意味
「矢も盾もたまらず(やもたてもたまらず)」は、ある強い思いが極まって抑えきれなくなり、行動を起こさずにはいられないという意味です。
勢いを止めることができないさまや、思いつめてこらえきれないさまのたとえです。
使い方・例文
「矢も盾もたまらず」は、強い好奇心や喜び、不安などで居ても立っても居られない場面で使われます。
- 知らせを聞いた彼は、矢も盾もたまらず現場へと急行した。
- 欲しかった本が発売され、矢も盾もたまらず書店に走る。
- 大舞台に立つ我が子が心配で、矢も盾もたまらず会場へ駆けつけた。
類義語・関連語
「矢も盾もたまらず」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 居ても立っても居られない(いてもたってもいられない):
不安や興奮などの強い感情により、落ち着かない様子。 - 気が気でない(きがきでない):
心配や不安な気持ちが強く、心が全く落ち着かない状態。 - うずうずする:
ある行動を起こしたくて、気持ちが抑えきれない状態。
対義語
「矢も盾もたまらず」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 冷静沈着(れいせいちんちゃく):
感情に振り回されず、落ち着いて物事に対処する様子。 - 泰然自若(たいぜんじじゃく):
何事が起きても慌てず、ゆったりと落ち着いている状態。 - 明鏡止水(めいきょうしすい):
邪念がなく、静かに澄み切って落ち着き払った心の状態。
英語表現
cannot help but do
意味:思わずある行動をとってしまうこと
He could not help but run to the hospital.
(彼は病院へと走らずにはいられなかった。)
式亭三馬『浮世床』、「矢も楯もたまらぬ」をしゃれに
江戸の戯作者、式亭三馬の滑稽本『浮世床』(初編は1813年)に、「矢も楯もたまらぬ」が出てきます。
髪結床(床屋)に集まった客たちが、三十を過ぎて遊びを覚えた近所の息子のうわさをする場面です。
客の一人が「これほど面白い事を、今まで知らなんだが残念、などとつかひかけるから、矢も楯もたまらぬテ」(こんなに面白いことを今まで知らなかったのは残念だと金を使い始めるから、もう止まらない)と言います。
そのとたん、その客はきせるの火玉をひざに落とし、「熱ッツッツッ、こいつ矢も楯も所か、鉄砲玉だ」(矢や楯どころか、鉄砲玉だ)と叫びます。
ひざに飛んだ火玉を、矢や楯より強い鉄砲の玉にたとえたしゃれです。
「矢も楯もたまらぬ」が、江戸の町人の会話で気軽に使われ、しゃれの種にもなっていたことが分かる場面です。










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