意味
「雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)」は、微力なものでも根気よく継続すれば、最後には大きな成果を成し遂げられるという教訓です。
- 雨垂れ(あまだれ):軒先などから滴り落ちる、わずかな雨水。
- 穿つ(うがつ):穴を開ける。突き通す。
この言葉が重んじるのは、才能や力の強さではなく、一点に集中して「続けること」です。
どれほど小さな歩みでも、休まず積み重ねれば、不可能に思える壁も打ち破れると説いています。
語源・由来
「雨垂れ石を穿つ」は、前漢の枚乗の言葉「泰山の霤は石を穿つ」(『漢書』枚乗伝)に由来します。
宋代の文人、羅大経が記した随筆『鶴林玉露』には、「水滴石穿」の形で出てくる次の逸話があります。
崇陽県の長官だった張乖崖は、役所の倉の一銭を持ち出した下級役人を杖で打たせようとしました。
下級役人が「一銭くらいで打つのか、打てても斬れはしまい」と反抗すると、張乖崖は「一日一銭なら千日で千銭。縄も使い続ければ木を断ち、水滴も落ち続ければ石に穴を開ける(縄鋸木断、水滴石穿)」と判決を書き、自ら下級役人を斬ったと記されています。
本来は、小さなことでも積み重なれば大きな結果を招くという戒めの言葉でした。
しかし、現在では「小さな努力を積み重ねれば、いつか大きな目標を達成できる」という肯定的な教訓として広く定着しています。
使い方・例文
「雨垂れ石を穿つ」は、長期的な目標に挑んでいる人を励ます際や、地道な努力が実を結んだ結果を称える際に使われます。
例文
- すぐに結果は出なくても、続けることが大切だ。雨垂れ石を穿つのだから。
- 十年続けた地道な研究が実を結び、新薬が完成した。まさに雨垂れ石を穿つだ。
類義語・関連語
「雨垂れ石を穿つ」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 継続は力なり(けいぞくはちからなり):
物事を続けることが、そのまま実力や大きな成果に繋がること。 - 千里の道も一歩から(せんりのみちもいっぽから):
どんなに遠大な目標も、まずは身近な一歩を確実に踏み出すことから始まること。 - 塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる):
ごくわずかなものであっても、積み重なれば山のような大きなものになること。 - 水滴石を穿つ(すいてきいしをうがつ):
『鶴林玉露』の「水滴石穿」を訓読した形で、意味は同じ。 - 点滴穿石(てんてきせんせき):
雨垂れが石に穴をあけるという同じたとえを、漢字四字で言う四字熟語。
対義語
「雨垂れ石を穿つ」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 三日坊主(みっかぼうず):
飽きっぽくて長続きせず、すぐにやめてしまうこと。 - 中途半端(ちゅうとはんぱ):
物事が途中で終わっていて、完結していないこと。 - 一朝一夕(いっちょういっせき):
わずかな時間。短期間では成し遂げられないことのたとえに用いられる。
英語表現
「雨垂れ石を穿つ」を英語で表現する場合、しずくが石を摩耗させる様子を描写した定型句が使われます。
Constant dripping wears away the stone
意味:絶え間ない滴りが石を削る。
どんなに硬い石であっても、落ち続ける水滴によってすり減るという、日本語と同じ発想の慣用句です。
Don’t give up. Constant dripping wears away the stone.
(諦めるな。雨垂れ石を穿つと言うだろう。)
Little strokes fell great oaks
意味:小さな一撃が巨大な樫の木を倒す。
一回一回は小さな斧の一撃でも、何度も繰り返せば大木を倒せることから、地道な努力の成果を意味します。
枚乗は呉王をいさめる上書でこのたとえを使った
枚乗は前漢の文人で、呉王劉濞に仕えていました。
呉王が漢の朝廷に背こうとしたとき、枚乗はそれをいさめる上書を出し、その中に「泰山の霤は石を穿つ」の一節があります。
上書は続けて、水は石を削るきりではなく、縄は木を切るのこぎりではないのに、少しずつすり減らすことで穴があき、断ち切れる、と述べています。
災いには始まりがあり、小さなうちに断てば災いは来ない、という諫言の中の一節です。














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