地獄の沙汰も金次第

スポンサーリンク
ことわざ
地獄の沙汰も金次第
(じごくのさたもかねしだい)

12文字の言葉し・じ」から始まる言葉
地獄の沙汰も金次第 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

どれほど正しい理屈を並べても、あるいは厳格なルールが存在しても、莫大な資金力や金銭のやり取りがすべてを覆し、物事が思い通りに進んでしまう。
そんなお金が持つ強大すぎる影響力を、「地獄の沙汰も金次第」(じごくのさたもかねしだい)と言います。

意味・教訓

「地獄の沙汰も金次第」とは、この世の解決しがたい問題や道理に合わないことでも、お金があれば解決できるという意味です。

  • 地獄の沙汰(じごくのさた):死後に閻魔大王から受ける裁き。
  • 次第(しだい):その人の意志や状況によって決まること。

本来、情実が入り込む余地のない厳正な「地獄の裁判」でさえ、賄賂や金銭によって有利に運べるという比喩です。
世の中の不条理や、金銭万能主義に対する皮肉、あるいは「結局は金か」という諦めの感情を込めて使われることが多い言葉です。

語源・由来

「地獄の沙汰も金次第」という言葉は、仏教的な死生観と、貨幣経済が浸透した江戸時代の社会風潮が結びついて生まれました。

死者が三途の川を渡る際、船賃として「六文銭(ろくもんせん)」を棺に入れる風習があります。
このお金がなければ地獄で苦しむという俗信から、「あの世の苦楽さえ金で決まる」という発想が広がりました。

また、遺族が多額の寄進をして供養することで、故人の罪が軽減されるという「追善供養」の考え方も、このことわざを裏付ける背景となっています。
厳格な宗教的世界でさえお金が通用するという、当時の人々の冷ややかな社会観察が反映されています。

使い方・例文

お金によって不当に物事が有利に進んだり、逆に資金力の差で勝負が決まってしまったりする、不公平な状況を嘆く場面で使われます。

例文

  • 多額の裏金で罪を逃れたニュースを見て、地獄の沙汰も金次第だと嘆く。
  • 地獄の沙汰も金次第と言うが、資金力のある企業が裁判に勝つのは世の常だ。
  • 才能よりも寄付金の額で入学が決まるようでは、まさに地獄の沙汰も金次第だ。
  • 結局はお金で解決してしまった彼を見て、地獄の沙汰も金次第だと実感した。

類義語・関連語

「地獄の沙汰も金次第」と似た意味を持つ、金銭の威力を強調する言葉です。

  • 金が物を言う(かねがものをいう):
    お金の力によって人を動かしたり、問題を解決したりすること。
  • 銭の光は七光(ぜにのひかりはななひかり):
    お金の持つ威力は、親の七光り以上に絶大であるというたとえ。
  • 金は天下の回り物(かねはてんかのまわりもの):
    お金は一箇所にとどまらず世の中を巡るもの。※金銭の流動性を説く言葉ですが、お金の影響力を語る際によく併記されます。
  • 阿弥陀の光も金次第(あみだのひかりもかねしだい):
    阿弥陀仏の慈悲(救い)でさえ、お布施の額によって決まるという、より辛辣な同義語です。

対義語

金銭よりも名誉や誇り、精神的な価値を重んじる言葉です。

  • 武士は食わねど高楊枝(ぶしはくわねどたかようじ):
    たとえ貧しくても、誇りを失わず気高く生きることのたとえ。
  • 清貧(せいひん):
    私欲がなく、正しく生きるために貧しい生活を甘んじて受け入れること。

英語表現

「地獄の沙汰も金次第」を英語で表現する場合、金銭が物事を動かす力を端的に表すフレーズが使われます。

Money talks.

「金が物を言う」という最も一般的で直接的な表現です。金銭には説得力や大きな影響力があることを意味します。

  • 例文:
    In this professional world, money talks.
    (このプロの世界では、地獄の沙汰も金次第だ。)

Money makes the world go round.

「お金が世界を回している」という意味で、世の中のすべての営みは金銭を中心に動いているというニュアンスです。

  • 例文:
    It’s sad, but money makes the world go round.
    (悲しいことだが、地獄の沙汰も金次第(お金が世の中を回している)だ。)

六文銭に込められた俗信

「地獄の沙汰」を左右するとされた「六文銭」は、現代の葬儀でも六文銭を印刷した紙を棺に入れる形などで受け継がれています。
本来、三途の川の渡し賃という素朴な信仰でしたが、それがいつしか「地獄の役人への賄賂」という皮肉な解釈に変わっていった点に、日本人のユーモアと冷徹な現実感覚が見て取れます。

地獄という究極の平等が守られるべき場所でさえ、お金の力が及ぶとするこの言葉は、私たちに「富」というものの功罪を強く意識させます。

まとめ

「地獄の沙汰も金次第」は、金銭が持つ圧倒的な力と、それによってねじ曲げられる道理への諦観を映し出した言葉です。

現代社会においても、お金が大きな役割を果たす現実は変わりません。
しかし、この言葉を単なる諦めとして使うのではなく、お金で買えるものと買えないものを見極める、一つの指針として捉えることもできるはずです。

スポンサーリンク

コメント