意味
「同床異夢(どうしょういむ)」とは、同じ立場や環境にいる者どうしでも、心の中で描く考えや目指すものはそれぞれ違うという意味です。
「同床」は同じ寝床に寝ること、「異夢」は別の夢を見ることを指します。
仲睦まじく同じ場所にいるように見えても、心の中までは一つにはなっていないという、人間関係の複雑さや冷ややかさを表現する言葉です。
協力関係にあるはずの組織やパートナーの間で、それぞれの思惑がバラバラである際、否定的なニュアンスを含んで使われます。
- 同床(どうしょう):同じ寝床で寝ること。転じて、同じ立場や境遇にあること。
- 異夢(いむ):それぞれが別の夢を見ること。転じて、考えや目的が異なること。
語源・由来
「同床異夢」の語源は、中国の南宋時代に活躍した学者、陳亮(ちんりょう)が友人の朱熹(しゅき)へ送った手紙(『与朱元晦書』)の一節にあります。
陳亮はその手紙の中で、「同じ寝床で寝ていても、それぞれが別の夢を見る(同牀各做夢)」と綴りました。
「同床異夢」は、この句の「牀(とこ)」を同じ意味の「床」に、「各做夢」を「異夢」に置き換えて四字にまとめた形です。
使い方・例文
「同床異夢」は、ビジネスの提携、政治的な連立、あるいは心の離れた夫婦関係など、外見上の結束と内面の食い違いを対比させる場面で使われます。
例文
- 連立政権が発足したが、各政党の思惑は同床異夢で足並みが揃わない。
- 家族で旅行の計画を立てているが、父は温泉、子どもたちは遊園地が目当てで、同床異夢のまま話がまとまらない。
- 共同事業を始めた二人だが、方針の違いから同床異夢の状態に陥っている。
- クラス全員で目標を掲げたものの、内情は同床異夢で熱量に差がある。
類義語・関連語
「同床異夢」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 呉越同舟(ごえつどうしゅう):
仲の悪い者同士が同じ場所に居合わせたり、共通の利害のために協力したりすること。 - 面従腹背(めんじゅうふくはい):
表面では従うふりをしながら、心の中では反発していること。 - 同床各夢(どうしょうかくむ):
「同床異夢」の元となった表現で、意味は全く同じ。
対義語
「同床異夢」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 異体同心(いたいどうしん):
体は別々でも、心が一つに固く結びついていること。 - 一致団結(いっちだんけつ):
多くの人が一つの目的のために、心を一つにして協力すること。 - 水魚の交わり(すいぎょのまじわり):
水と魚のように、離れることができないほど親密な関係。
南宋の陳亮と朱熹、十年余り手紙で論争
この言葉が出てくる手紙を書いた陳亮と、受け取った朱熹は、思想の上で長く対立していました。
陳亮は国を治め民の役に立つ実際の成果(事功)を重んじ、朱熹は人の本性と道理を論じる立場から、成果を追う姿勢を利を求めるものとして退けました。
二人は南宋の淳熙年間(1180年代)を中心に、十年以上にわたって書簡を交わし、王道と覇道、義と利をめぐって論じ合いました。
陳亮の側の手紙は今も『陳亮集』に収められており、この論争は後世「王覇義利の弁」と呼ばれる南宋思想史上の代表的な論争になっています。









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