意味
「卵を見て時夜を求む(たまごをみてじやをもとむ)」は、順序を考えず、せっかちに結果を求めることです。
卵が孵化して夜明けを告げる鶏(時夜)に育つまでには時間と順序があります。
それを待たず、卵の段階で鶏としての働きを求めるような、気が早すぎる様子を戒めています。
語源・由来
中国の戦国時代の思想書『荘子』の「斉物論」にある一節が由来とされています。
原文では、卵を見て時を告げる鶏を求めるたとえと、弾(はじき弓)を見てフクロウの炙り焼きを求めるたとえが並べられています。
どちらも、物事の自然な順序を無視して先を急ぎすぎる様子を表しています。
この故事から、あまりに気が早いことを指す言葉として定着しました。
使い方・例文
「卵を見て時夜を求む」は、順序を踏まずに結果ばかりを急ぐ人を諭す場面で使われます。
- 企画段階で完成後の祝賀会を話し合うのは、卵を見て時夜を求むだ。
- 入学初日から卒業後の就職先を心配するのは、卵を見て時夜を求むというものだ。
- 宝くじを買っただけで購入後の生活を妄想するのは、卵を見て時夜を求むだ。
類義語・関連語
「卵を見て時夜を求む」と似た意味を持つ言葉には次のようなものがあります。
- 捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう):
手に入るかどうかも分からない不確かな利益を当てにして、様々な計画を立てることです。 - 飛ぶ鳥の献立(とぶとりのこんだて):
まだ捕まえてもいない空を飛ぶ鳥を、どのように料理しようかと考えることです。 - 生まれぬ先の産着定め(うまれぬさきのうぶぎさだめ):
まだ生まれてもいない赤子の産着をあれこれ決めることで、先を急ぎすぎることのたとえです。
対義語
「卵を見て時夜を求む」と反対の意味を持つ言葉には次のようなものがあります。
- 石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる):
非常に用心深く、十分に安全を確かめてから物事を進めることです。 - 転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ):
失敗しないように、前もって十分に準備をしておくことです。 - 備えあれば患いなし(そなえあればうれいなし):
普段から準備を万全にしておけば、万一の事態が起きても心配することはないという意味です。
英語表現
Don’t count your chickens before they hatch
直訳:卵が孵化する前に鶏を数えるな
意味:不確かな利益をあてにして計画を立てるべきではないという戒めの表現です。
She was already planning how to spend the prize money, but I told her, “Don’t count your chickens before they hatch.”
(彼女はすでに賞金の使い道を計画していましたが、私は彼女に気が早すぎると言いました。)
卵を見て時夜を求むは、聖人の話を早合点した者への言葉
『荘子』斉物論のこの場面では、瞿鵲子が長梧子に、先生から聞いた聖人の話を持ち出します。
聖人は利を求めず害を避けず、俗世の外に遊ぶという話で、先生はこれを「孟浪の言(= とりとめのない言葉)」と見なしましたが、瞿鵲子は「妙道の行い」だと考えていました。
長梧子は、これは黄帝でも聞いて迷うことで、丘(孔子)などに分かるはずがないと答え、次のように続けます。
且汝亦大早計,見卵而求時夜,見彈而求鴞炙。
(それに、あなたもずいぶん早計で、卵を見て時を告げる鶏を求め、はじき弓を見てフクロウの炙り焼きを求めている)











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