地獄の沙汰も金次第

ことわざ
地獄の沙汰も金次第(じごくのさたもかねしだい)

12文字の言葉し・じ」から始まる言葉
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「世の中、結局はお金なのか…」と感じる瞬間はありませんか?
この「地獄の沙汰も金次第」ということわざは、まさにそんなお金の持つ力を表現した言葉です。

この記事では、「地獄の沙汰も金次第」の意味や背景、そして現代での使われ方などを、分かりやすく解説していきます。

「地獄の沙汰も金次第」の意味・教訓

このことわざは、「この世では解決が難しい問題や、道理が通らないようなことでも、結局はお金があればなんとかなる」という意味です。

「地獄の沙汰」とは、死後に行われるとされる閻魔(えんま)大王による裁きのことです。
本来、厳正であるはずの地獄の裁判でさえ、お金(賄賂など)によって有利な判決を得られる、ということから、金銭の威力が非常に大きいことをたとえています。

多くの場合、世の中の不条理や、金銭万能主義に対する皮肉、批判、あるいは諦めの気持ちを込めて使われます。

「地獄の沙汰も金次第」の語源 – 歴史的背景を探る

この言葉の正確な語源ははっきりしていませんが、江戸時代の社会状況と関連があると考えられています。

当時、商品経済が発展するにつれて金銭の影響力が増し、「金さえあれば何でもできる」という風潮が広がりました。

また、仏教において、亡くなった人のために遺族がお金を寄進し供養する(追善供養)という考え方があり、これが「地獄での裁きも、現世からの金銭によって左右される」という俗信につながったとも言われています。

近松門左衛門の浄瑠璃『曽根崎心中』(1703年)など、江戸時代の文学作品にも、このことわざを彷彿とさせる描写が見られます。

「地獄の沙汰も金次第」が使われる場面と例文

現代では、お金によって物事が有利に進んだり、不公平が生じたりする状況を指して使われることが多いです。
皮肉や批判、あるいは世の中の現実を嘆くような文脈で用いられます。

使われる場面の例

  • 裁判や交渉事で、資金力のある方が有利になった時
  • コネや裏金によって、本来通らないはずの要求が認められた時
  • 質の高いサービスや特別な待遇が、お金を払える人にしか提供されない時
  • 「結局、世の中はお金がすべてなのか」と嘆く時

例文

  • 「あの会社が有利な条件で契約できたのは、豊富な資金力があったからだろう。まさに地獄の沙汰も金次第だ。」
  • 「どんなに正論を述べても、相手がお金持ちだと強く出られない。地獄の沙汰も金次第というけれど、悔しいものだ。」
  • 「本当は才能があるのに、活動資金がないために夢を諦めざるを得ない人もいる。地獄の沙汰も金次第とはよく言ったものだ。」

「地獄の沙汰も金次第」の類義語

  • 金が物を言う(かねがものをいう):
    意味:金銭の力で問題を解決したり、人を動かしたりすること。
    ニュアンス:「地獄の沙汰も金次第」より直接的に、金銭の影響力を表現する。
  • 銭の光は七光(ぜにのひかりはななひかり):
    意味:お金の力は、親の七光りと同じように、様々な場面で威力を発揮するというたとえ。
    ニュアンス:金銭の持つ威光や影響力を強調する表現。
  • 金は天下の回り物(かねはてんかのまわりもの):
    意味:お金は一か所にとどまらず、世の中を巡っていくものだということ。
    ニュアンス:金銭の流動性について述べた言葉で、直接的な類義語ではないが、「お金が世を動かす」という点で関連性がある。

「地獄の沙汰も金次第」の対義語

  • 清貧(せいひん):
    意味:私欲がなく、行いが清らかで貧しいこと。また、そのさま。
    ※ 金銭に執着せず、清く貧しい生活を良しとする考え方は、金銭万能主義的な「地獄の沙汰も金次第」とは対照的。
  • 武士は食わねど高楊枝(ぶしはくわねどたかようじ):
    意味:武士は貧しくて食事ができなくても、満腹であるかのように楊枝を使って見栄を張ることから、たとえ貧しくても誇りを失わないことのたとえ。
    ※ 金銭よりも誇りや名誉を重んじる精神を示す点で、「地獄の沙汰も金次第」とは逆の価値観を表す。

「地獄の沙汰も金次第」の英語での類似表現

  • Money talks.
    意味:「金が物を言う」という意味で、金銭には大きな影響力があることを示す最も一般的な表現。
  • Money makes the world go round.
    意味:世の中は金銭によって動いている、お金がなければ何も始まらない。
  • Every man has his price.
    直訳:誰もが言い値を持っている。
    意味:どんな人でも、十分な金額を積まれれば買収されたり、言いなりになったりするという皮肉な表現。「地獄の沙汰も金次第」の、金で人が動く側面に近い。

まとめ – 「地獄の沙汰も金次第」から世の中を見る

「地獄の沙汰も金次第」は、金銭の力が非常に大きいことを示す、少し皮肉めいたことわざです。

この言葉は、お金が時に道理や正義さえも左右してしまう現実を鋭く突いています。現代社会においても、お金が物事を大きく動かす場面は少なくありません。

しかし、この言葉を単なる世の中への諦めとして捉えるだけでなく、お金との付き合い方や、お金以外の価値の大切さについて考えるきっかけにもなるでしょう。

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