鳩が豆鉄砲を食ったよう

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ことわざ 慣用句
鳩が豆鉄砲を食ったよう
(はとがまめでっぽうをくったよう)
短縮形:鳩に豆鉄砲
異形:鳩に豆鉄砲/鳩が豆鉄砲を食らったよう

15文字の言葉は・ば・ぱ」から始まる言葉
鳩が豆鉄砲を食ったよう 意味・使い方
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「えっ?」と声も出ず、予想外の出来事に頭が真っ白になって立ち尽くしてしまう。
そんな、不意を突かれてあっけにとられている様子を、
「鳩が豆鉄砲を食ったよう」(はとがまめでっぽうをくったよう)と言います。

意味

「鳩が豆鉄砲を食ったよう」とは、思いがけない出来事に驚き、きょとんとしてしまう様子のたとえです。
パニックになって激しく騒いだり逃げ惑ったりするような驚きではなく、あまりの意外さに思考が追いつかず、目を丸くして呆然とする、静かでどこか間の抜けた状態を指します。

語源・由来

昔の子供のおもちゃである「豆鉄砲」で鳩を撃ったときの、鳩のリアクションに由来します。

豆鉄砲とは、細い竹の筒を使って大豆や水で濡らした紙玉などを弾にして飛ばすおもちゃです。
この豆鉄砲で鳩を撃つと、突然体に豆が当たった鳩は、何が起きたのか瞬時には理解できず、目を丸くしてキョロキョロと固まってしまいます。
その姿が、不意打ちを食らって呆然とする人間の表情とそっくりだったことから、このユーモラスな表現が生まれました。

使い方・例文

「鳩が豆鉄砲を食ったよう」は、主に相手の表情や反応を描写する場面で使われます。
やや滑稽なニュアンスを含むため、重大な事故や深刻な謝罪の場などで使うのは不適切です。
日常のちょっとしたハプニングなどに適しています。

  • サプライズで名前を呼ばれた彼は、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。
  • 突然の指名に、彼女は鳩が豆鉄砲を食ったように立ち尽くした。
  • 予想外のテスト範囲の変更に、生徒たちは鳩が豆鉄砲を食ったように顔を見合わせた。

小説での使用例

『南京虫殺人事件』(坂口安吾)

予期せぬ指摘を受けた登場人物の反応を描写する場面で、実際にこの言葉が使われています。

令嬢は鳩が豆鉄砲くらったように目をパチパチさせたが、百合子をやさしく睨んで

誤用・注意点:「食った」か「食らった」か

この言葉の「食った」は「食べた」という意味ではなく、「(攻撃や被害を)受けた」という意味です。

正しい言い方は「豆鉄砲を食(く)ったよう」ですが、攻撃を受けるという意味の「食(く)らわす」との混同から、「豆鉄砲を食らったよう」と言う人も多く、現在では許容される傾向にあります。上記の坂口安吾の用例のように「食らった」は古くから文学作品にも登場していますが、辞書的な正式表記は「食った」です。

類義語・関連語

「鳩が豆鉄砲を食ったよう」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 呆気にとられる(あっけにとられる):
    意外なことに出会って驚き、呆然とすること。
  • 唖然とする(あぜんとする):
    驚きのあまり言葉が出ない様子。
  • 目を白黒させる(めをしろくろさせる):
    驚き慌てて、どうしてよいか分からなくなる様子。
  • 狐につままれたよう(きつねにつままれたよう):
    訳が分からず、ぼんやりとした様子。

対義語

「鳩が豆鉄砲を食ったよう」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 泰然自若(たいぜんじじゃく):
    何が起きても落ち着いていて、少しも動じない様子。
  • 冷静沈着(れいせいちんちゃく):
    感情に左右されず、落ち着いていること。

英語表現

「鳩が豆鉄砲を食ったよう」を英語で表現する場合、驚いて動けなくなる様子を表す以下のイディオムが適しています。

like a deer in headlights

直訳:ヘッドライトに照らされた鹿のように
意味:突然の出来事に驚いてすくみ上がる様子。
日本語では「鳩」と「豆鉄砲」の組み合わせですが、英語圏では夜道で車のライトを浴びて動けなくなる「鹿」に例えられます。動物や状況は異なりますが、「不意を突かれて固まってしまう」という心理状態を完璧に表す対応表現です。

  • 例文:
    He looked like a deer in headlights when I asked him that question.
    私がその質問をした時、彼は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして固まっていた。

dumbfounded

意味:言葉を失った、呆気にとられた
驚きのあまり何も言えなくなる状態を指す単語です。

  • 例文:
    I was completely dumbfounded by the news.
    その知らせを聞いて、私は完全に鳩が豆鉄砲を食ったようになった。

豆知識:江戸時代の大人気おもちゃ「豆鉄砲」

ことわざの由来となった「豆鉄砲」は、江戸時代から昭和の初期にかけて子供たちに大人気だった玩具です。

当時の町中には鳩が多く、子供たちが鳩に向けてこの豆鉄砲を撃つ光景はごく日常的なものでした。
現代の感覚からすると少し可哀想にも思えますが、竹の筒から押し出される大豆の弾には殺傷能力は全くなく、当たっても「痛い」というより「びっくりする」程度のおもちゃでした。

だからこそ、撃たれた鳩のパニックにならずポカンとする表情が当時の人々の記憶に残り、このようなユーモラスな言葉として定着したと考えられます。
言葉の背景には、昔の日本人ののどかな日常風景が隠されています。

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