思わず口に苦い虫を噛んでしまったような、なんとも言えず渋い表情。
そんな不愉快さがにじみ出た顔つきを表すのが、「苦虫を噛み潰したよう」(にがむしをかみつぶしたよう)です。
意味
「苦虫を噛み潰したよう」とは、非常に不愉快そうな顔つきや苦々しい表情という意味です。
口には出さないものの、表情から不機嫌さや不満が隠しきれずににじみ出ている様子を表します。
怒りというより、我慢や諦めの混じった渋い顔つきを描写する際に使われる言葉です。
- 苦虫(にがむし):噛むと苦い味がしそうな、想像上の虫
- 噛み潰す(かみつぶす):噛んでつぶすこと
語源・由来
「苦虫を噛み潰したよう」という言葉は、実在する虫の名前に由来するものではありません。
「苦虫」という種類の虫が実際に存在するわけではなく、噛んだらさぞ苦いだろうと思わせる虫を想像した、たとえの表現です。
もし本当に苦い虫を誤って噛んでしまったら、思わず顔をしかめてしまうはずです。その瞬間の表情を借りて、不愉快な気持ちが顔に出てしまう様子を的確に描写した言葉として定着しました。
使い方・例文
「苦虫を噛み潰したよう」は、不満や不快感が表情に表れている様子を描写する際に使われます。
- 提案を却下され、彼は苦虫を噛み潰したような顔をした。
- 審判の判定に、監督は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
- 質問にうまく答えられず、社長は苦虫を噛み潰したような顔になった。
類義語・関連語
「苦虫を噛み潰したよう」と同じく、不機嫌な表情を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 仏頂面(ぶっちょうづら):
無愛想で、不機嫌さを隠さない顔つきのこと。 - 渋い顔(しぶいかお):
不満や困惑がにじみ出た、渋い表情のこと。
英語表現
a sour face
すっぱいものを口にしたような、不機嫌で渋い表情を指す表現。
He made a sour face when he heard the news.
(彼はその知らせを聞いて苦虫を噛み潰したような顔をした。)
存在しない虫が言葉として生き残った理由
「苦虫」は生物学上の分類には存在しない、あくまで表現のために作られた虫である。
実在しないにもかかわらず、この言葉が長く使われ続けてきたのは、「苦い」という味覚の不快感と、顔をしかめるという表情の動きが、誰にとっても直感的に結びつきやすいためだと考えられる。実際に苦い食べ物を口にしたときの表情筋の動きは、不快や嫌悪を示す表情と共通する部分が多いことが、表情研究の分野でも指摘されている。
味覚と表情の結びつきという普遍的な感覚が、架空の虫を使った表現をここまで定着させたといえる。









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