自分自身の欠点や問題を正すべきである、という意味です。

まとめ – まずは自分自身を見つめること

「頭の上の蠅を追え」は、他人のことに口を出す前に、まず自分自身の問題や欠点に目を向け、それを解決すべきである、という大切な教訓を教えてくれることわざです。

お節介や余計な干渉は、時に相手を不快にさせ、人間関係をこじらせる原因にもなりかねません。
他人へのアドバイスや手助けが本当に求められているのか、そして自分自身にその資格があるのかを一度立ち止まって考えてみる。
このことわざは、そんな自己反省の機会を与えてくれる言葉と言えるでしょう。

まずは自分の足元をしっかりと見つめることが、より良い人間関係や自己成長への第一歩なのかもしれません。

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