ことわざ 慣用句

一銭を笑う者は一銭に泣く

(いっせんをわらうものはいっせんになく)

わずかな金を軽んじると、いざという時にそのわずかな金のために困るという戒め。

短縮形:一銭に泣く
異形:一円を笑う者は一円に泣く

18文字の言葉 / 「い」から始まる言葉
一銭を笑う者は一銭に泣く ことば
スポンサーリンク

意味

「一銭を笑う者は一銭に泣く(いっせんをわらうものはいっせんになく)」とは、わずかなお金であっても、軽んじて扱うといざという時にそのわずかなお金のために困ることになるという教訓です。

  • 一銭(いっせん):かつての日本の通貨単位で、一円の100分の1。ごくわずかな金額のたとえ。

語源・由来

「一銭を笑う者は一銭に泣く」は、昔からの言い伝えではなく、1919年(大正8年)に逓信省為替貯金局が貯蓄を呼びかけるために公募した標語です。
応募作の中から2等に選ばれたこの句が、そのままことわざとして定着しました。
応募したのは大阪在住の朝田喜代松という人物だったと伝えられています。
作者のわかっていることわざは珍しく、この標語は逓信省為替貯金局の公式の標語として最も古いものといわれます。

「一銭」は1953年に通貨としての役割を終えましたが、このことわざは現在も教訓として使われています。

使い方・例文

「一銭を笑う者は一銭に泣く」は、金銭感覚の緩みを指摘する際や、地道な節約の価値を伝える文脈で用いられます。

例文

  • 小銭を無造作に扱う彼を、一銭を笑う者は一銭に泣くと諭した。
  • 一銭を笑う者は一銭に泣くというから、毎日一円単位で家計簿をつける。
  • あと一円足りずバスに乗れず、まさに一銭を笑う者は一銭に泣くを実感した。
  • 一銭を笑う者は一銭に泣くの精神で、備品の無駄を徹底して省く。

類義語・関連語

「一銭を笑う者は一銭に泣く」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる):
    わずかなものでも、積み重なれば大きなものになる。
  • 一円を笑う者は一円に泣く(いちえんをわらうものはいちえんになく):
    通貨単位を現代の一円に置き換えた、実感を伴う言い換え。
  • 一文惜しみの百知らず(いちもんおしみのひゃくしらず):
    わずかな金を惜しんで、かえって大きな損をすること。

対義語

「一銭を笑う者は一銭に泣く」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。

  • 宵越しの銭は持たぬ(よいごしのぜにはもたぬ):
    その日に稼いだ金はすぐに使い果たすという、江戸っ子の気風。
スポンサーリンク

英語表現

「一銭を笑う者は一銭に泣く」を英語で表現する場合、以下の定型句が用いられます。

Take care of the pence, and the pounds will take care of themselves

「小銭(ペンス)を大事にせよ、そうすれば大金(ポンド)は自ずと貯まる」
小さな出費に気をつければ、財産管理は自然とうまくいくというニュアンスです。

My father always said, “Take care of the pence, and the pounds will take care of themselves.“
(父はいつも「小銭を大事にすれば大金は自然と貯まる」と言っていた。)

A penny saved is a penny earned

「節約した1ペニーは、稼いだ1ペニーと同じ価値がある」
ベンジャミン・フランクリンの言葉として知られていますが、この形でフランクリンが書いた記録はありません。
実際に書いたのは『貧しいリチャードの暦』1737年版の「1ペニーの節約は2ペンスの儲け」、1758年版の「節約した1ペニーは手に入れた1ペニー」で、さらに1640年のジョージ・ハーバート『外国のことわざ』に「節約した1ペニーは二度稼いだのと同じ」という先行例があります。
いずれにせよ、節約の価値を強調する言葉です。

Don’t waste money on small things. A penny saved is a penny earned.
(細かいことに金を使わないで。節約は稼ぐのと同じだよ。)

「一銭を笑う者は一銭に泣く」、太宰治は「殴られた」と書いた

標語が選ばれてから18年後の1937年、太宰治は日付ごとの断章を連ねた作品『HUMAN LOST』で、このことわざを言い換えています。
「四日」の項で、新約聖書マタイ伝の「一厘も残りなく償わずば、其処をいずること能わじ」という一節を引いたあとに、次の二行が続きます。

晩秋騒夜、われ完璧の敗北を自覚した。
一銭を笑い、一銭に殴られたにすぎぬ。
(太宰治『HUMAN LOST』1937年)

ことわざでは「泣く」で結ぶところを、「殴られた」に変えています。

スポンサーリンク

コメント

URLをコピーしました