「世界で活躍するアスリートになりたい」「大きなビジネスを成功させたい」——そんな壮大な夢を抱いたとき、私たちはつい、華やかなゴールばかりに目を奪われがちです。
しかし、どんなに高い目標も、その一歩目はどこにあるのでしょうか。
今回は、そんな時に思い出したいことわざ「万丈高楼も土台から」の意味や由来、そして現代社会でこの言葉が持つ深い知恵について、分かりやすく解説していきます。
「万丈高楼も土台から」の意味・教訓
「万丈高楼も土台から(ばんじょうのこうろうもどだいから)」とは、どんなに高く立派な建物も、まずは土台から築かれるように、何事も基礎が最も重要であるという教えです。
また、そこから転じて、偉大な事業も、身近で基本的な事柄の積み重ねから始まるという、物事の順序の大切さをも示しています。焦らず、地道な努力を続けることの重要性を説くことわざです。
「万丈高楼も土台から」の語源
このことわざは、特定の物語に由来するものではなく、建築という普遍的な事実から生まれた比喩表現です。
言葉を分解してみると、その意味がより鮮明になります。
- 万丈(ばんじょう):一丈は約3メートル。「万丈」は、それが一万もあるという意味で、非常に高いことのたとえ。
- 高楼(こうろう):高く立派な建物。
- 土台(どだい):建物の基礎。
つまり、「どんなに天を突くような高いビルも、その始まりは地面の基礎工事からである」という情景から、あらゆる物事における基礎固めの大切さを教える言葉として定着しました。
使用される場面と例文
新しいことを学び始める人や、大きな目標に向かって努力している人へのアドバイス、または自分自身を戒める言葉として使われます。
例文
- 「焦って応用問題に手を出す前に、まずは基本を徹底的に復習しよう。万丈高楼も土台からだ。」
- 「新入社員研修では、挨拶や掃除といった一見地味なことを教わったが、それこそが万丈高楼も土台からということなのだろう。」
- 「彼の成功は決して偶然ではない。日々の地道な努力の積み重ねがあったからこそだ。まさに万丈高楼も土台からを体現している。」
類義語・言い換え表現
物事の始まりや基礎の重要性を説くことわざは、他にも多く存在します。
- 千里の道も一歩から(せんりのみちもいっぽから):遠大な目標も、まずは第一歩を踏み出すことから始まるというたとえ。
- 九層の台も累土より起こる(きゅうそうのだいもるいどよりおこる):九階建ての高い台も、もっこ一杯の土を重ねることから始まる。基礎が大切であることのたとえ。
- 塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる):わずかなものでも、積み重なれば大きなものになるというたとえ。
対義語
基礎をおろそかにし、見かけだけが立派な様子を表す言葉が対義語にあたります。
- 砂上の楼閣(さじょうのろうかく):砂の上に建てた高殿のように、基礎がしっかりしておらず、長く維持できない物事のたとえ。
英語での類似表現
英語にも、基礎や地道な努力の大切さを説く、似た意味のことわざがあります。
Rome wasn’t built in a day.
直訳:「ローマは一日にして成らず。」
意味:偉大なことは、長い時間と努力をかけなければ完成しない、という教えです。
- You need to be patient with your studies. Rome wasn’t built in a day.
(勉強には忍耐が必要だよ。ローマは一日にして成らず、だからね。)
You have to learn to walk before you can run.
直訳:「走る前に歩くことを学ばなければならない。」
意味:何事も順序が大切で、まずは基本的なことを身につけるべきだ、という教えです。
- Don’t try the advanced course yet. You have to learn to walk before you can run.
(まだ上級コースに挑戦してはだめだ。物事には順序があるのだから。)
まとめ – 「万丈高楼も土台から」から学ぶ現代の知恵
「万丈高楼も土台から」は、高くそびえるビルも頑丈な基礎があってこそ、という普遍の真理を通して、地道な努力と基礎固めの重要性を教えてくれる言葉です。
すぐに結果を求めてしまいがちな現代社会だからこそ、このことわざは一層心に響きます。大きな夢や目標があるならば、まずは足元の土台を固めることから。一見遠回りに見えるその一歩こそが、あなたの「高楼」を支える最も確かな力になるはずです。



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