「あの人、お金がなくなったら急に冷たくなった…」そんな経験や話を聞いたことはありませんか?
この「金の切れ目が縁の切れ目」ということわざは、まさにそうしたお金と人間関係のシビアな一面を表す言葉です。
この記事では、このことわざの意味や由来、使い方、そして関連する言葉などを分かりやすく解説していきます。
「金の切れ目が縁の切れ目」の意味・教訓
「金の切れ目が縁の切れ目」とは、金銭的なつながりがなくなると、それまであった人間関係も終わってしまうという意味のことわざです。
お金があるうちは親しくしていても、お金がなくなると途端に人が離れていってしまう、という世の中の非情さや人間関係の脆さを示しています。
同時に、この言葉は、お金に左右されない、誠実さや信頼に基づいた真の人間関係の大切さをも教えてくれる教訓を含んでいます。
「金の切れ目が縁の切れ目」の語源
このことわざの正確な起源は定かではありませんが、江戸時代にはすでに使われていたと考えられています。
一説には、江戸時代の遊郭で、お客さんのお金が尽きると、遊女たちが相手にしなくなる様子から生まれたとも言われています。
当時は、現代以上にお金が人間関係、特に男女間の関係に影響を与えていたことが背景にあるようです。
「金の切れ目が縁の切れ目」が使われる場面と例文
このことわざは、主に次のような状況で使われます。
- 金銭的な問題が原因で、友人、恋人、ビジネス関係などが終わってしまった時。
- お金がなくなった途端に人が離れていくような、世知辛い状況を嘆く時。
- お金目当てで近づいてくる人や、お金に依存した関係性を揶揄(やゆ)する時。
- 自分自身がお金で関係性を判断しないように、と自戒する時。
例文
- 「彼が事業に失敗した途端、あれほど親しかった人々が離れていった。まさに金の切れ目が縁の切れ目だ。」
- 「援助していた時は親密だったのに、それがなくなったら連絡も途絶えた。金の切れ目が縁の切れ目とは言うけれど、寂しいものだ。」
- 「私たちは金の切れ目が縁の切れ目になるような関係じゃない。困った時はいつでも頼ってほしい。」
「金の切れ目が縁の切れ目」の類義語
- 地獄の沙汰も金次第:
意味:この世で解決困難なことでも、金銭の力で何とかなるというたとえ。
ニュアンス:「金の切れ目が縁の切れ目」が金銭による関係の「終了」に焦点を当てるのに対し、こちらは金銭の「影響力の大きさ」全般を示す。 - 金の光は阿弥陀ほど(かねのひかりはあみだほど):
意味:お金の持つ力は、仏様の力のように絶大であるというたとえ。
ニュアンス:「地獄の沙汰も金次第」と同様に、金銭の持つ絶対的な力を強調する表現。
「金の切れ目が縁の切れ目」の関連語
- 貧乏:
意味:財産や収入が少なく、生活が苦しいこと。
※ このことわざが示す状況を引き起こす直接的な原因となりうる状態。 - 無一文:
意味:お金をまったく持っていないこと。
※ 関係性が「切れる」きっかけとなる、金銭が尽きた状態を示す。
「金の切れ目が縁の切れ目」の対義語
- 金石の交わり(きんせきのまじわり):
意味:金属や石のように非常に固く、変わることのない友情や交友関係。
※ 金銭などの利害に左右されない、永続的な人間関係を示す点で対照的。 - 管鮑の交わり(かんぽうのまじわり):
意味:互いによく理解し合い、利害を超えた厚い友情のこと。中国の管仲と鮑叔牙(ほうしゅくが)の故事に由来する。
※ 貧しい時も変わらなかった友情の例として、「金の切れ目が縁の切れ目」とは逆の関係性を示す。
「金の切れ目が縁の切れ目」の英語での類似表現
- When poverty comes in at the door, love flies out of the window.
意味:貧乏がドアから入ってくると、愛は窓から飛び去っていく。金銭的な困窮が愛情関係の終わりを招く状況を表す、非常に近い表現。 - No money, no friend(s).
意味:お金がなければ友達もいない。より直接的に、金銭と友情の関係を示す表現。 - (A) friend in need is a friend indeed.
意味:まさかの時の友こそ真の友。
※ これは対義的な意味合いも含む。困っている時(お金がない時など)に助けてくれるのが本当の友人であり、「金の切れ目」で離れていく人は真の友人ではない、というニュアンス。
まとめ – 「金の切れ目が縁の切れ目」から学ぶこと
「金の切れ目が縁の切れ目」は、お金がなくなると人間関係も終わってしまうという、少し寂しい世の中の現実を表すことわざです。たしかに、お金が人の心や関係を変えてしまうことはあります。
しかし、この言葉は裏を返せば、お金だけではない、信頼や思いやり、共感といった心のつながりの大切さを教えてくれています。
このことわざを反面教師として、一時的な利害に左右されない、長く続く豊かな人間関係を築いていくことの価値を、改めて考えてみるのも良いかもしれません。
使う際には、ややネガティブで冷たい響きを持つ言葉なので、相手や状況を考えて慎重に用いるのがよいでしょう。
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