意味
「肝胆相照らす(かんたんあいてらす)」とは、互いに心の奥底まで打ち明け合い、深く信じ合って付き合うという意味です。
表面的な付き合いではなく、弱音や本音をためらうことなく語り合えるような、極めて誠実で親密な間柄の時に使われます。
- 肝胆(かんたん):肝臓と胆のう。転じて、心の奥底。
- 相(あい):互いに。
- 照らす(てらす):光を当てて明らかにする。包み隠さず見せ合うこと。
語源・由来
「肝胆相照らす」という表現は、中国の古典に見られる語句に由来します。
「肝」と「胆」は肝臓と胆嚢のことで、「肝胆を披く」(心の底を打ち明ける)のように、まごころのたとえとして使われてきました。
「照らす」のほうは、『西京雑記』の巻三にある、秦の宮殿の鏡の話と結びつけて説明されます。
漢の高祖(劉邦)が秦の都・咸陽の宮殿に入ったとき、宝物庫に、人の体の中まで映し出す四角い鏡があったと記されています。
その鏡について、次のようにあります。
又女子有邪心,則膽張心動。秦始皇常以照宮人,膽張心動者則殺之。
(また、女性によこしまな心があると、胆がふくらみ心臓が動いて見えた。秦の始皇帝はいつもこの鏡で宮中の女性を照らし、胆がふくらみ心臓が動いている者を殺した。)
この「胆を照らす」という表現と、「肝胆」をまごころのたとえとする用法が合わさって、「肝胆相照らす」ができたとする見方があります。
使い方と例文
「肝胆相照らす」は、人生を共にするような深い友情や、固い信頼で結ばれた同志、仕事上の強いパートナーシップなどを表す格調高い表現です。
単なる知り合いや遊び仲間ではなく、困難な時でも裏切らない、極めて強固な関係性を指して使われます。
例文
- 彼とは学生時代から肝胆相照らす仲だ。
- かつては最大のライバルだった二人が、今では肝胆相照らす親友である。
- 共同経営者と肝胆相照らす関係を築く。
類義語・関連語
「肝胆相照らす」の類義語には、以下のような言葉が挙げられます。
- 水魚の交わり(すいぎょのまじわり):
水と魚のように、切っても切り離せないほど親密な関係。 - 刎頸の交わり(ふんけいのまじわり):
お互いのために首を斬られても後悔しないほどの、固い友情。 - 管鮑の交わり(かんぽうのまじわり):
利害を超えて互いを深く理解し合う、理想的な友情。
対義語
「肝胆相照らす」の対義語には、以下のような言葉が挙げられます。
- 面従腹背(めんじゅうふくはい):
表面では従うふりをし、心の中では反発していること。 - 同床異夢(どうしょういむ):
同じ行動や生活をしながら、全く別の考えや目的を持っていること。 - 呉越同舟(ごえつどうしゅう):
仲の悪い者同士が、同じ場所や境遇に居合わせること。
英語表現
bosom friends
意味:胸の内を明かせるほどの大親友
They have been bosom friends since childhood.
(彼らは幼少期からの大親友です。)
heart-to-heart
意味:腹を割った、包み隠さない
We had a heart-to-heart talk.
(私たちは腹を割って話しました。)
「肝胆相照らす」友は「腹心の友」、対は「口頭の交わり」
中国の故事成語集『故事成語考』の「朋友賓主」の項には、次の対句があります。
肝膽相照,斯為腹心之友;意氣不孚,謂之口頭之交。
(心の底まで照らし合う相手を腹心の友といい、気持ちが通じ合わない相手との付き合いを口先だけの交わりという。)
「肝胆相照らす」間柄を「腹心の友」と呼び、その反対に、気持ちが通じ合わず口先だけでつながる関係を「口頭の交わり」と呼んで対にしています。
「腹の底を見せ合える相手」を意味する「腹心」という言葉も、「肝胆」と同じく、内臓の名を本心の在り処にたとえた発想から生まれています。















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