意味
「人情紙のごとし(にんじょうかみのごとし)」とは、人間の情愛や関係性は、紙のように薄く破れやすいものであるという意味です。
相手の状況が悪くなったり利益がなくなったりした途端に人が離れていくことへの、落胆や諦めの感情を伴って使われます。
語源・由来
人間の情愛や義理の儚さを、物理的に「薄く」、そして「破れやすい」という紙の性質に重ね合わせた言葉です。
自分に利益があるうちは親密でも、状況が不利になれば容易に関係が切れてしまう人間の性質を、紙の物理的な薄さやもろさにたとえています。
使い方・例文
「人情紙のごとし」は、お金の切れ目や立場の変化によって、相手の態度が急変した際の落胆や諦めの場面で使われます。
- 彼にお金を貸した途端に一切の連絡が取れなくなった。まさに人情紙のごとしだ。
- 部活でレギュラー落ちしたとたん、周囲の態度が冷たくなり人情紙のごとしを実感した。
- あれほど前社長を慕っていた幹部たちが手のひらを返すとは、人情紙のごとしである。
類義語・関連語
「人情紙のごとし」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 世態炎涼(せたいえんりょう):
世間の人情は、権力や富がある時は熱心に近づき、なくなれば冷たくなること。 - 金の切れ目が縁の切れ目(かねのきれめがえんのきれめ):
お金が人間関係をつないでいるだけで、お金がなくなれば関係も終わる様子。 - 去る者は日々に疎し(さるものはひびにうとし):
親しかった人でも、遠ざかってしまうと次第に関係が薄れていくこと。
対義語
「人情紙のごとし」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 管鮑の交わり(かんぽうのまじわり):
互いを深く理解し合った、きわめて親密で強固な友情のこと。 - 水魚の交わり(すいぎょのまじわり):
水と魚のように、決して切り離すことができない親密な関係性のこと。 - 金石の交わり(きんせきのまじわり):
金や石のように堅く、決して変わることのない強固な交友関係のこと。
英語表現
Prosperity makes friends, adversity tries them
古代ローマの作家プブリリウス・シルスの格言の英訳とされる一句で、「繁栄は友をつくり、逆境は友を試す」という意味です。
He learned firsthand that prosperity makes friends, adversity tries them.
(彼は繁栄が友をつくり、逆境がその友情を試すという格言を、身をもって知ることになった。)
人情紙のごとしと同じ比喩は中国の対句にもある
人の情けを紙の薄さにたとえる言い方は、中国にもあります。
明代の子ども向けの教訓書『増広賢文』に、「人情似紙張張薄、世事如棋局局新」(人情は紙のように一枚一枚が薄く、世の中の出来事は盤上の勝負のように一局ごとに新しい)という対句があります。
日本では、山中貞雄監督の映画「人情紙風船」(1937年公開)が、題に「人情」と「紙」を並べています。
江戸の貧しい長屋に暮らす人々を描いた時代劇で、山中の遺作になりました。










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