兄・源頼朝に追われ、悲劇的な最期を遂げた英雄。
その不遇な生涯に多くの人が心を寄せ、応援したくなる心情を表すのが、「判官贔屓」(ほうがんびいき)です。
意味
「判官贔屓」とは、弱い立場にある者や、不遇な者に同情し、味方したくなる心情という意味です。
客観的な実力や正義とは関係なく、不遇な立場の者を無条件に応援したくなるという、日本人に特有ともいわれる心の動きを表す言葉です。
- 判官(ほうがん):源義経の官職名(九郎判官)。
- 贔屓(ひいき):気に入った者に肩入れすること。
語源・由来
「判官贔屓」は、源義経に対する人々の同情に由来する言葉です。
「判官」は本来、律令制度における検非違使(けびいし、警察に相当する役職)の三等官「尉(じょう)」を指す読み方「はんがん」ですが、源義経がこの職に就いていたことから「九郎判官」と呼ばれ、この人物に限っては「ほうがん」と読まれる慣習が定着しました。
義経は、兄である源頼朝とともに平家を滅ぼす大功を立てながら、その後頼朝に疎まれて追われる身となり、奥州平泉で非業の最期を遂げます。
この劇的で悲劇的な生涯に、後世の人々は深く同情を寄せ、その心情が「判官贔屓」という言葉として定着しました。
使い方・例文
「判官贔屓」は、弱い立場の人や敗者を無条件に応援したくなる場面で使われます。
- 敗れたチームを応援したくなるのは、日本人特有の判官贔屓かもしれない。
- 世間の判官贔屓もあって、彼への同情論が広がった。
- 判官贔屓とは分かっていても、あの若手選手を応援せずにはいられない。
類義語・関連語
「判官贔屓」に近い、弱い立場への肩入れを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 弱きを助け強きを挫く(よわきをたすけつよきをくじく):
弱い者を助け、強い者の横暴をくじく生き方の理想。
英語表現
root for the underdog
「劣勢の側を応援する」という意味の口語表現で、判官贔屓の心情に最も近い言い回し。
Even though our team was losing, everyone started to root for the underdog.
(劣勢だったが、皆が判官贔屓の心境で応援し始めた。)
「判官贔屓」を生んだ判官物の隆盛
源義経の悲劇的な生涯は、後世の文学や芸能の格好の題材となりました。
軍記物語『義経記』をはじめ、能や歌舞伎、浄瑠璃には「判官物」と呼ばれる一大ジャンルが形成され、義経の悲劇を描いた作品が数多く生み出されました。
こうした作品が繰り返し上演・享受されることで、判官への同情という感情が個人の心情にとどまらず、日本の文化に共有された感性として定着していきました。
「判官贔屓」という言葉が一個人の好みではなく、社会的な現象を指す言葉として今日まで使われ続けているのは、この文化的な蓄積によるところが大きいといえます。









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