百舌勘定

慣用句
百舌勘定(もずかんじょう)

7文字の言葉」から始まる言葉
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割り勘だと思っていた飲み会で、なぜか自分だけ多く支払うことになった…そんな理不尽な経験はありませんか。もしかしたら、それは「百舌勘定」だったのかもしれません。

今回は、少し変わった言葉「百舌勘定」の正しい意味やその面白い由来、現代での使い方を具体的な例文とともに解説します。
類義語や対義語もあわせてご紹介しますので、この言葉の持つ独特のニュアンスをぜひ理解してください。

「百舌勘定」の意味・教訓

「百舌勘定(もずかんじょう)」とは、会計の際に、自分だけ支払わなかったり、自分に都合よく計算したりすることを指す言葉です。

複数人での支払いの場面で、こっそり自分の分を少なくしたり、他人に多く支払わせたりする、ずる賢い行為を揶-揄(やゆ)する際に使われます。
この言葉には、そのような不公平な振る舞いに対する非難の気持ちが込められています。

「百舌勘定」の語源

この言葉の由来は、鳥の「百舌(もず)」の習性にあります。

百舌には、捕らえた獲物(カエルや昆虫など)を木の枝先やトゲに突き刺しておく「はやにえ」という習性があります。この行動は、獲物を後で食べるための貯蔵や、縄張りを主張するためなど諸説ありますが、まるで獲物を突き刺したまま忘れてしまうかのように見えることから、「自分(百舌)の都合だけ考えて、相手(獲物)のことはお構いなし」という意味合いに転じました。

この百舌の習性と、金銭を計算する「勘定」という言葉が結びつき、「自分勝手な計算=百舌勘定」として使われるようになったのです。

使用される場面と例文

飲み会や食事の割り勘など、複数人で金銭をやり取りする場面で、不公平な計算をする人や状況を指して使われます。
直接相手を非難するというよりは、陰で「あの人の計算はずるい」と皮肉を込めて言うような文脈で使われることが多いです。

例文

  • 「今日の飲み会の会計、部長はほとんど払っていないじゃないか。まさに『百舌勘定』だな。」
  • 「彼はいつも細かい計算をごまかして、自分の支払いが少なくなるようにする。まさに『百舌勘定』の名人だ。」
  • 「みんなで平等に割る約束だったのに、彼女は勝手に自分の分だけ安く計算していた。そんな『百舌勘定』は許せない。」

類義語・言い換え表現

「百舌勘定」と似た、自分勝手な振る舞いを表す言葉があります。

  • 我田引水(がでんいんすい):他人のことを考えず、自分の都合の良いように物事を進めたり、解釈したりすること。金銭の計算に限定されず、より広い範囲の行動や主張に対して使われる。
  • 後勘定(あとかんじょう):支払いを後回しにすること。また、その場では支払わず、後で請求すること。「百舌勘定」とは意味が異なるが、会計をごまかすという点で関連付けられることがある。

対義語

不公平な計算とは反対に、公平で明朗な会計を示す言葉が対義語となります。

  • 割り勘(わりかん):代金を人数で均等に割って支払うこと。「割り前勘定」の略。
  • 明朗会計(めいろうかいけい):料金体系が明確で、ごまかしのない正直な会計のこと。

英語での類似表現

「百舌勘定」のずる賢いニュアンスを直接表す単独の単語やイディオムは英語にはありませんが、状況を説明することで表現できます。

To cook the books

会計や帳簿をごまかす、不正に操作するという意味の表現です。会社の不正経理など大きな文脈で使われることが多いですが、個人間のずるい計算を指して比喩的に使うことも可能です。

  • 意味:
    帳簿を操作する、不正経理をする。
  • 例文:
    He’s always trying to cook the books when we split the bill.
    (私たちが割り勘をするとき、彼はいつも帳簿をごまかそうとするんだ。)

まとめ – 「百舌勘定」から学ぶこと

「百舌勘定」は、百舌という鳥のユニークな習性から生まれた、自分勝手な会計をごまかす行為を指す言葉です。

お金の計算は、その人の人間性を映し出す鏡とも言えます。たとえ少額であっても、不公平な勘定は人間関係にひびを入れる原因になりかねません。この言葉は、私たちに対して、常に公平で誠実な振る舞いを心がけることの大切さを教えてくれるようです。

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