厳しい難関を突破し、社会的な地位を得て大きく飛躍する様子。
このような状況を表すのが、「鯉の滝登り」(こいのたきのぼり)です。
意味
「鯉の滝登り」とは、勢いよく立身出世するという意味です。
単に勢いが盛んである様子を指すこともあり、努力が実を結んで劇的な成功を収める場面で使われるポジティブな言葉です。
- 鯉(こい):淡水魚の一種
- 滝登り(たきのぼり):急流を逆流して登ること
語源・由来
この言葉は、中国に伝わる「登竜門(とうりゅうもん)」の伝説に由来します。
中国の黄河(こうが)の上流には、「竜門(りゅうもん)」と呼ばれる非常に流れの激しい滝がありました。
多くの魚がこの滝を登ろうと挑みましたが、ことごとく激流に弾き返されてしまいます。
しかし、「もし鯉がこの滝を登り切ることができれば、竜(龍)へと姿を変え、天に昇っていく」という伝説が信じられていました。
この鯉が竜になるという伝承は、『三秦記(さんしんき)』などの中国の古典に記されています。
この壮大なエピソードから、厳しい試練を乗り越えて高い地位に就くことを「鯉の滝登り」と呼ぶようになりました。
使い方・例文
- 鯉の滝登りの勢いでプロ入りを決めた。
- 平社員から社長へと、まさに鯉の滝登りだ。
- 鯉の滝登りのように、人気アーティストの階段を駆け上がった。
類義語・関連語
「鯉の滝登り」の類義語には、以下のような言葉が挙げられます。
- うなぎ上り(うなぎのぼり):
物事の評価や数値などが、途切れることなく急速に上がっていくこと。 - 破竹の勢い(はちくのいきおい):
竹を割る時のように、猛烈な勢いで突き進み、誰にも止められない様子。 - トントン拍子(とんとんびょうし):
物事が何の障害もなく、順調にすらすらと進むこと。
「鯉の滝登り」と類義語の違い
「鯉の滝登り」と「うなぎ上り」はどちらも勢いよく上昇する様子を表しますが、対象となるものに明確な違いがあります。
人物の出世や地位の向上には「鯉の滝登り」を、気温や物価などの数値・人気の上昇には「うなぎ上り」を使います。
| 語句 | 上昇する対象 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 鯉の滝登り (こいのたきのぼり) | 人の地位・身分 | 困難を乗り越えて劇的に出世する様子 |
| うなぎ上り (うなぎのぼり) | 数値・人気・評価 | 途切れることなく急速に上がり続ける状態 |
対義語
「鯉の滝登り」の対義語には、以下のような言葉が挙げられます。
- 都落ち(みやこおち):
中央の華やかな地位を失い、地方へ追いやられること。 - 左遷(させん):
それまでよりも低い役職や地位に落とされること。 - 没落(ぼつらく):
栄えていた地位や財産を失い、衰え落ちぶれること。
英語表現
rise through the ranks
意味:階級や地位を着実に駆け上がること
- 例文:
He started as an intern and quickly rose through the ranks to become CEO.
彼はインターンからスタートし、あっという間に社長へと上り詰めた。
町人文化から生まれた「鯉のぼり」

端午の節句(5月5日)に空を泳ぐ「鯉のぼり」は、この「鯉の滝登り」の伝説を形にしたものです。
江戸時代、武家では男の子が生まれると、家紋を描いた幟(のぼり)や槍などの武具を庭に飾って祝う風習がありました。
これに対し、江戸の町人たちは「鯉の滝登り」の伝説を縁起物として取り入れ、武具の代わりに紙や布に大きな鯉を描き、風をはらんで空を泳ぐように工夫しました。
これが鯉のぼりの始まりとされています。
武家の風習を土台にしつつ、我が子の立身出世を願う庶民のアイデアから独自に発展した文化です。









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